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鼎談──キャリア・端末・OSの視点で語る

国内初のAndroid端末「HT-03A」はこうして生まれた

2009年07月17日 10時00分更新

文● ASCII.jp、写真●小林 伸

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企画開始から1年とまったく新しいプラットフォームの製品としては従来考えられないほど早く市場投入できたHT-03A。その実現の経緯について聞く

3社はなぜ手を組んだのか?


それではドコモはなぜ、日本初となるAndroid端末の開発するために、HTCと手を組んだのだろうか?

板倉 「2008年1月のグーグルとの提携後、Android関連のプロジェクトが本格的に始動したのが7月頃でした。そのころ、Android端末の開発で、世界をリードしていたのがHTCでした。ドコモに納入実績のあるHTCであれば魅力的なAndroid端末をスムーズに日本市場に投入できるという判断でした」

HT-03A。写真のホワイトのほか、ブラックのモデルも用意されている

板倉 「こういう面白いデバイスは1日でも早く発売したほうがいい。そう思って、投入時期の調整を厳しく行ってきました」

デビッド・コウ 「HTCにとって、日本は戦略的に重要な市場です。HT-03Aについては最優先プロジェクトとして、最大限の努力をしてきました。これまでの製品では、日本と他国の投入時期が大きくズレてしまうこともありましたが、今回はドコモやグーグルの協力もあって、世界とほぼ一緒に出すことができました。本来ならば、もう少し長い開発期間が必要なのですが、3社が重要と考えていたからこそ、このタイミングに間に合った。そのことだけでも、新製品に対するHTCの意気込みが分かってもらえると思います」

日本市場にAndroid端末を投入するにあたり、日本語入力などいくつかの仕様が追加された

わずか1年という期間で製品化にこぎつけたHT-03A。国内では実績のない、まったく新しいプラットフォームであることを考えれば、驚異的な速度と言えるだろう。これにはHT-03Aが、世界市場で展開している「HTC Magic」をベースにしたものであることが関係している。しかし、そのままの仕様で日本に持ってきたわけではない。日本市場に適したカスタマイズが必要だった。どのあたりに「日本仕様」が盛り込まれているというのか。

板倉 「基本的に日本の制度や習慣に合わせた機能が盛り込まれていますね。例えばカメラのシャッター音とか、ドコモの800MHz対応とか。特に日本語変換においてはかなり努力しました。日本市場でも満足してもらえる、高精度な変換能力を備えたと思います。このあたりは苦労して、いろいろと悩んだところでもありますね」

トム・モス 「日本語変換入力は大事だと認識し、日本のケータイの日本語変換入力で実績の高いオムロンと共同で日本語入力機能を入れました。Androidのベースとなる部分も日本向けに調整してきたんです。今後も日本向けの機能などを提供していくつもりです」

HT-03Aは日本市場でニーズの高いストラップホールを装備している。第1世代機のG1にはないものだったが、第2世代の「HTC Magic」(HT-03Aのベースになった機種)の開発にあたり、追加されたものだという

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