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中国版デジタルデバイドをねらえ!

リアル店舗のバックにインターネット お店で注文するネット通販

2008年01月11日 17時02分更新

文● 山谷剛史

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月刊アスキー 2008年3月号掲載記事

各国のEコーマス市場規模

中国インターネット利用者の数=全人口の1割や、日米の市場規模に比べるとかなり少ない。オンラインショッピングの利用者は近年ようやく増え始めている状況だ。ちなみに中国最大のB2Bサイト「アリババ」、B2Cサイト「タオバオ」を運営するアリババグループにはソフトバンクが33%出資している。

 中国のインターネット利用者は1億7200万人(9月末)で、これは全人口のほぼ1割強にあたる。中国人のインターネット利用者層は若者が中心で、近年オンラインショッピングの利用者が上海、北京、広東省の中国の先進的な地域で急増している。特に市場規模が大きいのはC2C(個人間取引)市場で、日本にも展開するアリババの配下の淘宝網(タオバオ)が半数以上のシェアを独占している。

 一方B2C、つまりオンラインショッピングの市場規模(2006年)は、前年比2桁増を記録したが、C2Cに比べてかなり小さい。また、C2Cサイトにおける淘宝網の独占状況とは異なり、シェア1位の当当網とシェア2位のアマゾン中国こと卓越網を除いた残りの70%の市場に、5万ものB2Cサイトがひしめている。ちなみにB2Cサイト登録人数総数は前年比63%増の9409万人だ。

2688.comのサイト画面

これが2688.comのサイト画面。デジタルグッズというよりも、むしろ身近な生活に関連した商品が多い。

 ところで、中国では40歳以上を境にそれ以上の年齢ではインターネットの利用率はぐっと下がる。つまり中国のインターネットは若者中心で牽引されていて、お金を持っている中高年齢層はほとんどインターネットを利用しないし、ひいてはオンラインショッピングを利用しない。この世代間ギャップに切り込み、B2C市場を押し上げそうなショッピングサイト「2688」が2007年5月に登場した。これは、中国全土の2688提携店で、2688が擁する約20万点の商品を注文し受け取ることができるというもの。ある都市に提携店があれば、サイトでオーダーしてその商店より商品を無料で配達してくれるほか、商店で商品注文を代行することもできる。つまりインターネットが利用できない中高年層にも、提携店を通しインターネットを利用せずにオンラインショッピングを利用することができるのだ。加えて商品の初期不良など問題があったときには提携店がサポートセンターとなり商品を引き取る。

 提携店となるには商店内にインターネットに繋がるパソコンがあることと、3000元(約4万5000円)の契約金を払うことが条件となる。中国人にとっても敷居の高くない条件のため、都会はもちろん内陸の地方の小都市にまで提携店は存在する。場所によっては当当網と卓越網が配送できない地域に2688の提携店があるというところもある。そこでは2688の独断場だ。

 2688は先行する当当網と卓越網とは異なるサービスで新規利用者を呼び込み、既存のB2C利用者に対しては送料無料と近所の店でのアフターサービスという武器で攻勢をかける。まだまだ巨大市場が潜在する中国B2C市場を開拓できるか。

2688の提携店。インターネットを意識させない簡易カタログも配布されている。

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