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強い日差しには日焼け止め。複雑なSANにはこれ!

マルチベンダーでSANを見える化する「SANscreen」

2009年07月31日 09時00分更新

文● 大谷イビサ/TECH.ASCII.jp

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7月30日、ネットアップはストレージ環境の可視化ツール「SANscreen 5.1」の提供を開始した。発表会ではFC-SAN市場でのシェア拡大を図る同社の戦略とともに、SANscreenが実現する機能が紹介された。

FC-SAN市場でのシェア拡大を実現する戦略製品

ネットアップ株式会社のマーケティング部 部長の阿部恵史氏

 ネットアップの日本法人は2012年に国内オープンシステム市場のトップ5位に入ることを目標にしており、1位のNASをキープしつつ、市場2位に甘んじているiSCSI市場とFC-SAN市場に食い込んでいくことを事業戦略としている。確かにネットアップはNASのパイオニアとしてシェアもブランドもあるが、FC-SANに関してはシェアも9位の0.35%(IDC調べ)に満たないという。そのため、FC-SANの分野でも大きなてこ入れを進め、「『NASは強いんですね』といわれたら、『NASも強いんです』と答えられるようにしていきたい」(ネットアップ株式会社のマーケティング部 部長の阿部恵史氏)という。

FASのプラットフォームを軸に3分野に注力する

 SAN市場に関しては、同社の主力製品であるFASシリーズのメリットがSAN環境でも享受できることをアピールしつつ、おもにデータ保護、仮想化、運用管理という3つの分野に注力。このうち運用管理の分野における戦略製品が、今回発表された「SANscreen 5.1」である。

既存製品に不満を持つユーザーも狙う?

 SANscreenはストレージ環境を統合管理する製品。エージェントレスで、マルチベンダーのストレージに対応するほか、プロトコルも選ばない。2008年1月に買収したオナロ社の製品をベースにしたもので、バージョン5.1で日本初投入になる。

 SANscreenはデータセンターにおいて、アプリケーションとインフラを結びつけて構成されたサービスの最適化を支援する機能をモジュール単位で提供する。基本モジュール「Service Insight」をベースに、データ管理ポリシーに従ってシステムが利用されているか監視する「Service Assurrance」、VMwareのvCenterと連携し、システム構成や使用状況を可視化する「VM Insight」、パフォーマンス管理や未使用リソースの特定など、アプリケーションごとのシステム構成を行なう「Application Insight」、ストレージの使用率などを調べ、増加傾向や調達時期を明確化する「Capacity Manager」などのモジュールで構成される。これらのモジュールを適切に組み合わせることで、ストレージの容量を管理したり、統合と移行をテストしたり、パフォーマンスを最適化したり、仮想化や階層化の設計を容易に行なえるようにする。

「Service Insight」によって収集されたシステム構成を表示

VM InsightでVirtual Machines、Topology、VM Pathsを選択表示させている

各ストレージの使用傾向やコスト傾向、ユニットやアプリケーションごとの使用率など

 SANscreenのメリットは、ネットアップ製品のみではなく、他のベンダーの製品でも同じように情報収集と可視化を実現する点だ。ネットアップはもちろん、EMC、HP、IBM、Sun、HDSなどのベンダーの製品の情報をAPI経由で収集し、複雑なデータセンター環境を短期間で可視化できるのが大きなメリット。他のベンダーの製品では自社製品の可視化や設定変更まで行なえるが、SANscreenはエージェントレスで広く構成を見える化する点を重視する。阿部氏は「オナロ社の創業者と話をした限りでは、他社のSANやストレージ管理製品を導入して、不満を感じているユーザーが多いので、こうした製品を開発した」とのことで、他社製品からの乗り換えも視野に入れるとのこと。

 構成としては、情報を収集するサーバを1台立て、各ストレージの管理ポートから情報収集。また、リモートのデータセンターで情報収集するスレイブユニットを使うこともできる。価格はモジュールごとに異なるが、基本となるService Insightが275万2000円(税別:参考価格)。

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