なぜ、あのネットショップは今日も繁盛しているのか? なぜ、自分のショップでは商品が売れないのか?
他にはない強い商品開発力、他店を引き離す圧倒的な集客手法、一度捕まえたお客を逃がさない囲い込み術……と、成功したネットショップには現場で蓄積されたノウハウがある。本連載では、全国の優れたネットショップの事例からそのノウハウを公開。あなたのショップの“勝ちパターン”を見つけるヒントにしよう。
■今回の成功ネットショップ:
ベビー用スリング専門店『Happy!hughug』(はぴはぐ!)
2003年開業。年商非公開。育児経験を生かしたオリジナルスリングの製造販売を開始。スリングアドバイザーとして各地のスリング講座などの講師としても活躍。日本ベビースリング協会会員。
- URL:http://www.happyhughug.com/
- 店主:藤原真希枝さん
ネットだけに頼らずに、リアルな場を活用するメリット
ネットショップで売上げ増を目指すには、SEOやSEM、広告出稿等を活用し販促力を高めたいところですが、そうした販促予算を十分にかけられないお店もたくさんあります。そこで視野に入れたいのが、ネット以外の販売チャネルを活用すること。商品に関連のあるフェアやイベントへの出店、実店舗で委託販売などはその代表格です。
「スリング」と呼ばれる赤ちゃんの子守帯を販売する『Happy!hughug』(はぴはぐ!)の場合、店主の藤原真希枝さんは、スリングの使い方を教える講習会を月に7~8回ほど開講しています。
実際に商品を確認できるのがリアルの強み
ベビースリング協会を立ち上げ、メディアにも登場していた藤原さんに、企業やボランティア団体が講師の依頼をしたことがきっかけで始まった講習会でしたが、現在ではその場でスリングの即売を行ない、瞬く間に完売することもあるそうです。
こうした“リアルな場”を活用するメリットは、ネットショップの最大の弱点である「実際に商品を手に取れない」点がクリアになること。商品の良さを実感してもらえれば、ネットへの誘導も容易になります。
時代のニーズをキャッチし商品開発に活かす
もうひとつ、リアルな場を活用するメリットを、藤原さんはこう指摘します。
「お客さんと“リアル・コミュニケーション”を持てること。商品に対する感想が直接聞けるだけでなく、スリングであれば、新生児をもつお母さんたちがどんなことに関心を持っているのか、悩んでいるのかなどの意見を聞く機会も多く、“今”を掴むことができるんです。それは、新商品開発時などで威力を発揮します。」
お客さんの生の声を聞くことは、時代のニーズをいち早くキャッチすることに直結し、真に求められるモノを提供することにもつながるのです。当然、口コミ効果も期待できますが、その場合も商品に他と比べてよほど抜きん出たものがないと、お客さんは広めてくれません。その点、『Happy!hughug』の商品には、完売するほどの理由がありました。次ページではその詳細を紹介しましょう。
――ネットショップのエキスパートが斬る!――
“ネット外”に誘導する意識を持とう
ネット外で商品販売する最大のメリットは、「ネットとは比較にならないほどマーケットが大きい」こと。多くの業界で、ネット上で商品が取り引きされる割合はわずか1%前後と言われますが、ネット外を使い、残り99%にリーチできれば計り知れない可能性があります。
たとえば、実店舗で商品を委託販売している場合は、名刺やチラシを配りお客様にネットショップの存在を知らせると同時に、ネットショップに来店すれば「商品が割引価格で買える」「送料が無料になる」など、何らかの特典も用意しておきます。
また、QRコードを掲載し、携帯サイトからの購入も可能にしておくことも重要です。ネットで商品をチェックしたお客様が、最寄りの百貨店で実物を見てから、再びネットに来店して商品の購入に至るケースはよくありますが、このときの理想形は、帰りの電車からネットショップにアクセスして即、購入してもらうこと。「いかにネットに誘導できるか?」――その方法は日頃から考えておきましょう。
森本繁生:有料会員制協業事業フォーラム「オンラインショップマスターズクラブ」運営。ブログ「森本繁生のEC道」
メディアミックスも有効
ネットショップがネット以外の「媒体」や「販売の場」を活用するのは、もはや常識。たとえば、雑誌やテレビなどに積極的に働きかけ、露出をテコにブレイクする事例は枚挙にいとまがありません。メディアに露出し、そこからネットに誘導するメディア+ネット=「メディアミックス」は初心者ネットショップでもぜひとも活用したいところ。
ターゲットや販売商品を考えて、効果が期待できると思える雑誌を販売している出版社にリリース情報を送るなど、自らを売り込んでいく姿勢は重要と言えます。また、メディア関連の人の目に留まりやすくする意味で、たとえば化粧品なら『アットコスメ』など、その商材のポータル的なサイトへ商品やショップの掲載を依頼することも有効と言えます。
山田雅彦:有限会社サーブ代表。IT&インターネット活用のコンサルティングサービスを提供。