R700世代最初のRV770は
GDDR5でメモリーバスの不足を補う
ATI/AMD編の4回目にして、ようやくロードマップが現在に追いついた。デュアルGPUの「Radeon HD 3850 X2」の発表からわずか2ヵ月後の2008年6月、AMDは「Radeon HD 4850/4870」を発表する。コアとしては「RV770」であるが、Unified Shader(統合シェーダー、AMDの呼び方ではStream Processor)の数は800と、RV670の倍以上に膨れ上がる。
処理性能が上がれば、相応にメモリーも高速化しないとバランスが悪くなる。だが、RV770はメモリーバスを引き続き256bit幅に留めて、その代わり高速なGDDR5メモリーを全面的に採用した、初めての製品ということになった。この手法は、メモリーはGDDR3のままに留めつつ、メモリーバス幅を512bitに広げたNVIDIAと対照的なアプローチである。
短期的にはGDDR5は高止まりしていたし、シングルエッジの信号で最高5GHzのバス周波数というのは、基板設計の面でちょっとした挑戦であることは間違いなく、明らかに「GDDR3で512bit」の方が安くつく。しかし、GDDR5の流通量が増えれば価格差は縮まるし、512bitと256bitでは配線層の数もチップの個数や占有面積でも大きな差となるから、長期的に見れば256bitの方が安価に仕上がる可能性が高い。実際に価格面ではそういう動きになった。
もっとも、NVIDIAも次のGT300世代でGDDR5を導入するし、AMDもR800世代はまだしも、さらに先のR900世代では、おそらく256bit幅では性能面でどうにもならなくなると思うので、最終的にはどちらもあまり変わらない道を歩む、という感じだ。
話を戻そう。RV770コアはダイサイズが256mm2と、GPUとしては常識的な範疇に収まっており、当然これは製品コストにそのまま反映される。よって、それなりに低コストの製品が出荷された。もっとも、前モデルのRV670(Radeon HD 3870/3850)は135mm2だったので、シェーダー数の多さがそのままダイサイズに反映されたような感じだ。
R700世代の製品構成は、Radeon HD 3xxx世代ときわめて似通ったものになった。まずRadeon HD 4870と同時に、構成はまったく一緒ながら動作周波数をやや落とし、GDDR3/4メモリーを使うことで低コスト化を図った「Radeon HD 4850」も発表される。また2ヵ月後の2008年8月には、RV770をデュアル搭載した「Radeon HD 4870 X2」「同4850 X2」も発表される。これらはいずれもハイエンド向けだ。

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