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鼎談──キャリア・端末・OSの視点で語る

国内初のAndroid端末「HT-03A」はこうして生まれた

2009年07月17日 10時00分更新

文● ASCII.jp、写真●小林 伸

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操作性にこだわったHT-03A


HT-03Aは、HTCのAndroid端末としては第2世代となる。海外では昨年秋に、「G1」と呼ばれる第1世代のAndroid端末が発売されている。G1では、QWERTYタイプのハードウェアキーボードを採用しているが、日本初となるHT-03Aはタッチパネルを採用した。なぜ、QWERTYキーではなくタッチパネルになったのか。

QWERTYキーの搭載に関しては、最後まで悩んだという板倉氏

板倉 「実はQWERTYキーを採用するかどうかで、最後まで悩んだのは事実です。しかし、日本初となるAndroid端末という市場へのインパクトを考えた時、Androidの操作性の良さをフルに発揮できるタッチパネルで行こうという結論になりました。最初は戸惑う人がいるかもしれません。しかし、かなり使いやすいタッチパネルに仕上がっていると思います。日本語入力も辞書の学習能力も高く、使えば使うほど快適になっていきます」

トム・モス 「タッチによる入力はうまく機能しているので、キーボードがいらないくらい操作性がいい。押したときに振動するフィードバック機能があるのも便利です」

実際にHT-03Aを使ってみると、タッチパネルはもちろんだが、画面下にあるトラックボールの使い勝手がかなりいい。パソコンのように自在にポインターを動かし、クリックしたい場所まで移動できるのが快適なのだ。

板倉 「これまで様々なケータイで、いろいろなポインティングデバイスを扱ってきましたが、HT-03Aは決定版だと思います。拡大縮小もできて、細かいところにもピタっと移動できる。心地よく気持ちよく使えるんです」

デビッド・コウ 「使ってもらえれば良さが分かると思います。ウェブサイトや地図のスクロール機能も、指先で回していくだけで簡単に使えます。いままでのボタンはスクロールのために何度もボタンを押さなければならず煩雑でした。Android端末にトラックボールは必須だと、HTCでは考えています」

もうひとつ、HT-03Aで特徴的なのが地磁気センサーだ。本体をかざした方角や仰角が分かるというメリットを、さまざまなアプリケーションに応用できる。例えば、Google マップのストリートビューは、ケータイの向きや傾きに合わせて自動的に表示内容が変わるパソコン版にはない機能も備えている。ドコモはHT-03A向けに、現在地からケータイをかざした上空にある星座や、自分が端末を向けている方角にどんなランドマークがあるかを知ることができる「ポケット羅針盤」というアプリを開発し、内蔵した。

デビッド・コウ 「地磁気センサーを内蔵したことで、HT-03Aはとてもパワフルになったと思います。Google マップやゲームなどでも実力を発揮できるでしょう」

ポケット羅針盤。地磁気センサーを利用した魅力的なアプリケーションも今後増えていくだろう

トム・モス 「HT-03Aがパソコンよりも面白いことが出来るのは、地磁気センサーがあるおかげですね。ストリートビューだけでなく、今後もさまざまなアプリケーションが登場するでしょう。世界の開発者が取り組んでいるものでは、例えばカメラで撮影している画像にメタデータを表示する拡張現実(AR)アプリが面白いと思います。現在地周辺の情報を、GPSの位置情報や、地磁気センサーの方角情報と組み合わせて取得して、レストラン情報などを画面に表示するものです。今後、世界中で革命が起きて良いアプリがいろいろと出てくると思います」

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