ノイズ感の少ない見やすい映像は共通の持ち味
TM350の中間色の美しい再現が秀逸
では、それぞれの画質を見ていこう。まずはTM350でアクティブモードを試してみた。撮影はカメラを構えながら石造りの洋館の正面の階段を上って右に曲がる、という動作を行なった。アクティブモードの撮影では、歩行時の上下左右の動きは十分に抑えられており、階段を上るときの動きもスムーズだ。
アクティブモード
スタンダードモード
手ブレによる不安定な動きが残るときでも、その動きはゆっくりとなめらかで、見ていて違和感を感じないのが本機の良さだと感じた。ただし、身体を捻って横に移動するときの回転するような動きは追従しきれていないようで、フラフラとした画面の動きが目についてしまう。スタンダードなズーム撮影向けのモードでは、上下よりも左右のブレが気になってしまう。この映像を見ると、「アクティブモード」の効果が実感できるだろう。
TM350とTM30の画質の違い
次に色味などの画質についてTM350とTM30で比べてみた。TM30は最新のフルハイビジョン撮影モデルとして考えると、解像感はやや甘く感じる。撮像素子の解像度が有効117万画素と少ないことが原因だろう。
ただし、ノイズ感のない見やすい映像は好印象で、花壇の花が風で揺れていても不自然にザワついた印象にならない。色は赤い花の濃い赤色や白い花の微妙な色の違いなどはしっかりと再現されており、TM350に近い優秀なもの。
一方でTM350はややソフトな印象はあるが、解像感や草花の葉の細かいディテールなどはしっかりと再現できる。特筆したいのが色の豊かさで、赤い花の明るい部分と暗い部分の色の違い、白い花の中心のめしべの黄色がはっきりと出る。
従来モデルでは、やや人工的な色の豊かさが気になったが、世代を重ねることで色再現がどんどん自然になり、本機の場合ではグリーンの鮮やかさよりも、緑の微妙な色の変化を豊かに描くようになっている。とくに黄色などの中間色の再現が上手で、人物の肌の色なども豊かに再現できるものと思われる。色やコントラストでくっきりとメリハリをつける画作りとなっており、大画面テレビで見ても見やすい印象だ。
撮影した動画のサンプルファイルを用意した。ファイルの再生にはAVCHD対応プレーヤーなどの再生環境が必要となる。
自然な色味に進化した絵作り
パナソニックだけの3MOSセンサーによる画作りは、着実な進歩を遂げていることを実感した。これまでの濃厚な色はずいぶんと自然になり、中間色や細かい色の変化をしっかりと描くことで色に厚みが増したと感じる。
そして、解像感としてはやや不満があるが、1MOSタイプのTM30でもこの厚みのある色が再現されているのは好印象だった。
さて、気になるのはソニー、キヤノンの最新機種との画質や手ブレ補正性能の違いだが、このあたりは後日詳しく検証してみたい。