中国でスマートフォンが一気に普及しつつある。「2012年の中国コンシューマーIT業界はどうなる?」の記事でも紹介したが、各ケータイキャリアが数年縛りの通話プラン加入という条件で、スマートフォンを無料ないし非常に安く提供したことと、「Angry Birds」「Zombies vs Plants」「Veggie Samurai」などのゲームがブレイクしたことがゲーム好きの中国人の背中を押した。
今年もスマートフォンの普及は進むだろうが、「復活するか」「そのまま沈没するか」まったく読めないのが「SNS」だ。
マイクロブログ人気で
SNSは下火となっている現状
中国には「開心網」と「人人網」の2大SNSサイトがある。中国でのネット世論というと、なにかと中国版マイクロブログ「微博」(ウェイボー)が取り上げられがちだが、SNSが復活すると面白くなる。
日本においては「フィーチャーフォンを持っていた時にSNSを利用していた人は約4割。スマートフォンを所持してからは約7割と、30ポイント近くの差がある」という、スマートフォンの普及とともにSNSの利用率が高まっているレポート(ネットマイル調べ)もある。このあたり、中国ではどうなのかを考えてみたい。
まず中国のSNSの現状について紹介しよう。昨年末の段階でインターネットユーザーは総人口の38.3%にあたる5億1300万人で、うちSNSユーザーは2億4424万人である。この数字だが、3億1864万人が利用するブログや2億4988万人が利用するTwitterもどきの微博より少ない。かつ、去年までの勢いは微博にあり、SNSは利用者数で追い抜かされ、逆転している。ただ1億4469万人が利用する掲示板よりは多い。
主なSNSサイトとしては、SNSオンリーで展開する人人網、開心網ほか、検索サイトの雄「百度」の「Hi空間」、「新浪」(sina)に続くポータルサイト「捜狐」(SOHU)の「白社会」、それにオンラインショッピングの雄「淘宝網」(阿里巴巴)の「淘江湖」などがある。
微博では新浪の「新浪微博」と、チャットソフト「QQ」で中国では知らぬネットユーザーはいない「騰訊」(Tencent)の「騰訊微博」が有名だが、SNS人気が復権すると喜ぶパワープレーヤーは百度、淘宝網、捜狐と揃っているわけだ。
人人網とてSNS人気の低下に手を打っていて、人気動画サイト「56網」を買収し「動画をシェアして楽しめるSNS」を模索している。
昨年夏には、GREEが買収した「OpenFeint」とともに騰訊との提携を発表し、第一弾として先月、Android向けにゲームタイトル「特工大戦」(SPY WARS)をリリースした(プレスリリース)。
また、同じく先月末には「モバゲー」のDeNAが中国2大SNSサイトのひとつ「開心網」との連携を発表している(プレスリリース)。
中国人にとって、日本のゲームといえば家庭用ゲーム機ないし10年前以上のゲームが現役で稼働するゲームセンターのゲームであり、PC向けオンラインゲームやスマートフォン向けアプリをイメージする人は極めて少数派だ。
筆者自身も中国各地の都市で日本のゲームで遊ぶ中国人は見たことがない。執筆段階においては残念ながら、中国におけるリリース後の特工大戦の消費者の反応は薄いように見える。
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