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LUMIX DMC-FZ50

LUMIX DMC-FZ50

2006年09月13日 20時25分更新

文● 行正 和義

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 実際に利用してみると、ちょっとしたコンパクト一眼レフクラスの大ぶりなボディーが持つ安定感は非常に心地よく、EVFの見えや可変アングル対応の液晶ディスプレーの使い勝手も良好だ。レンズは鏡胴内だけでズームレンズが動く方式なので、最大ズームにしても全長が変わらないず、取り回しの際に邪魔になりにくい。

サンプルその1 アップ
サンプル1 光学12倍ズームによって、そばまで近寄れない被写体を大きく写せるのは望遠機ならではのメリット。低感度撮影ながらわずかにざらついた感じになっている。絞り優先オート、1/100秒、F4.0、ISO 100。元画像は3648×2736ドットで、640×480ドットにそれぞれリサイズおよびトリミングした以外の補正はかけていない。

 ただし、いわゆるカメラメーカーの作る一眼レフクラスのデジタルカメラ製品と比べると、やや操作に疑問が残る部分もある。例えばマニュアル露出時のシャッター速度と絞りや、FUNCTIONボタンでの項目・項目内設定は電子ダイヤルで操作できるのに、露出補正や連写、フラッシュモードやセルフタイマーなどのモードはカーソルキーで選ぶようになっていてダイヤルでは操作できない。また、MENUキーを押して表示させるメニューでも、前ダイヤルで項目のスクロール(切り替え)はできても項目内の選択はカーソルキーとSETボタンを使うしかない点などだ。

サンプルその2 アップ
サンプル2 手持ちであってもシャッター速度の低下をそれほど気にせず絞り込めるのは、光学式手ぶれ補正搭載機の利点と言える。絞り優先オート、1/13秒、F6.3、ISO 100。

 特に露出補正とAEロック、FUNCTIONボタンなどはカメラをホールドした(構えた)状態から右手人差し指もしくは親指をあまり動かすことなく使える位置にあるほうが望ましいのだが、即座に押せる位置にあるのは“AEロック”ボタンと“手ぶれ補正モード切り替え”ボタン(押したあとでカーソルキー操作を必要とするため、人差し指に一番近い位置にある意味がない)、“EVF/LCD切り替え”ボタンであるなど、現実の操作上どうも疑問点が残るようなボタン配置となっている。

サンプルその3 アップ
サンプル3 発色は素直でLUMIXシリーズに共通するあっさりしたものだが、空や植物はあっさりしすぎている印象がある。絞り優先オート、1/125秒、F11、ISO 100。

 これらインターフェース上の矛盾は一眼レフデジタルカメラ的な電子ダイヤルと、コンパクトデジタルカメラ的カーソル中心の操作、さらにLUMIXシリーズの伝統的ボタン配置(手ぶれ補正モードスイッチは常に本体上部右側にある)などに由来すると思われる。従来のLUMIXシリーズからのユーザーには分かりやすい操作性だとも言えるが、本機のように一眼レフ風な使い方を前提とした製品であれば、LUMIXシリーズとは異なる操作系になっても撮影時の使い勝手を追求すべきだと思う。

 撮影画像は、LUMIXシリーズならではのあっさりした発色で、彩度や輪郭強調は少なめだ。新画像処理エンジンによってホワイトバランスや露出制御の精度が上がっているというだけあって、逆光など微妙な光加減のときでもきちんと露出が決まる。画面のざらつきもかなり抑えられつつ、それほど不自然な印象はない。

サンプルその4 アップ
サンプル4 マクロモードで撮影。近接撮影距離は広角側5cm、望遠側2mと大きく異なり、ズーム率と合わせて最適な(被写体を大きく撮れる)位置を見つけるのがなかなか難しい。絞り優先オート、1/40秒、F4.0、ISO 100。

 ハイアマチュア向けデジタル一眼レフカメラ「DMC-L1」を発売した同社だが、一眼レフ未体験ユーザーをカバーするべく用意されたレンズ一体型のハイエンド機が本機と言える。あくまでも一眼レフへのステップアップユーザーを対象とし、コンパクト機からの乗り換えユーザーを考慮していることもあってLUMIXシリーズを意識した操作性となっている。とはいえマニュアル撮影を重視するならインターフェース的にまだうまく練れていなところが見受けられるのは残念だ。また、レンズ一体型ハイエンド機ともなれば各社の製品は広角28mmに対応するものも多く、その中で広角側が35mmからというのもやや物足りない。

サンプルその5 アップ
サンプル5 強い逆光での撮影。露出はオートのまま補正はかけていないが、暗部も潰れておらず階調が残っている。絞り優先オート、1/400秒、F10、ISO 100。

 もちろん光学12倍ズームと可変アングル液晶ディスプレー、フルマニュアル撮影向きの大柄ボディーなど、非常に豪華な仕様を持っており、7万円前半という価格は十分手頃なのだが、欲を言えば実売10万円前後のデジタル一眼レフカメラ入門機に対抗するほどの高機能版も欲しいところではある。

LUMIX DMC-FZ50の主なスペック
製品名 LUMIX DMC-FZ50
撮像素子 有効1010万(総1037万)画素 1/1.8インチCCD
レンズ 光学12倍ズーム、f=7.4~88.8mm(35mmフィルムカメラ換算時:35~420mm)、F2.8~3.7
静止画撮影 最大3648×2736ドット(4:3)
最大3600×2400(3:2)
ISO感度 オート/インテリジェント、100/200/400/800/1600(高感度モード時:3200)相当
動画撮影 848×480ドット(16:9)/30fps
液晶ディスプレー 2.0インチ低温ポリシリコンTFT(20万7000画素)
ビューファインダー 0.44インチEVF(23万5000画素)
記録メディア SDHC/SDメモリーカード/MMC(静止画記録のみ対応)
インターフェース USB、AV出力、DC入力(ACアダプターはオプション)
電源 リチウムイオン充電池
撮影可能枚数 約360枚(ビューファインダー撮影時)
本体サイズ 約131.2(W)×142(D)×85.5(H)mm
重さ 約668g(本体のみ)/約714g(装備重量)

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