まずは校正機能を活用してみる
そこで最初に試したのは、「書けまっせ!!PDF4 プロフェッショナルPlus」を使い、校正作業することだ。
この製品は、ラベル作成や帳票記入に特化したツールとは異なり、PDF編集ソフトとしても十分な実力を備え、A1サイズなど大判の出力や、ページ数の多いPDFファイルでも十分に扱うことができるのだという。そこで、青空文庫に掲載されている芥川龍之介作。「芋粥」を校正してみることにした。
芋粥は決して長編ではないが、A4サイズ、二段組みのPDFファイルにして12ページ。帳票や簡単な書類に比較すればかなり容量が大きい。それだけに使う前には、読み込みスピードや編集作業のスピードに若干の不安を抱いたのだが、それは杞憂だった。読み込む際、待ち時間はほとんどなかったし、編集作業でも問題はなかった。
利用したテキストが旧仮名遣いで書かれ、あちこちにルビがふられているので、旧仮名遣いを直し、ルビを取る指定をしてみた。
手書き同様、直す部分をタブレットのペン入力機能で作業することも可能だが、最初はマウスと「取消線」機能を使い、修正する文字の上に赤線を入れる。この作業は思いのほか、スムーズに進み、紙に手で線を入れるよりも迅速に進んだ。
取消線を入れた上に、タブレットを使って校正する内容を指示する書き込みを入れる。最初は慣れないタブレットに戸惑ったものの、何回か作業を繰り返していくとこちらも思いのほか、いい感じ。見た目は手で校正をしているのと変わらない。
また、ルビについては、「修正テープ」も利用してみた。この機能は、ファイルそのものには手を加えず、表面に修正テープを貼るものなので、ルビはない方が読みやすいのか、あった方が読みやすいのか、見比べることができる。ファイルそのものを修正してしまうと、このように見比べることは出来ないので、作業途中で利用するには面白い機能だといえる。
Acrobatには注釈機能が用意されているが、校正した箇所を丸で囲んで強調したり、言葉では伝わりにくい内容を図や表などで示すといった使い方には不向きだ。校正箇所が若干目立ちにくく感じる部分がある。
PDFファイルに直接文字を書いたり、画像を貼り付けることができるため、紙にペンで書く校正により近い雰囲気で利用できる。こうした校正作業は、筆者のようなライターに限らず、企業の提案書、企画書など色々な場面で利用することができるのではないか。