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【最新パーツ性能チェック Vol.41】論理8CPUマシンがすぐできる! 新CPU「Dempsey」と次世代メモリ「FB-DIMM」のパワーはいかに?

2006年06月19日 00時00分更新

文● 月刊アスキー編集部 野口岳郎

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論理8CPUシステムでパフォーマンスはどこまで伸びるか

 システム全体の性能を計測、比較してみよう。今回は“Dempsey”コアの3.2GHzと、シングルコア時代のXeonである“Irwindale”コアの3.6GHzデュアルのシステムを、デュアルコアのデスクトッププラットフォームであるPentium XE 955、Athlon 64 FX-62&5000+と比較した。データがあるものについては、Opteron 275(2.2GHz)の値も併記した。“Dempsey”、Opteronともに最上位から見て85%ほどのクロックなので、まあ中堅同士の対決と見ていいだろう。
 なお、システムの都合上、“Irwindale”および“Dempsey”はメモリ4GBで、Opteronは2GBで、そのほかは1GBで計測している。ここに掲げるテストは、1GB以上あれば性能に大きな差は出ないものがほとんどだが、“Irwindale”や“Dempsey”が若干は有利な条件になっている。

 シングルスレッドでの基本演算性能を見る「Superπ」(グラフ3)では、まあクロック相当というところ。グラフにはないが、3.2GHzのPentium XE 840が40秒なので、やや振るわない。FB-DIMMのレイテンシが関係しているかもしれない。「Windows Media Video 9」(グラフ4)のエンコードは、同時に2スレッドまでを使う「ダブルスレッド」型アプリ。これだと、デュアルコア/デュアルCPUまでしか効果が出ないので、同等コアでクロックに勝る“Irwindale”でHTをOFFにした場合のほうが速くなっている。“Irwindale”でHTをオンにすると、2つのスレッドが同じ(物理)CPUに割り当てられるケースが発生するため、2スレッドが常に別の(物理)CPUに割り当てられるHTオフ時より性能が低下することはよく知られている。一方“Dempsey”においては、HTをオンにしても大きな速度低下が見られないが、これは計8つの論理CPUに対して2つのスレッドを割り当てる際、たまたま同じ物理CPUに割り当てられる可能性が“Irwindale”のときより小さい(“Irwindale”では1/2の確率だが、“Dempsey”では1/4)ためと考えられる。
 グラフ5は、マルチスレッド対応のCGレンダリングテスト「Cinebench 2003」の結果。画面を8分割して同時に描画していく様は圧巻だ。パフォーマンスではOpteron 875にあと一歩届かなかったものの僅差。デスクトップのデュアルコアCPU群や、シングルコアのデュアルCPU構成である“Irwindale”は、はるか雲の下に追いやる別次元の性能を誇る。
 グラフ6~10のテスト群は、いずれもマルチスレッド対応のエンコードソフトだ。いずれもデュアルコアや“Irwindale”に大きな差をつけている。ただ、“Windows Media Video Advanced Profile”ではHTをオンにしたほうが高性能なのに対し、DivX 6.1では変わらず、「3DMark 05」(CPU)や「TMPGEnc」ではオフにしたほうが高速と挙動が分かれる。理論的には、アプリが4スレッドまでにしか対応していない場合には、HTをオンにすることで同じ物理コアに2スレッドがアサインされてしまうことで速度低下が起きる。「3DMark」や「TMPGEnc」は、4スレッドまでの対応の可能性もある。

グラフ3 「Superπ」の結果(シングルスレッド)。3.2GHzとしてはもう1秒早くあってほしかったところグラフ4 「Windows Media Encoder」でのビデオ圧縮(デュアルスレッド)。4CPUあると、1CPUに2つのスレッドが重なる確率が減るためか、HTをオンにしても性能が落ちなかった
グラフ5 「Cinebench 2003」によるCG描画(マルチスレッド)。HTにより若干の性能の底上げが図られ、1000まであと一歩まで迫ったグラフ6 「Windows Media Encoder Advanced Profile」でのビデオ圧縮(マルチスレッド)。これもHTの効果が若干見られた。クロックで400MHz速いIrwindaleに対して36%の高速化を実現
グラフ7 「3DMark 05」の結果。注目はCPUのほうのスコア(マルチスレッド)。“Irwindale”より1割高速と出た。クロックが少ないことを考えれば、実質24%の高速化グラフ8 「DivX 6.1」によるビデオ圧縮(マルチスレッド)。ここではHTの効果はニュートラル。こちらも“Irwidale”比で10%(実質24%)の高速化だ
グラフ9 「TMPGEnc 3」によるビデオ圧縮(マルチスレッド)。HTをオフにするとOpteron 875を上回った。デュアルコア陣営には大きな差をつけているグラフ10 「TMPGEnc 4」におけるMPEG-2圧縮テスト。ここではHTをオフにする効果がとても大きい。“Irwindale”比で40%、クロック比を考えれば57%もの高速化が得られた

 対抗となるOpteronとの比較データが少ないので総評が難しいが、「TMPGEnc 3」や「Cinebench」ではほぼ同レベルの性能と見える。3.73GHz品ならOpteronの最上位ともいい勝負になるだろう。ようやくデュアルコアOpteronに性能面で対抗できるラインナップが揃ったと言える。
 ただ、インテルは6月2日の記者説明会で、6月中に次世代コアによるサーバCPU“Woodcrest”をOEM向けに出荷開始するとしている(正式発表は後日)。“Woodcrest”の性能はデュアルコアXeon 2.8GHzの1.8倍というから、周波数にすれば5GHz相当。“Dempsey”の最速版、3.73GHzを大きく上回るのは確定的なので、今すぐシステムを導入、あるいはリプレースしなくてはならない人以外には、正直ちょっと待ちたくなる状況ではある。
 今回“Dempsey”用として登場した“5000”シリーズのチップセット3種は、いずれも“Woodcrest”登場時には1333MHzのFSBに対応する。また、“Dempsey”のCPUソケット、LGA771は“Woodcrest”と共通だというから、“Dempsey”マザーに今年後半のサーバマザーの姿を見ることができる。対するAMDも、今年前半にはDDR2対応のOpteronを投入して“Woodcrest”登場に備えており、こちらもLGAソケットに変わった新マザーが出てくるはずだ。デュアルコア化が進み、マルチスレッド対応ソフトが増えてきたため、以前に比べると個人でもデュアルCPUによるメリットを感じやすくなってきている。ハイエンドマシン構築狙いの人は、今後ともデュアルのXeonやOpteronの動向には要注目だろう。

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