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最新ソフトウェア7.0を披露

新生シュナイダー、データセンター管理ソフトウェアを披露

2011年10月12日 09時30分更新

文● 渡邊利和

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10月11日、シュナイダーエレクトリック(旧APCジャパン)はデータセンター向けの統合インフラ管理ソフトウェア「StruxureWare for Data Centers」を発表した。従来InfraStruxure Management Softwareとして販売されていた製品の新バージョンという位置づけになるが、社名変更のタイミングで製品名も変更された。新製品のバージョンは7.0となっている。

4年後の社名変更

 UPSやデータセンター向けの電源/冷却システムなどで著名なAPCは2007年4月にフランスのシュナイダーエレクトリックに買収された。その後APCは“APC by Schneider Electric”という表記でシュナイダーエレクトリック傘下のブランドであることを明確にしていたが、この10月1日に社名変更を行ない、旧APCジャパンはシュナイダーエレクトリックと名乗ることになった。買収から4年経っての社名変更は、さすがに伝統を重んじるヨーロッパの企業ならではと言えるだろうか。少なくとも米国企業による買収の例では社名変更までここまでの期間を置くことはまずないと思われる。

 今回はソフトウェアの新バージョンの発表ではあるが、プライベートイベント「Schneider Electric Data Center Solutions Forum 2011」の会場内で行なわれたこともあり、本社からもトップが来日するなど、シュナイダーエレクトリック自体のお披露目も兼ねたものと思われる。なお、日本法人の代表取締役社長のシリル・ブリッソン氏は、ブランド名として“APC by Schneider Electric”という表記を今後も存続させると明言しつつ、「統合的なソリューションを提供していく、という立場を明確にするために社名変更を行なった」としている。

仏シュナイダーエレクトリックの日本地区統括代表 セルジュ・ゴールデンベルグ氏

 また、本社の日本事業担当ということだと思われるが、仏シュナイダーエレクトリックの日本地区統括代表のセルジュ・ゴールデンベルグ氏はシュナイダーエレクトリック自体の説明を行ない、同社が日本に最初の拠点を設立したのは50年ほど前に遡ることや、元々はヨーロッパに拠点を置く企業でありながら、現在の全世界での売上構成は西ヨーロッパが34%、北米が24%、日本を含むアジア太平洋地域も24%、その他の地域が18%とほぼバランスの取れた構成になっていることなどを紹介した。さらに同氏は同社の事業について「エネルギーマネジメントのスペシャリストだ」と表現した上で、「発電事業は手がけておらず、電力を消費する機器の製造も行なわないが、発電と消費の間で必要とされるマネジメント機能についてはすべてを総合的に手がける」と表現している。

ソフトウェアによるインフラ統合管理

 続いて、仏シュナイダーエレクトリックのVice President, Enterprise Management and Softwareのソーレン・ブロガード・イェンセン氏がStruxtureWareに関する概要説明を行なった。

仏シュナイダーエレクトリックのVice President, Enterprise Management and Softwareのソーレン・ブロガード・イェンセン氏

 同氏は、「世界中に設置されているサーバーの電源と冷却に使用されたエネルギーの支出額はこの5年間で31.2%増加した」「データセンター・インフラの効率(DCiE)を1%改善すると、電気料金を2%削減できる」といった調査会社によるレポートを紹介し、適切なエネルギー・マネジメントを実施することの重要性とコストメリットを強調し、同社の取り組みが「少ない予算で既存のデータセンターのエネルギー効率を向上させる」ことを目指すものだと位置づけた。

StruxureWare for Data Centersの概要

 また同氏は、今回発表された「StruxureWare for Data Centers」がIT向けのソリューションなのに対し、他の用途向けに「StruxureWare for Grid」「同Industry」「同Buildings」といった製品で網羅的にカバーしていくことを明らかにした。StruxureWare for Data Centersに関しては、「データセンター・ファシリティとデータセンター・インフラの監視/オペレーション用のソフトウェアスイート」であるとした上で、その狙いが「統合」「継続性」「協力関係の改善」にあるとした。ここで協力関係とは、データセンターの運用管理に携わるマネージャーや電気設備担当者、冷却設備担当者、ITセキュリティ、ITユーザーといったさまざまな立場の人が必要な時に必要な情報を得て、緊密な連携を実現できるということを意味する。

 さらに、具体的な製品の新機能については日本法人のビジネスデベロップメント マネージャーの鈴木 良信氏が行なった。

日本法人のビジネスデベロップメント マネージャーの鈴木 良信氏

 同氏が紹介した新機能の中から主なポイントを挙げると、まず従来はハードウェア・アプライアンスとして提供されていた統合監視ソフトウェアの「StruxureWare Central」(旧称 InfraStruxure Central)に新たにバーチャルアプライアンス版(ソフトウェア版)が追加されるという。この結果、クラスタ構成に対応し、複数サーバ間でのロードバランシングなども可能になった。

 また、バーチャルセンサー機能も有用だろう。これは、複数のセンサーからの合計出力に対して閾値を設定したり監視したりできる機能だ。たとえば、電源系統を共有する複数のラックの消費電力の合計がその電源系統の上限値を超えないように監視する、といった場合に各ラックごとのPDUの総計値で制御できるわけだ。また、オープンソース・ソフトウェアが広範に活用されている点も特徴と言えるかもしれない。Debian OS(Debian GNU/Linuxなど)、PostgreSQL(RDBMS)、Redhat JBoss(Javaアプリケーションサーバ)などが利用されているほか、バーチャルアプライアンス化に関連し、仮想化レイヤではVMware、Xen、KVMなどがサポートされている。

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