ノイズキャンセリング(NC)対応ヘッドホンが人気だ。ソニーやボーズといった従来から製品を販売しているメーカーに加え、オーディオテクニカや日本ビクターのような老舗のヘッドホンメーカーや、日立マクセルのような新規参入メーカーなども続々と対応製品を発表し、市場は大変な活況を呈している。東北パイオニアもそんな新規参入組のひとつだ。同社は、“ドルビーヘッドホン”対応のワイヤレスヘッドホンなどでも知られているが、10月に発表された「SE-MJ7NS」は“業界初”をうたうサラウンド機能を搭載したNCヘッドホンだ。
2つのマイクで高度なNCを実現
まずは、SE-MJ7NSの機能面での特徴を紹介する。
装着したところ。 |
最初の特徴はハウジングの外側と内側に2種類のマイクを搭載し、“アクティブ型”と“フィードフォワード型”のNCをサポートする点が挙げられる。一般的なNCヘッドホンは、周囲の騒音をマイクで広い、その逆位相を出力に加える仕組み(アクティブ型)のみを搭載している場合が多いが、本機ではハウジング内部のマイクで集音した結果で補正もかける(フィードフォワード型)ので、より適切なNC効果が得られるというわけだ。
もうひとつの特徴は、米SRS Labs社のサラウンド技術“SRS Headphone”に対応した点。これは、音像が定位する位置を頭の外側に置くことで、より自然な広がり感を実現する技術だ。頭の中央で音像が定位する一般的なヘッドホンのような違和感を感じさせないという。
NCの効果は、300Hzで15dB以上というスペック。同社の説明では電車や飛行機の騒音を約1/5に低減できるという。直径40mmと大きめのドライバーユニットを搭載した密閉型ヘッドホン(オーバーイヤータイプ)で、マグネットには高磁力な希土類磁石を採用している。音量に関しては、ハウジング部分のつまみで微調整できる。
音質に関しては、大口径ユニット搭載+密閉型ということもあり、エネルギッシュな中低域とメリハリ感の高さが印象的だった。
オーバーイヤータイプながら携帯性にも配慮
NCの操作はハウジング部分の下側に用意されたスイッチで行なう。モードとしては、NCをオフにした状態、NCのみを動作させた状態、NCとSRS Headphoneを両方有効にした状態の3種類が選べる。イコライザーや電源はヘッドホン部分に内蔵しているので、ケーブルの取り回しなどに苦心することはない。
NCモードの切り替えスイッチ。3つのモードが選べる。 |
希望小売価格で8800円(実売6000円台)と比較的安価な部類に入る製品だが、作りはしっかりとしている。ハウジング部分にメッキパーツを使用したり、イヤーカップとアーム部分の両方に設けられたレザーパッドなど、全体に高品位な作りだ。挟む力が高めで、NCをオフにした状態でもかなり良好な密閉感がある。
NCの効果に関しても満足いくものだ。雑踏などの使用では、周囲の雑音をきれいに消してくれる。一方で残留ノイズは高めで、静かな環境での使用すると多少気になる。SRS Headphoneは本機のウリのひとつだが、できればNCをオフにした状態で利用できるモードがほしかった。
電池収納部。単4電池2本で動作する。 |
大口径ユニットを採用した密閉型ヘッドホンでありながら、携帯性にも配慮しているのは嬉しい部分だ。本体は折りたたみ機構を搭載しており、たたんだ状態では手のひらに載るほどコンパクトになる。重量は200gで、携帯電話機2台分程度である。本体にはヘッドホンやアクセサリー類を一緒に持ち運べるポーチも付属する。
折りたたんだところ。割合コンパクトなサイズになる。 |
電池寿命が単4アルカリ乾電池2本使用で約20時間とやや短めなのが気になるが、2つのNCモードを搭載する点やSRS Headphoneが利用できる点などを考えるとやむを得ない面はあるだろう。これを除けば、NC性能の高さ、モニターライクなメリハリの利いた音質、装着の心地良さや収納性の高さなど魅力は多く、非常にバランスの取れた性能を実現しているという印象だ。
SE-MJ7NSの主なスペック | |
製品名 | SE-MJ7NS |
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ドライバーユニット | 直径40mm ダイナミック型 密閉式(オーバーイヤータイプ) |
再生周波数帯域 | 20Hz~20kHz |
インピーダンス | 24Ω(ON)、52Ω(OFF) |
音圧感度 | 103dB/mW(ON)、100dB/mW(OFF) |
ノイズキャンセリング性能 | 約15dB以上(300Hzにて) |
電源 | 単4電池×2 |
バッテリー寿命 | 約20時間(アルカリ乾電池使用時) | 重量 | 約200g(コード除く) |