実際に利用してみると、全体的に動作がもったりとしているのが非常に気になった。実際には電源ONから撮影可能になるまでが約2秒強と、それほど遅いわけではないのだが、ズームにしても最広角側から最望遠までが2秒弱かかるなど最近のコンパクト機にしては遅く感じられる。スイッチ類の操作にしても、メニューやオンスクリーンに表示されるのがワンテンポ遅れるような印象があり、いささかクイック感には欠けるように思う。
レンズ駆動に関しては、高速に動かせば電力消費が大きくなることから単3電池×2本構成の機種ではゆったりとしたものが一般的だが、電池駆動時間との兼ね合いで設計が難しいところなのだろう。
サンプル1 最広角側で撮影。発色は輪郭の強調は少なく、自然な印象がある絵作りとなっている。プログラムオート、1/812.7秒、F4.9、ISO 79。元画像は3072×2304ドットで、それぞれ640×480ドットにリサイズおよびトリミングしている以外の補正はかけていない。 |
フェイスクリアー機能をONにすると人の顔を認識し、画面上で顔の上に四角いカーソルが表示され、顔に合わせたAFとAEが効く。ただし、動作がやや遅く、顔認識まで1~2秒、薄暗いシーンなどでは3秒程度かかってしまう。フェイスクリアー機能を装備した同社上位機ではより動作は素早いことを考えれば、全体的な速度低下が顔認識技術にも及んでいるようだ。ポートレートや記念写真などで使う機能なので、撮影者だけでなく被写体までもが待たされる感があってはならないと思われ、本機種ではやや使い勝手がよくない。
サンプル2 最望遠側で撮影。曇天下での撮影で190mm相当の望遠撮影でも手ぶれを気にしなくてもよいのはありがたい。ただし、最望遠ではレンズ描写が低下するように感じた。プログラムオート、1/104.5秒、F5.0、ISO 79。 |
撮影画像自体は入門機クラスのコンパクトデジタルカメラとしてはかなり良好で、望遠側/広角側ともに目立つ画質劣化は少ない。発色は同社ならではの彩度をあまり強調しないもので、他社製品に比べるとやや地味な印象があるものの、発色は至って自然だ。
サンプル3 夕方に最望遠側で撮影。ややざらつくもののノイズが目立たたず、手ぶれもかなり抑えられるのはありがたい。プログラムオート、1/4秒、F5.0、ISO 308。 |
なお、本機にはISO感度設定がオートしかなく、意図的に低感度にしてノイズを抑えることはできない。ISO感度は最高400までで、最近の高感度=手ぶれ防止を謳う製品と比べれば物足りない印象は残るものの、薄暗いシーンでも若干画像がざらつく程度でノイズは少なかった。
サンプル4 マクロモードで撮影。最短撮影距離はマクロ時4cm~となっている。プログラムオート、1/114秒、F3.7、ISO 79。 |
普及・入門クラスのデジタルカメラにも光学式手ぶれ補正を搭載するのがごく一般的になってきた。同社では普及機となる“COOLPIX P”シリーズにすでに導入済みだが、ローエンドに近い入門機でもついに導入されたわけだ。他社でも光学手ぶれ補正付き入門機がいくつか発売されているが、コンパクトながら光学5倍ズームが装備されているのはややお買い得感がある。ボディーがかなり安っぽい素材であったり動作がもったりしているのは気になるものの、実売3万円台というコストパフォーマンスの高さは大きな魅力だろう。
COOLPIX L5の主なスペック | |
製品名 | COOLPIX L5 |
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撮像素子 | 有効720万(総741万画素) 1/2.5インチCCD |
レンズ | 光学5倍ズーム、f=6.3~31.4mm(35mmフィルムカメラ換算時:38~190mm相当)、F2.9~5.0 |
静止画撮影 | 最大3072×2304ドット |
ISO感度 | オートのみ(80~400) |
動画撮影 | 640×480ドット/30fps |
液晶ディスプレー | 3.0インチ低温ポリシリコンTFT液晶パネル(23万画素) |
記録メディア | 内蔵8MBフラッシュメモリー、SDカード |
インターフェース | USB、AV出力、DC入力(ACアダプターはオプション) |
電源 | 単3電池×2本(アルカリ乾電池、オキシライド乾電池、リチウム乾電池、ニッケル水素充電池対応)/専用ニッケル水素充電池(オプション) |
撮影可能枚数 | 約150枚(アルカリ乾電池)/約490枚(リチウム乾電池)/約250枚(専用充電池) |
本体サイズ | 約97(W)×45(D)×61(H)mm |
重さ | 約170g(本体のみ) |