GPUの負荷は軽すぎ?
Radeon HD 6870→Radeon HD 6950
最後にGPUの強化でPCMark 7のスコアはどう変動するか挑戦してみた。PCMark 7の3D描画テストはDirectX 9ベースの軽いものだが、今どきのGPUを上から下までカバーできるほどのテストなのだろうか? そこで今回はベースとした「Radeon HD 6870」の上と下のモデルを選択し、GPUの素の性能とPCMark 7上の評価の違いを見ることにしたい。
まずは各GPUの実力を定番ベンチマークテストで計測しておく(グラフ6)。使用したベンチマークプログラムは、「3DMark 11」「DiRT3」「モンスターハンターフロンティア 絆」の3本だ。
3DMark 11では、ローエンドに近いHD 6570のスコアが異様に低いが、他の2枚のスコアは接近している。やや軽めのモンスターハンターフロンティア 絆は、解像度1920×1080ドットで計測した。結果の傾向は3DMark 11に近い。一方最新のレースゲームであるDiRT3のテストは、解像度1920×1080ドット、画質「Ultra」設定を使用して、ゲーム内のベンチ機能を使って計測している。3DMark 11とは違い、HD 6950が6870の倍近い性能を示している。
それでは各GPUを使った時のPCMark 7のスコアを比較してみよう(グラフ7)。ストレージがボトルネックなのは判明しているため、ここでもSSDベースの環境で比較している(CPUは定格のまま)。
PCMark 7の結果は、ものの見事に「Graphics - DirectX9」テストしか変化していない。上のグラフからわかるのは、PCMark 7の3D描画テストはローエンド~ミドルレンジクラスのGPUの性能を見ることにフォーカスしており、ある程度パワーのあるGPU同士では、違いがわからなくなってしまうということだ。
DiRT3で2倍以上のfpsを叩きだすHD 6950を使っても、HD 6870と大差ない評価しか得られない。むしろCPUをオーバークロックした方が高い評価が得られるというのは納得がいかないものがある。
約40ドルを支払って「Advanced」以上のエディションにすれば、より重いテストも実行できる。だが、それでもDirectX 10ベースのテストにとどまる。GPUの評価をしたければ、3DMark 11のようなGPU用のベンチマークテストか実ゲームを使うしかないだろう。
まとめ PCMark 7のスコアをどう評価すべきか?
3回に渡ってPCMark 7の機能や評価の傾向を解説してきたが、今の自作PCの定番的構成だと、ちょっと評価に困るベンチマークソフトである印象が強い。さまざまな用途における負荷を見られるのはよいが、スコア算出におけるCPUとストレージの割合が非常に大きく、逆にGPUの割合が少ないアンバランスさが気になる。
つまり、PCMark 7は比較的ライトな構成のPCの評価に適しており、さらにウェブや動画を見たり、デジカメの写真をちょっと加工したりするユーザーにとって的確な性能指標を提供するといってよいだろう。特にハードウェアをパーツ単位で揃えられないノートPCの比較用としては、Windowsエクスペリエンスインデックスよりも具体的で、かつストレージやCPUのスペックの差が出やすいという点で優れていると言えるのではないだろうか。
この連載の記事
-
第2回
PC
PCMark 7の計測結果を読み解き、PCの実力を探れ -
第1回
PC
PCベンチマークの新定番「PCMark 7」とは何か? -
PC
最新ベンチマークソフト「PCMark 7」徹底解剖 - この連載の一覧へ