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コンテナ一杯の粉ミルクを毎月中国に売る方法 (2/2)

2009年04月28日 17時57分更新

文●小橋川誠己/ASCII.jp

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すべての手続きをネット上で完結

 そこで、アリババとネットプライスドットコムが共同で立ち上げたのが「中国向けオンライン貿易サービス」だ。新サービスでは、国際決済機能、国際物流機能、通関・貿易業務代行などをオンラインで提供する。具体的には、ネットプライスと契約する日本の売り手企業が商品の情報をデータベースに登録。登録済みの商品はアリババの専用サイトに掲載され、中国の買い手企業が自由に見られる。買い手側は必要なロット数を入力、アリババのネット決済サービスを利用して元立てで代金を支払えば、ネットプライスを通じて商品が納入される仕組み。必要な通関手続きはネットプライスが代行、配送業者の手配なども肩代わりする。

新サービスの概要。必要な手続きをすべてネットプライスとアリババが代行する


 両社はすでに翻訳や問い合わせ対応などを請け負うサービスを展開しており、既存の支援サービスと合わせると、「国内のネットショップで買い物をするような感覚で、オンライン上ですべての取引が完了する」(香山社長)。アリババとネットプライスは、「卸業者のような位置づけ」(ネットプライスドットコムの佐藤輝英社長)となり、売り手側が示した卸値と、ネットプライスが買い手側へ提示する販売価格との差額を収益にする。

中国企業(買い手企業)向けの画面。一般的なECサイトのようなインターフェイスで必要な数量や支払い方法などを指定して発注する


 ネットプライスの佐藤社長によると、先行して実施したトライアル販売では、「粉ミルクやベビー用品のような安心・安全が求められているもの、高感度な日本のファッション・アパレル製品」の注文が多かったという。「粉ミルクを40フィートコンテナ、加工食品を毎月1000kgといった具合に、巨大な中国市場のすごさを肌で感じる引き合いがある」と話す。

トライアルで売れた商品。品質が求められるもの、流行に左右されるものが強い

 現在の参加企業は100社・1000アイテムで、今期の取引高としては100億円を見込む。今後、参加企業を増やしていく計画で、「1年で300社~500社程度まで伸ばしたい」(佐藤社長)という。

 これまで簡単ではなかった中国への輸出のハードルをぐっと下げた新サービスは、独自の商品を持つ中小企業にとって魅力的だ。国内でのネット販売の“次”を模索している企業には有力な選択肢の1つになりそうだ。

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