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Apple Geeks 第9回

定番メディアプレイヤー「VLC」のiPad版を試す

2010年09月27日 22時00分更新

文● 海上忍

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あの動画フォーマットは再生できるか?

 iPad版VLCは、サードパーティ製アプリの機能はアプリ内で完結すべしというAppleの方針に従い、VLCに登録した動画のみ再生対象とする。ブラウザー上で再生したり、ネットワーク共有領域上にあるファイルを閲覧するアプリで(Word文書をプレビューする要領で)再生したりといった使い方には対応しない。

サポートされるコーデックを使用した動画のみ、VLCの画面に選択肢として現われる

 ファイルをVLCに登録する方法も、その流儀に則ったものだ。iTunesのデバイス欄でiPadを選択し、App項目の下方にある「ファイル共有」でVLCを選択、そこから登録するファイルを選択しなければならない。これはさすがに不便で、今後ネットワーク上の領域へアクセスできるクライアント機能が実装されることに期待したい。

動画をVLCに転送するには、iTunesのファイル共有機能を利用する

高解像度の動画は、再生前に警告される。H.264のようにCPUパワーを要するコーデックは、視聴に耐えない再生品質だ

 肝心の各種ビデオコーデックへの対応状況だが、下表のとおりとなった。特筆すべきはDivXのサポートだが、まったく破綻なしに再生できるのは解像度が640×400ドットあたりまでで、それ以上になると再生が途切れがちになるなど、再生品質が低下する。H.264にも対応するが、ハードウェアアクセラレーションが効かないため、Apple純正のフレームワークに依存するアプリを使うほうが現実的だ。

 対応するコーデックが予想より少なく、特にWMVが再生できないことは残念。認識はされるが再生できないXvidも、対応してほしいところ。ライセンスのしがらみがあるものと推測されるが、やはり「VLC」の名を背負うだけに、今後のブラッシュアップに期待だ。

「iPad版VLCで主要ビデオコーデックをテストした結果」

コーデック 拡張子 結果 テスト内容
AVCHD mts × ソニーのデジタルビデオカメラ(HDR-SR7)で撮影したフルHDのAVCHDファイルは認識されず
DivX 5/6 avi ともに認識/再生できたが、ピクセル数がiPadの解像度(1024×768ドット)に近づいてくると、時折映像が破綻することもあった
FLASH flv × YouTubeからダウンロードしたファイルでテスト、認識されず
H.264 mov フルHDサイズのQuickTimeムービー(H.264/AAC)でテスト。ただし、フルHDではデコードの負荷にCPUが追いつかないらしく、再生時に画面が破綻した
Motion JPEG avi 解像度640×480ドットのMotion JPEGは、特に問題なく認識/再生できた
MPEG-1/2 mpg × MPEG-1は解像度やフレームレートに関わらず認識されなかった。MPEG-2(MPEG-PS)も認識されなかったが、MPEG-TSはテスト素材がなかったため未確認
MP4 mp4 解像度640×480ドットのファイルは問題なく再生/認識できたが、高解像度のもの(1280×720ドット)はデコードの負荷にCPUが追いつかないらしく、再生時に画面が破綻した
WebM webm × 最新版VLCではサポートされているWebM(GoogleがVP2をベースに開発した動画コーデック)は、認識されず
WMV-9 wmv × DRMなしのムービーで試すが認識されず
Xvid avi × Xvid 1.1でエンコードされたファイルでテスト。認識には成功したが、サムネイルの作成でループ状態となり、再生できなかった

 VLC Media Player

 作者:Applidium
 価格:無料


筆者紹介──海上忍

 ITジャーナリスト・コラムニスト。アップル製品のほか、UNIX系OSやオープンソースソフトウェアを得意分野とする。現役のNEXTSTEP 3.3Jユーザーにして大のデジタルガジェット好き。近著には「改訂版 Mac OS X ターミナルコマンド ポケットリファレンス」(技術評論社刊、Amazon.co.jpで見る)など。



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