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PowerShot A710 IS

PowerShot A710 IS

2006年09月07日 05時23分更新

文● 行正 和義

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 ホールド感のあるグリップを採用しつつ、ちょっと大きめなコンパクトデジタルカメラ用ポーチにも入るというボディーは実に手軽だ。普段の持ち歩きカメラとしても無理なく使えるため、予備電池を含めて旅行にも携行できる手ぶれ補正付き高倍率コンパクト機として重宝しそうだ。撮影結果はIXY/PowerShotシリーズに特有のしっかりとした発色とコントラストになっている。

サンプルその1 アップ
IXY/PowerShotに搭載するDIGIC II画像処理エンジンだけに、逆光下でもしっかりとした色味となりつつ空などハイライト部分が白とびしにくいなど、露出や発色は良好。絞り優先AE、1/250秒、F4.5、ISO 80。広角側で撮影。元画像は3072×2304ドットで、640×480ドットにそれぞれリサイズとトリミングしているのみでそのほかの補正はかけていない。
サンプルその2 アップ
Sample01と同じアングルを望遠側で撮影。10~12倍ズームの望遠機が増えてきたが、光学6倍程度でも十分活用できる。絞り優先AE、1/80秒、F4.8、ISO 80。最大望遠で撮影。

 レンズ描写に関しても、光学12倍ズームレンズを搭載するPowerShot S3 ISではエッジの着色や周辺部のゆがみなどが見られたのに対し、光学6倍ズームの本機では光学系の無理も少ないのか周辺部やハイコントラストのエッジも極めて安定している。

 しかし、ISO 800の高感度撮影を使って夜景を撮ってみると、かなりノイズが載ってしまった。高感度撮影は三脚などの用意がない場面での緊急用と考えたい。なお、露光時間が短い場合はそれほどノイズは目立たないので、昼間の望遠撮影をする際にシャッター速度をさらに上げるといった用途で感度を上げるならば十分使えそうだ。

サンプルその3 アップ
光学式手ぶれ補正は単にぶれないというだけでなく、意図的にシャッター速度を遅くして動いているものをぶれさせたい(動き感のある絵作りにしたい)ときなどにも有効だ。絞り優先AE、1/30秒、F6.3、ISO 100。

 また、不満点として光学ファインダーが見づらく、覗き込んでも被写体がかなり小さく見えてしまうことが挙げられる。もともとPowerShot Aシリーズは初心者向けということもあって、シリーズを通して安定した撮影を可能にするべく光学ファインダーを標準搭載している。しかし、最新機種に至っては液晶ディスプレーの大型化によってファインダーユニットが圧迫され、さらに高倍率ズームに対応するなどして視認性は下がってしまったようだ。光学ファインダーに顔を押しつけるようにしてカメラを固定するのは、撮影技術の向上やデジタル一眼レフへのステップアップに避けては通れない手法だ。それだけに光学ファインダーを省略してしまうのは惜しいが、コンパクトさを優先するあまりに望遠機のようなEVF(電子ビューファインダー)になるのも必要以上なボディーの大型化や、被写体を直視する感覚を覚える入門機としては避けたいもの。判断は微妙なところだが、個人的にはボディー全体の高さが若干増えてでもより見やすい光学ファインダーを搭載してほしかったと思う。

サンプルその4 アップ
高感度撮影と光学式手ぶれ補正の組み合わせによって暗い場所でも驚くほどぶれなく撮影はできるものの、ISO 800ではやはりざらつきが目立つ。できればISO 400程度までを使いたい。プログラムオート、1/10、F2.8、ISO 800。

 小型軽量でスリムなIXYシリーズ、高機能のPowerShot Sシリーズの間にあって、コストパフォーマンスに優れた普及機として、より凝った撮影も可能な入門機として使い勝手のよさが特徴だが、さらに光学式手ぶれ補正機構が付いたことで望遠撮影をカバーしつつ気軽に撮れるオールマイティなデジタルカメラに成長したと言える。

PowerShot A710 ISの主なスペック
製品名 PowerShot A710 IS
撮像素子 有効約710万(総約740万)画素 1/2.5インチCCD
レンズ 光学6倍ズーム、f=5.8~34.8mm(35mmフィルムカメラ換算時:35~210mm)、F2.8~4.8
静止画撮影 最大3072×2304ドット
ISO感度 オート、ISO 80/100/200/400/800相当
動画撮影 640×480ドット/30fps、AVI(MotionJPEG圧縮)
液晶ディスプレー 2.5インチ低温ポリシリコンTFT液晶パネル(約11万5000画素)
記録メディア SDHD/SDメモリーカード/MMC、16MBメモリー付属
インターフェース USB 2.0、AV出力、DC入力(ACアダプターはオプション)
電源 単3電池×2(アルカリ乾電池、ニッケル水素充電池)
撮影可能枚数 約100枚(液晶ディスプレー使用時、CIPA測定値)、約500枚(液晶ディスプレー非使用時)、単3アルカリ乾電池使用時
約360枚(同上)、約900枚(同上)、単3ニッケル水素充電池使用時
本体サイズ 97.5(W)×41.2(D)×66.5(H)mm
重さ 約210g(本体のみ)

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