デジタルカメラになって、画像の色調の違いが気になるというユーザーが多い。フィルムの頃であればメーカーによってそれぞれ微妙な色調の違いはあっても、一日のうち一台のカメラでそうそう複数メーカーのフィルムを詰め替えて使用することはほぼ無かったのではないかと思う。
しかし、デジタルカメラの時代になりカメラは露光するだけの機械の箱から、フィルムの役割まで担わされるようになってきた。
さて、編集者Hもフィルムカメラを担いで毎日取材に駆け回っていた時期があったという。ただし、編集部にあったカメラに会社に買い置きしてあるフィルムを詰めて使い終わったら指定の現像所にノーマル現像で流すだけ。デジタルカメラの時代になってもカメラのデフォルトの設定のまま使用し続けているので、「色調なんてどこで変えるの? そもそも変えると何がいいのか?」という疑問さえ浮かばないらしい。
しかし、色調が画像の絵作りを決定することを知っておけば、撮影する対象や状況に応じて変更したり、使用用途によって調整することで、今まで以上の仕上がりを得ることができる。このような機能は各社ごとに若干ネーミングが違うのだが、ニコンにおいては「ピクチャーコントロール」というネーミングになっている。キヤノンであれば「ピクチャースタイル」がそれにあたる。
「ピクチャーコントロール」の基本4種類
「D300S」の「ピクチャーコントロール」は工場出荷時点では「スタンダード」に設定してある。このほかに「ニュートラル」「ビビッド」「モノクローム」の大まかに4種類の設定項目がある。
スタンダードはD300Sの基本的な色調やコントラスト、シャープネスなどが設定されている。ニュートラルはスタンダードよりさらに自然な色調であまり絵作りで演出をしていない設定。ビビッドは鮮やかな色調や強調されたコントラスト、シャープネスの設定がされており、モノクロームは白黒写真を再現できる設定である。
つまり色調の演出具合として、ニュートラル < スタンダード < ビビッドという具合に強くなり、そのほかに彩度をなくしたモノクロームがある、という具合になっている。
ここで間違えてはいけないのはスタンダードといっても「D300Sの基本」であり、画像全般の色調などの基本ではないということ。あくまでメーカーが考えた人間の記憶色に近く、人がパッとみて綺麗と感じられるような画像調整に設定してあるということだ。より自然さを求めるのであればニュートラルの設定のほうが再現色に近い設定になる。
それぞれの設定項目にはさらに細かい調整項目が備わっていて、一口にスタンダードといっても調整次第ではかなり違った印象をもつ画像に仕上げることができる。
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