さすがの高画質を見せた印刷サンプル
印刷速度はモノクロ文書10ページで約2分20秒(標準)。高速モードでは1分3秒となったものの、高速モードは印刷結果が全体に薄くなるためあまり常用することはないだろう。カラー画像のL判印刷では最高品質で1分2秒(ふちあり)と1分8秒(ふちなし)となり、ふちの有無ではそれほど大きく変わらない結果となった(メモリーカードからの印刷でもほぼ同等)。紙送り精度を上げるなどしてふちなし印刷での高速化を図った跡は見られるものの、最近のインクジェットプリンタの中ではやや遅い数字で、特にブラック用の長いノズルを持つ他社製品と比べるとテキスト印刷がやや遅いのは気になるところだ。
印刷サンプル デジタルカメラ画像を印刷。上はパソコンから、下はメモリーカード上のデータを印刷。画像補正は同じく“オートフォトファインEX”だが、微妙に色あいが異なるものとなった。2枚の印刷結果を並べて600dpiでスキャンしたもので、拡大画像(600dpiでスキャンした等倍)は左がパソコンから、右がメモリーカードから印刷したもの。 |
印刷品質に関しては、さすがに画質を追求したColorioシリーズ最新モデルだけあって非常にクオリティーが高く、明部・暗部ともに肉眼では粒状感がまったく感じられず、くっきりしたエッジから平板な部分の色味までしっかり描写される。
コピーサンプル カラー写真をL判でコピーし、並べてスキャンしてみた。左がオリジナルの銀塩紙焼き写真。“きれいモード”では、スキャンを含めて印刷時間41秒。拡大画像は600dpiでスキャンした等倍の結果。 |
本機は同社複合機の中でもパソコンレスプリンティングを“極限まで追求”したモデルと言えるだろう。同社製品では従来からノートパソコン用のポータブルCD-R/DVD-RドライブをUSB接続する機能を備えていたが、ついに本体に内蔵することでバックアップ用途やDVD-Rメディアに保存した画像の印刷などがより手軽となった。例えば、メモリーカードからDVD-R/CD-Rメディアへとバックアップして、さらにメモリーカード内の画像からチョイスしたものをDVD-R/CD-Rにラベル印刷して配布すれば、パソコンを一切使うことなくデジタルカメラの画像を今まで以上に活用できるというわけだ。
印刷サンプルの元画像。掲載用に640×480ドットにリサイズおよびトリミングしているが、印刷に使用したのは2816×2112ドットの元画像。 |
ホームユースでのインクジェットプリンターは複合機がその中心になりつつあるが、SOHO(小規模オフィス)的な需要を考えれば、ファクス送受信機能も搭載してほしいというニーズは少なくないだろう。しかし、デジタルカメラ画像の印刷するのが主な用途のホームユースに限定すれば、記録型DVD-R/CD-Rドライブや大型液晶パネルの搭載により、画像の表示・保管・活用など、パソコンユーザーだけでなく非パソコンユーザーでも活用しやすい。さらに地デジ対応など、将来的な家電レベルでのホームネットワークの一環になることも考えられており、新しい世代の“パソコンレスプリンティング対応機”と言えるだろう。
“Colorio”PM-T990の主なスペック | |
製品名 | PM-T990 |
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印刷解像度 | 最高5760×1440dpi |
印刷速度 | 51秒(A4カラー、光沢写真用紙) |
使用インク | C/M/Y/Bk/ライトシアン/ライトマゼンタ(染料):各180ノズル |
用紙サイズ | A6~A4、名刺、カード、L判/2L判、KG、ハイビジョン、六切 |
給紙容量 | フロントトレイ:最大150枚(A4)、リアトレイ:最大120枚(A4)、ハガキ専用トレイ:最大50枚 |
スキャン解像度 | 4800×9600dpi |
スキャン階調 | 入力RGB各16bit/出力RGB各8bit |
液晶ディスプレー | 4インチPhoto Fine Ultra液晶パネル |
インターフェース | USB 2.0、IEEE 802.11b/g、10/100BASE-TX、IrDA、Bluetooth(オプション) |
本体サイズ | 450(W)×438(D)×227(D)mm |
重さ | 約14.2kg |