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最新ベンチマークソフト「PCMark 7」徹底解剖 第3回

PCMark 7に見る PCの快適さが向上するパーツとは?

2011年06月27日 12時00分更新

文● 加藤勝明

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GPUの負荷は軽すぎ?
Radeon HD 6870→Radeon HD 6950

 最後にGPUの強化でPCMark 7のスコアはどう変動するか挑戦してみた。PCMark 7の3D描画テストはDirectX 9ベースの軽いものだが、今どきのGPUを上から下までカバーできるほどのテストなのだろうか? そこで今回はベースとした「Radeon HD 6870」の上と下のモデルを選択し、GPUの素の性能とPCMark 7上の評価の違いを見ることにしたい。

交換用に用意したグラフィックカード。MSI「R6950 Twin Frozr II OC」とASUSTeK「EAH6570/DI/1GD3(LP)」。GPUのアーキテクチャーの違いという要素を持ち込みたくなかったため、Radeon 6000系で統一している

 まずは各GPUの実力を定番ベンチマークテストで計測しておく(グラフ6)。使用したベンチマークプログラムは、「3DMark 11」「DiRT3」「モンスターハンターフロンティア 絆」の3本だ。

グラフ6 GPU向けベンチマークで見た各GPUの実力差。「3DMark 11」はPerformanceモードのみを使用

 3DMark 11では、ローエンドに近いHD 6570のスコアが異様に低いが、他の2枚のスコアは接近している。やや軽めのモンスターハンターフロンティア 絆は、解像度1920×1080ドットで計測した。結果の傾向は3DMark 11に近い。一方最新のレースゲームであるDiRT3のテストは、解像度1920×1080ドット、画質「Ultra」設定を使用して、ゲーム内のベンチ機能を使って計測している。3DMark 11とは違い、HD 6950が6870の倍近い性能を示している。

 それでは各GPUを使った時のPCMark 7のスコアを比較してみよう(グラフ7)。ストレージがボトルネックなのは判明しているため、ここでもSSDベースの環境で比較している(CPUは定格のまま)。

グラフ7 グラフィックスカードの違いによるスコアの変化

 PCMark 7の結果は、ものの見事に「Graphics - DirectX9」テストしか変化していない。上のグラフからわかるのは、PCMark 7の3D描画テストはローエンド~ミドルレンジクラスのGPUの性能を見ることにフォーカスしており、ある程度パワーのあるGPU同士では、違いがわからなくなってしまうということだ。

 DiRT3で2倍以上のfpsを叩きだすHD 6950を使っても、HD 6870と大差ない評価しか得られない。むしろCPUをオーバークロックした方が高い評価が得られるというのは納得がいかないものがある。

 約40ドルを支払って「Advanced」以上のエディションにすれば、より重いテストも実行できる。だが、それでもDirectX 10ベースのテストにとどまる。GPUの評価をしたければ、3DMark 11のようなGPU用のベンチマークテストか実ゲームを使うしかないだろう。

Core i7-2600を4.7GHzにオーバークロックした環境(GPUはHD 6870)と、CPU定格でHD 6950を搭載した環境では、CPUが速い環境の方が評価は高くなる

Advanced EditionではDirectX 10ベースのテストも可能。ただしDirectX 10の「3DMark Vantage」をベースにしたもので、DirectX 11世代GPUのパワーをフルに引きだした性能評価とはいえない

まとめ PCMark 7のスコアをどう評価すべきか?

 3回に渡ってPCMark 7の機能や評価の傾向を解説してきたが、今の自作PCの定番的構成だと、ちょっと評価に困るベンチマークソフトである印象が強い。さまざまな用途における負荷を見られるのはよいが、スコア算出におけるCPUとストレージの割合が非常に大きく、逆にGPUの割合が少ないアンバランスさが気になる。

 つまり、PCMark 7は比較的ライトな構成のPCの評価に適しており、さらにウェブや動画を見たり、デジカメの写真をちょっと加工したりするユーザーにとって的確な性能指標を提供するといってよいだろう。特にハードウェアをパーツ単位で揃えられないノートPCの比較用としては、Windowsエクスペリエンスインデックスよりも具体的で、かつストレージやCPUのスペックの差が出やすいという点で優れていると言えるのではないだろうか。

Advanced Editon以上にすると、「PCMark Suite」のほかに特定用途に特化したワークロードを実行できる

しかし、PCMark Suite以外のワークロードを実行しても、出るのは個別のテスト結果のみ。詳細な結果をチクチクと比較しない限り、システムの全体的な優劣がわからないのは非常に面倒

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