このページの本文へ

ネット流行通信〜アバターでコミュニティーは楽しくなるのか?〜

2009年02月17日 14時00分更新

  • この記事をはてなブックマークに追加
  • 本文印刷

ネット流行通信〜アバターでコミュニティーは楽しくなるのか?〜

皆さんは、「アバター」をどのようにお使いだろうか?

「アバター」とは、比較的大規模なコミュニティー系サイトで用いられる、「自分の化身となる」キャラクター、またはそれを提供するサービスのことを言う。
自分の化身として使用したり、理想の美少女・美少年キャラクターをバーチャルの世界で活躍させる人もいるだろう。「アバター」のクオリティが高くなり、より精密なデザインが増加したこともあり、様々な目的を持つ人々が「アバター」ライフを楽しんでいる。
ちなみに、ゲームのキャラクターについては「アバター」とは呼ばず、あくまでコミュニケーションツールで使用する「自分の化身」としてのキャラクターを総じて「アバター」と呼んでいるようだ。
インド神話や仏教説話の文脈で「(神や仏の)化身」という意味を持つサンスクリット語の「アヴァターラ」が由来。意味が似ていることからネットワーク用語として転用されている。

<アバターは、本当に利用されているのか!?>
皆さんなら当然ご存知だと思われる「アバター」だが、個人的な感覚から言うと、認知度自体は高が実際に利用している人は少ないように感じる。
単純に掲示板やブログの中で着せ替えるだけのアバターなら、使用している人もちらほら見かけるが、それを使ってできることはせいぜい顔や服装を変える程度で、アバターというよりは自己紹介用の似顔絵に近い。そしてそれを「アバター」として認識している人も少なく、「アバター」を理解している人間からすると、全く満足できないクオリティだ。
「アバター」と言うなら、3Dデザインでテレビゲームのように画面上を動き回り、仮想空間の中で現実とは違った第二の人生を歩めるくらいのクオリティがないと、面白みがない。
とはいえ、3Dアバターなどを利用する場合、ある程度高いスペックのパソコンが必要であったり独自ビューワが必要である場合が多い。一般ユーザーにとっては、これがハードルとなっているようだ。これに関してはインテルやマイクロソフトがすでに動き出しているため、今後はこのハードルは低くなっていくことが予想される。

<いくつかのサイトでアバターを楽しんでみた!>
「アバター」を楽しむためにはどのサービスを利用すればいいのか?独断で選んだサービスを紹介する。

■セカンドライフ http://jp.secondlife.com/
仮想空間の代名詞ともなっているセカンドライフ。ここにアクセスした時に、まず3Dポリゴンが普及し始めた頃のゲームソフトを思い出した。アバターの等身は高く、「可愛らしさ」には欠けている。非常に重いため、低スペックのパソコンでの操作はかなりしんどい。
このサービスは、やり始めはバーチャルな世界でコミュニティーを作り出してゆく、といった特異性が楽しめるが、ユーザーは飽きやすい傾向にある。日本では2007年前半にニュースに取り上げられるなどして登録者数が増加していたが、2007年7月をピークにその数も減少している。
オンラインゲームのように決められたストーリーと目的が明確ではないため、「話題なので登録してみた」というユーザーが、目的を見出すことができずに、最終的には放置してしまうパターンが多いのだ。実際に登録してログインしてみても、最初は何をすればよいのかがさっぱり分からなかった。「ゼロから何でも始められる世界」を売りにリリースしたセカンドライフだが、持続できるだけの仕掛けと結果に繋がる因果関係の用意が足りないことが残念だ。
ただ、現実さながらの独自通貨が流通して、現実では起業できなかったユーザーがセカンドライフの中で会社を興し、まさに「セカンドライフ」を展開できる点は、面白い。

■プーペガール http://pupe.ameba.jp/
ここで使われているアバターは3Dではなく平面的で、ファッション情報交換サイトというだけあって、アバターのデザインは非常に可愛らしい。ターゲットはやはり女性なので、外見が可愛らしいアバターの髪型や服装を変えながらコミュニティーを増やしていくという手法は評価が高く、登録者数は20万人を越えている。
実際に持っている服の写真を投稿し、情報を交換できるサービスは、ファッション好きには魅力的だ。自分が購入したアイテムをサイト内で自慢できるというのも、なかなか楽しいものだ。トレンドに敏感な女性ターゲットを飽きさせないため、アバターに着せる洋服も緻密なデザインのものが多く、登録者からの公募でデザインコンテストを行うというイベントも開催している。
ただ、女性がターゲットというだけあってシステムは単純で、コアなユーザーには物足りないのではないだろうか。情報が充実していて楽しめるが、ファンション中心のコミュニティーであるため、あくまでもファッションコミュニティーとしてサイトを楽しむことがいいかもしれない。

■iA(インターネットアドベンチャー) http://ia-world.jp/
iAを知らない方も多いだろうが、これは全く新しいコンセプトのコミュニケーションを目的としたインターネットブラウザである。全くの仮想空間内で別世界を展開するセカンドライフなどと違うのは、通常誰もが行っているインターネット上でのWebサイトアクセスにコミュニケーションツール(空間?)を付加したような、ちょっと説明のし難いサービス、だという点だ。一度やってみるとすぐに理解できるので、ここに(http://ia-start.jp/trial.html)ちょっとアクセスしてみてほしい。アバターの印象としては、昔のポリゴンRPGに近い。昔セガサターンから出ていた何かのソフトに似ているのは、発行元がセガだからだろうか。テレビゲームに比べると素朴なデザインだが、懐かしさも覚える。
世界を創造してゆくセカンドライフとは違い、既に存在するWebサイトそれぞれが「アイランド」として空間を持ち、ユーザーがその中でアバターを通じてコミュニケーションしていくこのサービスは、全く新しい。
この中でできることは誰かと一緒にネットサーフィンができること、コミュニティーの中でお金を貯めて、アバターの装備を変えてゆくこと、などだ。
アバターのスタイルは細かく変更できるが、パーツとしての種類はまだ少ないかもしれない。例えば他のパーツについては理想に近い形に組み立てられたが、目の印象だけが合わなくて、いっそ自分で描いてしまいたいと思うユーザーも出てくるかもしれない。パーツのデザインも極端なものが多いので、もう少し種類が増えると嬉しいのだが。
サービス自体は、今までにないものなので、ユーザーがどのようにこのサービスを活用していくかで今後さまざまな広がりが期待できるだろう。

<今後注目できるアバターサイトは?>
落ち目に陥っているセカンドライフだが、仮想空間が今後どのように活用されるかによって、注目すべきサービスではある。しかし、なんとなく敷居が高いことも否めないのではないだろうか。「なんとなく登録した」ユーザーの離脱をどう足止めするかが問われる。
プーペガールについてはひとつの情報に特化し情報共有を目的としている分かりやすさがあるが、新しいサービスを進めていかなければマンネリ化する恐れは否めない。
どちらも自分からアクションを起こさねば面白みを見出せない、という点から「飽き」が起こりやすいという問題点があるが、iAはどうだろうか。コミュニティーの中で何かをする、という目的意識には欠けるものの、とりあえずログインをしておけば、通常のWebサイトアクセスをしているだけで、サイト内の空間(=アイランド)に自分のアバターが立っているため、思いがけず他のユーザーから声を掛けられコミュニティーが広がっていくかもしれない。つまり、自発的に何かをせず「待って」いても他者とのコミュニケーションが広がるかもしれないという可能性を秘めている。

セカンドライフのように密なコミュニケーションではなく、お手軽なコミュニケーションを取りたい、というユーザーにはおすすめだ。「同じサイトを見ている=同じ趣味を持っている」という場合も多いので、気が合う仲間を見つけられる可能性も高い。
1人でじっとパソコンに向かっているという暗いイメージから一転し、インターネットは仲間と集まる楽しい時間になるのだ。
チャットや仮想空間などよりも、インターネットブラウジングという日常の行動をしながらアバターを使用して気軽にコミュニケーションができるiA。チャットなどよりもアバターを使用した方が、ダイレクトに感情を表現できるため、家に籠もることが多いユーザーを中心に、徐々に広まってゆくことが期待できる。


News2uリリース詳細へ

News2u リリース詳細へ

週刊アスキー最新号

編集部のお勧め

ASCII倶楽部

ASCII.jp Focus

MITテクノロジーレビュー

  • 角川アスキー総合研究所
  • アスキーカード
ピックアップ

デジタル用語辞典

ASCII.jp RSS2.0 配信中