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あなたの知らない最新AVの世界 第5回

屋外で高音質に音楽を聴けるヘッドフォンはどれですか!?

2011年11月30日 12時00分更新

文● 鳥居一豊

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案外多いヘッドフォンの種類
屋外リスニングに適したヘッドフォンはどれ?

ヘッドフォン種類のまとめ

ヘッドフォン種類のまとめ

 続いては、ヘッドフォンの種類の違いについて簡単に知っておこう。一言にヘッドフォンと言っても、頭に乗せる感覚の“オーバーヘッド型”や、耳の中にはめる“インイヤー型”など、種類はたくさんある。

 簡単に分類していくと、オーバーヘッド型には音が外に漏れにくい“密閉型”と、音が外に漏れる“オープン型”がある。密閉型は細かい音まで聴きとりたいという場合に向いていて、スタジオなどで使われるモニターヘッドフォンも多くは密閉型だ。

 オープン型は音が外に漏れるせいもあって、開放的な音になることが多い。ヘッドフォン特有の頭の中で音楽が響くような感じも少ないので、聴きやすさではオープン型の方がいい。

 耳にはめて使うインイヤー型は、形状で言うと耳の穴の奥まで押し込んで装着する“カナル型”と、耳の穴の入り口付近にはめる“イヤホン”タイプがある。カナル型は耳栓型とも言われ、遮音性が高く音漏れも少ない。そのため、価格はやや高めになるがインイヤー型ではカナル型の人気が高まっている。

 カナル型には、ほとんどのヘッドフォンやスピーカーと同様に磁石の力で振動板を動かす“ダイナミック型”に加えて、高級モデルに多い“バランスド・アーマチュア”(以後、BA)型が増えてきている。

 BA型は振動板を細い棒を使って振動させる構造で、ダイナミック型よりも小型化が容易という特徴がある。音質的な違いも顕著だが、コンパクトなカナル型に適した駆動ユニットと言える。

 このほか、オーバーヘッド型でも耳に当てるイヤーカップ部分を小さくして携帯しやすくしたものや、2つのイヤーカップをつなぐヘッドバンドをなくし、耳に乗せるような形で使う耳乗せ型など、形状による違いもある。こうした形状や種類が違うのは、さまざまな使い方に対応するためだ。

編集S:僕の場合はヘッドフォンは屋外で使うことがほとんどなので、やっぱり携帯しやすいものがいいですね。

鳥居:携帯しやすさならば、インイヤー型が有利でしょう。コンパクトなので持ち運びもしやすいです。ただ、インイヤー型は長時間装着していると耳が痛くなることもあるし、カナル型は耳の奥に押し込むので、耳栓をしているような感じに慣れる必要はあります。長時間装着するならば、オーバーヘッド型の方が比較的快適です。ですから、オーバーヘッド型でも比較的コンパクトなサイズのものを選ぶという方法もあります。

編集S:もうひとつ気になるのは、音漏れです。ヘッドフォンの音漏れはけっこう耳障りだし、自分の聴いている音楽が周りに聞こえているのもちょっと嫌ですね。

 音漏れについては、形式などによる差が大きい。一番音漏れしやすいのは、オーバーヘッドの開放型。構造的に音が外に漏れるようになっているので、基本的に屋内で使うためのものだ。耳に乗せて使うコンパクトなタイプも音が漏れやすい。

 一般的なインイヤー型も実は音漏れしやすい。ぴったりと耳にはめて使えば音漏れは軽減できるが、耳が痛くなりやすいため緩くはめて使う人が多く、音が漏れやすいのだ。

 オーバーヘッドの密閉型は比較的音漏れはしにくい。ただし、イヤーカップが耳をすっぽりと覆うので、サイズは大型になりやすい。

 音漏れがほとんどないのはカナル型。イヤーピースで耳の穴を塞いでしまうので、音漏れをほとんどゼロにできる。

編集S:持ち歩きやすいサイズで、しかも音漏れが少ないなら、屋外用ならばカナル型が最適ってことですね。

鳥居:それは間違いないんだけど、デメリットもあることを注意した方がいい。それは音漏れが少ないということは、遮音性も高いので、音楽を再生してしまうと周囲の音がほとんど聞こえなくなってしまうこと。路上や混雑した駅の中で歩きながら音楽を聴くような場合には注意をした方がいいでしょう。実際に事故なども起こっているようです。

編集S:たしかに周囲の音がまったく聞こえないというのはちょっと怖いですね。

鳥居:周囲がうるさい場所でも快適に音楽を楽しめるなど、メリットは大きいので、使い場所を気をつけることが肝心です。

ヘッドフォンでも重低音が欲しい!!
十分な低音が再現できるのは?

編集S:ヘッドフォンの音質で言うと低音再生が気になります。特にインイヤー型は低音が物足りないと感じることが多いので。

鳥居:インイヤー型の場合、低音の再生は差がありますね。そもそも低音はより多くの空気を動かす必要があるので、振動板の面積が大きいほど有利です。インイヤー型では振動板のサイズにも限界があるので、単純に言えば大型のオーバーヘッド型の方が低音再生は有利になります。

ボーズが11月11日に発売したばかりの「OE2 audio headphones」

ボーズが11月11日に発売したばかりの「OE2 audio headphones」

 そこで、今度はボーズの最新オーバーヘッド型ヘッドフォン「OE2 audio headphones」(実売価格1万9000円前後)を試してみることにする。オーバーヘッド型ではあるが、比較的コンパクトなサイズで、さらに持ち歩くときには折りたたむこともできるので、携帯しやすいモデルと言える。

このように折り畳むことができる

このように折り畳むことができる

装着イメージ。オーバーヘッド型なので圧迫感が少ない

装着イメージ。オーバーヘッド型なので圧迫感が少ない

 イヤーカップは耳に乗せるタイプだが、耳が押さえつけられるような圧迫感は少ない。長時間装着していても耳が痛くなることは少ないだろう。ただし、音漏れは少々多めになる。

 低音はさすがにたっぷりとしており、クラシックなどを聴いても堂々としたスケール感豊かな音が楽しめる。高域は比較的穏やかで聴き心地の良い音質となっている。ボーカルもしっとりとした雰囲気で、微妙なニュアンスもしっかりと再現できるので、なかなか魅力的だ。

編集S:低音はたっぷりしていて、力強い音ですね。好みで言うと、もうちょっと細かい音まで再現してほしい気もしますが、聴きやすくていい感じです。

鳥居:比較的コンパクトなのに、低音に余裕のある鳴り方はさすがボーズですね。音漏れの点は気になりますが、屋外でも十分使いやすいモデルだと思いますよ。

編集S:インイヤー型だとこれだけの低音はやっぱり難しい?

鳥居:カナル型のモデルには、低音再生がしっかりとしたモデルもあります。ただし、オーバーヘッド型に比べると、低音域はかなり伸びているけれども、量感が少なめになることが多いですね。そして、カナル型のヘッドフォンの場合、耳に押し込む部分に装着するイヤーピースのサイズをしっかりと吟味することが重要です。これのサイズが合わなくて耳の穴との間にすき間ができていると、そこから空気が抜けてしまい、低音不足になります。

編集S:イヤーピースは大抵3つくらいのサイズが付属していますが、サイズを選ぶときのコツは?

鳥居:実際に試して一番フィットすると感じるものを選べばいいと思いますよ。初めてカナル型を使うときは、耳が慣れていないため違和感があり、小さいものを選びがちです。慣れないうちは、ちょっと大きいかな? と感じるくらいのもの選ぶとちょうどいいでしょう。ただし、大きすぎても耳の奥まで押し込めず、ぴったりと装着できませんから、最初にいろいろと試してみるといいでしょう。

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