とりあえず、手近な撮影対象といえば人物、風景、花ではないだろうか。今ぐらいの季節になると、近くの公園や近所の鉢植えなどに綺麗な花が咲いている。
この花を大きく写したいと思うと、D300Sのレンズセットについているズームレンズ「AF-S DX NIKKOR 18-200mm f/3.5-5.6G ED VR II」(以下ニッコール18-200mm)ではなかなか思ったように近づくことができない。
そこでどうするか、と言えばレンズの交換である。出番となるのはマイクロレンズ(ニコンでは等倍までの撮影倍率のものを“マイクロ”、等倍以上に拡大撮影できる倍率を持ったレンズを“マクロ”レンズと区別しているようだ)と呼ばれる接写に向いたレンズだ。
今回はD300SなどのDXフォーマット向けのマイクロレンズ「AF-S DX Micro NIKKOR 85mm f/3.5G ED VR」(以下、マイクロニッコール85mmf3.5、実売価格6万円前後)と、少し特殊ではあるが「Ai AF Micro-Nikkor 200mm f/4D IF-ED」(以下マイクロニッコール200mmf4、実売価格18万5000円前後)を使ってみよう。
なぜマイクロレンズを勧めるのか?
近年のズームレンズでは最短撮影距離を短くするために光学系全体が動くため、実際の焦点距離が短くなってしまう。一方でインナーフォーカス(IF)を採用したレンズは機種によっては低下するのだが、等倍(仮に1cmの対象を撮影したとき、撮像面でも1cmの大きさに結像するということ)という撮影倍率自体は確保しており、マイクロニッコール85mmf3.5がそれにあたる。
この連載当初から使用しているニッコール18-200mmの最短撮影距離はマイクロニッコール200mmf4と同じく0.5mになる。しかし、実際の焦点距離が短くなるため、等倍の撮影倍率は得らない。
これは最短撮影距離にだけ起こる現象ではなく、無限遠時には200mmの焦点距離はあるが、撮影距離が近づくにつれて焦点距離の低下は緩やかに発生する。普段気にすることがないこの現象だが、いざ思いっきり対象に近づいて接写したい時などは思った以上に拡大することができず、がっかりすることになる。
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