iPadの登場で「攻め」のスキャンが増えた!
5年以上にわたって愛用してきたScanSnapだが、iPadの登場によって使い方が大きく変わった。ひと言でいえば、「守り」から「攻め」に転じたのである。
従来、ScanSnapを使う主たる目的は「将来参照したくなったときに備えての複写」だった。会議資料を廃棄する前にScanSnap、研究会の資料を捨てる前にScanSnap、学生から提出されたレポートを返却する前にScanSnap……。
つまりほとんどは「紙減らし」である。たぶんもう見ることはないけれど、万が一必要になったときに備えて書類を捨てる前にスキャンしておくのだ。
実際、会議資料を後から参照する機会なんて1年に1回もない。学生に返すレポート類も読み終わってコメントも記入してあるため見る機会はほとんどないが、あとで内容に関連する質問を受けた場合に参照する可能性がないとはいえないので、念のため保存しておきたい。
そんなニーズでスキャンしていたので、残念ながらデジタル化したファイルを後々開いて見る機会はほとんどなかった。つまり、従来のスキャンは消極的なものだったのだ。それでも「無用な紙を安心して捨てられる」という絶大な効用があったのである。
しかしiPadの登場以来、利用スタイルが大きく変わった。すなわち「iPadで読むためのスキャン」だ。
iPadなら多数の資料を持ってもかさばらず重さも変わらない。クリアーな画面で書類も見やすく表示してくれるし、操作も簡単で触ればすぐに分かる。そのコンテンツとして自分が必要な書類を扱えたらステキだろう。ScanSnapはその入り口で、書類のデジタル化を一手に引き受けてくれる優れモノなのである。
もちろん従来のような「捨てるためのスキャン」も継続して行なっているが、それに加えて、紙のドキュメントをiPadで見る、読む、加工するということを意図してスキャンする機会は確実に増えた。
これはScanSnapにおけるパラダイムシフトである。iPadによって、見るためにスキャンするという積極的な目的がScanSnapに与えられたのだ。
見やすさ優先で「スーパーファイン」でスキャン
では実際に、私の論文「公表支援のフレームワークとしての著作権法の意義」を使って、手順を簡単にご説明しよう。
この論文は、「成蹊法学」という大学紀要(論文集)に掲載されたものである。論文集に掲載されるとたいがい自分の論文のみを製本した「抜き刷り」と呼ばれる薄い冊子をもらうことができる。スキャンするためにはその背表紙を裁断機で裁ち落とせばいい。ページがバラバラになって簡単にスキャンできる。
もっとページ数の多い書籍を「自炊する」(自分でスキャンする)場合、本格的な裁断機を用意した方がいい。表紙を取り去って綴じてある部分を切るため、プラスの「PK-513L」のように刃が水平に落ちる裁断機が適している。
スキャンの画質は、「自動」「ノーマル」「ファイン」「スーパーファイン」「エクセレント」の5種類から選べる。私はいろいろと試した結果「スーパーファイン」を常用している。
A5版サイズでちょうど30ページあるこの論文をスキャンしたところ、でき上がるPDFのファイルサイズは、「自動」で4.3MB、「ファイン」で4.5MB、「スーパーファイン」で7.6MB。
それぞれを画面で見ると、違いは一目瞭然。圧倒的にスーパーファインがきれいだ。サイズよりも見やすさ重視。というわけでスーパーファインを常用するのである。