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デル宮崎カスタマーセンター訪問記

デル、大連のサポート業務を一部国内へ移管

2010年08月31日 15時43分更新

文● TECH.ASCII.jp編集部

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営業/サポート部隊が緊密に連携

 宮崎カスタマーセンターでは、個別に動きがちな営業とサポート間の連携を緊密に取ることも重視している。重要な顧客からの問い合わせ内容は即座に営業にフィードバックされ、必要に応じた営業担当からのフォローアップが実施される。

取材時にたまたま行われていた社内研修の様子。トレーニングには時間をかけており、実際にオペレータとして現場で活躍するまでに3ヵ月に渡る研修を経るという

 2分以内に電話をピックアップできる割合や、トークタイムといったサービスレベルの向上など、コールセンターとしての質を高めるのはもちろんだが、きめ細かく地道な対応も顧客満足度の向上に貢献している。

カスタマーセンター内で見つけたAlienwareとXPSの実機。すでにコンシューマ向け製品のサポートが始まっていた

 デルの場合、標準のサポートではLatitudeやOptiplexといった大企業向けの製品で翌営業日・出張修理対応。VostroなどSMB向けの製品では引き取り修理となっている。サポートメニューを別途購入することで、同日修理(SBD:Same Business Day)や4時間以内のオンサイト対応(4HClass)にアップグレードすることが可能だ。

 しかし、こうしたサポートレベルの範囲をしっかりと説明し、理解してもらうのはなかなか難しい。それが時としてユーザーの不満につながることもある。一方で、きちんと説明し、営業がそれをフォローすれば、新しいサポートを購入してもらうためのチャンスにもなりうる。営業とサポートの連携はこういった意味でも重要だ。

各フロアーに設けられた休憩スペース。無料のドリンクなども提供されており、昼食や社内交流などに使われている

 デルはここ数年ハードウェアベンダーからソリューションプロバイダーへの転換を図ろうとしているが、ユーザーのフロントエンドに立つサポートや営業部隊は、その重要な役割を果たすだろう。

 また企業向けサポートに関しても、大企業向けサーバー・ストレージ製品のサポートに関しても2010年9月1日から、アウトソースではなくデル社員による24時間365日対応とするなど強化している。


国外から国内へ、問われる本当のサポート

 ビジネスのグローバル化、コスト削減などを背景に、外資系を中心に、サポートセンターを日本国外に置く企業が増加した時期があった。しかし、デルはその流れにあえて逆行しようとしている。筆者は国外の拠点では、国内に劣るサービスしか提供できないとは考えないが、単に言葉が通じ、必要な情報が集約されていれば満足度の高いサービスが得られるとも考えていない。

サポートセンター内には、現場の意欲を高めるためのさまざまな掲示物が目立つ。上の写真2つは業務に対する社員の約束を表明したもの。コールセンター内の電話もとてもよく取れている印象だった

 宮崎のカスタマーセンターを訪問して感じたのは、顧客満足度の向上という大きな目標に向かって社員が一丸となって取り組むモチベーションの高さである。そこには宮崎という地方都市から世界に通じるサービスを提供したいという、高い意欲の現われがある。

 地元では「日向時間」という言葉もあるそうだが、実際に東京から宮崎に赴いて地元の生活を垣間見てみると、ギスギスとした東京とは異なる、ゆったりとした時間を感じる。日向の土地がはぐくんだおおらかな気風は人と人の接点になるサポートという業務に最適だったということだろうか。実際デルの社内でも、宮崎の雰囲気に好感を持つ人は多いようだ。

 羽田空港から宮崎空港までのフライト時刻は1時間20分ほどで、空港から市外へも車で15分ほどと東京からのアクセスもしやすい。実際に赴いてみると思っていた以上の身近さを感じる。

 世界に数多くある拠点の中でもずば抜けた成果を発揮している宮崎カスタマーセンター。その成功の理由を考えながら帰路に着いた。

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