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3・11以降、急増するデータセンター移設の需要に応える

災害対策に自信あり!NTT Comの東京第5データセンター見学

2011年04月27日 09時00分更新

文● 大谷イビサ/TECH.ASCII.jp

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4つの免震装置で大震災でも影響なし

 地震対策に関しては、まずビル自体が免震構造となっており、地表面に設置された免震装置上に建物を載せ、地震の発生時には大きくゆっくり揺らすことで、衝撃を低減させる。通常の高層ビルは杭を深く打ち込み、揺れないようにする耐震構造が多いため、こうした高層ビルでの免震構造は珍しく技術革新によってようやく実現したものだという。

 東京第5データセンターでは、通常のビルに求められる強度の2倍を誇る堅い地盤に対して地中20mまで杭が打ち込まれており、この地表面に設置された免震装置・ダンパーが建物を支えるという構造になっている。免震装置・ダンパーは、通常の積層ゴム支承のほか、鉛プラグ入り積層ゴム支承、弾性すべり支承、注射器のような特殊ダンパーなどが使われており、建物を支えたり、衝撃を和らげたり、揺れに対して踏ん張る力を強めたり、それぞれ異なる役割を持っている。こうした構造をとるため、ビル全体は全体で60cmまで動くことが可能で、外部や引き込まれたケーブル等もそのマージンを配慮した構成になっている。

4つの役割の異なる免震装置のうちの1つ「積層ゴム支承」

 現場では金属板に揺れの状態を記録するけがき板が用意されているが、これを調べると、3・11の震災時には建物が最大43mm動いたことがわかっている。一方で文京区での地面の変位は20mm程度だったので、両者に差異が見られる(つまり、建物の方が揺れが大きい)が、ゆっくり揺らすことで最大1/3まで地震の衝撃を低減する。

地震における建物の軌跡を記録する装置

3・11の地震(震度5)での軌跡が板に削られている

 免震装置のスペースは地下にあるが、排水用のポンプも用意されている。また、屋上にはヘリポートが備え付けられているので、低層がいざ浸水といった際には屋上から逃げられるという。

屋上には空調の室外機が用意されている。複数台設置可能なように屋上にはかなりのスペースが用意されている

震災後、問い合わせは一気に3倍に拡大

 ここまで見てきたとおり、東京第5センターは災害への備えを重視した日本の通信事業者仕様の手堅さに、グリーンITやセキュリティといった欧米のトレンドを盛り込んだ今風のデータセンターといえる。足のよい都心の商業地に高層ビルを建て、ハイレベルの免震構造やセキュリティ・防災設備も最新のものを採用しているため、投資額もそれなりに大きいと想像される。

 しかし、コロケーションルームが満載になるのも、それほど遠くないだろう。3・11の大震災以降、企業システムのデータセンターへの移転が加速しているからだ。同社によると、震災以降問い合わせや引き合いの数は以前の約3倍に跳ね上がっており、「資料請求とかではなく、4月から入れるかとか、具体的な相談が多い。あとはやはり関西の引き合いが増えている」(深村氏)とのこと。こうした需要に対して、多くの企業に安心して勧められるのが、この東京第5データセンターだという。

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