とはいえ、新モデルと旧モデルで「同じ」に見えるのは外見だけだ。CPUを含めた内部は、旧モデルとはまったくの別物に変化している。同じデザインを採用しつつも、最新のプラットフォームへと置き換えたのが新モデル、と言う方がわかりやすいだろう。
Lionに特化
Thunderboltとバックライトキーボードを採用
新モデルで変わっているところは、大きく分けて4つある。ひとつは搭載OSが「OS X Lion」(v10.7)になったことだ。旧モデルはひとつバージョンが古い「Snow Leopard」(v10.6)を標準搭載しており、添付のメディアもSnow Leopardであったが、新モデルはLionだ。
逆にいえば、新モデルでSnow Leopardを使う方法はない。Lionはさまざまな点で改良が施された、MacBook Airのようなノートパソコンに向いた操作体系を持つOSではある。だが、あまりに変化している点が多いので、なじめない人も少なくないようだ。そういった人にとっては、新モデルは残念な存在と言えるかもしれない。
なお、添付されているOSメディア(専用のUSBメモリー)もLionベースになっているが、完全に内蔵フラッシュストレージが壊れてしまわない限り、このメディアを使う必要はないだろう。ストレージ内にはOSを初期化するための専用領域が用意されていて、電源を入れた時に「Command」+「R」キーを入力しておくことで呼び出せる。
この「Lion 復元」と呼ばれる機能には、Lionの最小限の部分しか組みこまれていない。リカバリー時には必要なコンポーネントは、インターネット経由で取得するようになっている。そのため、リカバリーにはインターネット接続が必須となる。この点は他のLion搭載Macと同じだが、有線イーサネットを内蔵しないMacBook Airの場合、無線LAN接続が必要になる点は注意しておきたい。
2つめはキーボードだ。旧モデルにはバックライトキーボードがなく、多くのユーザー(筆者も例外ではない)に不評だった。新モデルでは、すべてのバリエーションでキーボードにバックライトが内蔵された。光り方はMacBook Proなどに比べると、若干おとなしい印象も受けるが、実用上はまったく不満ない。
また、ファンクションキー周りの表記が、Lionに合わせほんの少しリニューアルされている。ひとつ残念な点を挙げるとすれば、サイズが小さい周辺部のキーで感じた「安っぽさ」が改善されていないところだろうか。
3つめの変更点は、拡張用インターフェースに「Thunderbolt」が採用されたことだ。Thunderboltはインテルとアップルがコード名「Light Peak」をベースに、共同で開発した高速シリアルインターフェースだ。MacBook Proで採用がスタートしたものだが、アップルはIEEE 1394(Firewire)系とMini DisplayPortを置き換える、これからの主力インターフェースに据えている。
旧機種ではMini DisplayPortが搭載されていた本体右側面端に、Thunderboltポートは搭載されている。ポート形状も同じであるため、一見したところ旧機種との差はないように見える。Thunderboltにはなったが、Mini DisplayPort用のアダプター類もそのまま利用できるため、ディスプレー接続用と考えれば、旧機種との差はまったくない、とも言える。
他方、ストレージデバイスなどを接続する汎用シリアルインターフェースと捉えれば、当然活躍の場はより広くなる。残念ながら、筆者の手元にはまだThunderbolt対応のストレージデバイスがないため、汎用インターフェースとしての可能性をテストすることは叶わなかった。
ハードウエア的には、MacBook Proが双方向4チャンネル分のインターフェースを内蔵しているのに対し、MacBook Airのそれは双方向2チャンネル分しかサポートされていない。そのため、複数のMini DisplayPort用アダプターをディジーチェーンで接続したり、複数の高パフォーマンスなストレージデバイスを接続して、その能力をフルに生かす、といった使い方は難しくなる。だがMacBook Airの位置づけを思えば、それはまず問題にはならないだろう。むしろ、互換性を維持しつつ用途を広げたことそのものを評価しておきたい。
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