ペンタックス「*ist DL2」
いま最もコストパフォーマンスの高い一眼レフデジタルカメラと言えば、この「*ist DL2」である。標準ズームの同梱されたレンズキットは店によっては7万を切り、現行機種では一番敷居の低い製品となっている。一眼レフデジタルカメラの世界に価格破壊をもたらしたと言っても過言ではない。
*ist DL2 |
上位機種「*ist DS2」との違いは、ペンタプリズムがミラーに変更された程度の差だ。ミラーファインダーは0.85倍/視野率96%というスペックだが、視野は広く、銀塩の一眼レフ機から乗り換えてもファインダーの見え具合にそれほど違和感を覚えない。610万画素CCDの解像度は少々見劣りするが、実用上は問題ない。ミラーショックと動作音は他社のものと比べてもハデな印象で、やや安っぽさを感じさせる面もあるが、一方で「シャッターを切った!」「写真を撮った!」と最も強く感じさせるカメラでもあった。
本体はレンズ一体型の上級コンパクトカメラと比べても小さく、スナップショットに最適。首から提げて常に持ち歩きたい。また、使用できるレンズの豊富さも魅力のひとつだ。中古市場に出回っている過去のレンズ資産も活用できるし、さまざまなレンズマウントに対応できるアダプターも豊富だ。Kマウントはオープンな規格のため、他社製レンズも試したい。
価格はオープンプライス。5月1日現在での実売価格はボディーのみで6万円弱。標準ズーム1本が付属するレンズキットが7万9800円。望遠ズームも付属するダブルズームレンズキットが11万円弱となっている。
*ist DL2の作品例――Tokinaと共同開発の魚眼ズームは便利だ
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まずは、レンズキットに同梱される標準ズームレンズを使用したスナップ。ピントの合っているところはシャープなのだが、背景のボケ方はあまりきれいとはいえないだろう。しかし、27.5~84mm(35ミリフィルム換算)という焦点距離と225gの軽量さによるDL2とのバランスのよさは、他社の製品にはない魅力である。
DA FISH-EYE 10-17mmF3.5-4.5ED[IF」を装着したサンプル。その視覚的効果はすさまじく、高速道路の曲線部分がさらに曲がって写るようになる。この魚眼ズームレンズは(株)トキナー(Tokina)と共同開発されたもので、いち早く“ペンタックス”ブランドで発売されている。
【参考】*ist DS2の作品例
ペンタックスから姉妹機の*ist DS2も借用できたため、こちらのサンプルも掲載する。*ist DL2にも言えることだが、ペンタックスのカメラは非常にコンパクトであるため、常に持ち運んで日常の風景を気軽にフレームに収めたいという衝動に駆られる。DS2とDL2はファインダーの種類が異なるが、基本的な描写力や操作性は非常によく似ている。
こんなレンズを使ってみたい!
標準ズームに慣れたら、まずは全長15mmのパンケーキ型レンズ「DA40mmF2.8 Limited」を試してみたい。DL2やDS2に装着すると、カメラ上部のペンタ部分とレンズ前面がほぼ同じとなる。重量も90gしかなく、一眼レフでの気軽なスナップを志している人にお勧めだ。また、標準ズームの次にというわけにはいかないだろうが、魚眼ズームの「DA FISH-EYE 10-17mmF3.5-4.5ED[IF]」も大変面白いレンズだ。広角側を使った「遠近感」や「デフォルメ効果」は一度目にすると病みつきになる。また、望遠側を利用すれば、24.5mm相当の超広角レンズとしても扱える。“*ist Dシリーズ”を使うなら、いつかは手に入れておきたい一本である。
DA40mmF2.8 Limited(実売4万2000円前後) | DA FISH-EYE 10-17mmF3.5-4.5ED[IF](実売5万5000円前後) |
*ist DL2の主なスペック | |
レンズマウント | ペンタックスバヨネット KAFマウント(AFカプラー、情報接点付) |
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撮像素子 | 有効610万画素CCD(APS-Cサイズ、23.5×15.7mm) |
記録メディア | SDメモリーカード |
シャッター速度 | 1/4000~30秒、バルブ |
連写速度 | 毎秒2.5コマ |
ファインダー | ペンタミラー方式(視野率96%、倍率0.85倍) |
液晶ディスプレー | 2.5インチTFT(約21万画素) |
サイズ | 幅125×奥行き67×高さ92.5mm |
重量 | 470g(本体のみ) |