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【特別対談】二大企業の重鎮が語る、アップルへの提言――第3回「望まれるパソコン業界のパラダイムシフト」

2006年04月12日 19時58分更新

文● 林 信行、編集部

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新世代アプリケーションへの期待

――MacとIntel Core Duoの相性について、どのように感じていますか?


【古川】 これまでMacは、たまたまCPUのアーキテクチャーが違うために損をしてきたことが多いと思う。僕はiPodに800本近い映像を入れているのだけれど、この作業をするのには、皮肉なことにMacよりWindowsのほうがやりやすかったんです。

Macではどうしてもできないことがあって、途中で諦めてしまった。というのもWindowsには、映像変換からRSSによるiTunesへの自動配信まで済ませられるソリューションがあるのに、Macには相当するものがなかった。

こうしたMac非対応で悔しい思いをすることは今でも少なくない。最近、話題のインターネット上のテレビ放送局“GyaO”は視聴者が670万人いて、来月にもBSデジタル放送の視聴者数を超えると言われています。

でも、これもWindowsでしか見られない。けしからんと思うけど、米マイクロソフト社も『Windows Media Player』のMac版の開発を中止してしまった。

ただ、これからはCPUがインテルになったことで、悔しい思いも少しずつ減ってくるかもしれません。仕事で必須の業務用アプリケーションの中にはMac OS Xへの移行をきっかけに、Macへの対応をやめてしまった製品もあるけど、その中には、今回のインテルプラットフォームへの移行を機会に戻ってきてくれるものもあるかもしれない。

その一方で、新しいライフスタイルやワークスタイルの道をきり開く『Aperture』や『Final Cut Pro』といったアップルの革新的な新世代のアプリケーションが、インテルCPU移行で、より高いパフォーマンスを発揮し、新しい機能を身につける――今後、そんな効果が出てくることを期待しています。

ちょっと面白いのが、アップルがインテルに移行するのとちょうど逆行するように、マイクロソフトの『Xbox 360』はPowerPCに移行しているんですよね。これでゲーム機は、全部PowerPC系CPUになってしまったけれど、中でもXbox 360はPower Mac G5上でWindowsの特別版を動かしたものが開発環境になっている。両者の方向性が、完全にここでクロスオーバーしているんですよ。

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