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イー・アクセス、イー・モバイルの次世代携帯電話ネットワークの主要サプライヤーにエリクソンを決定

2006年03月13日 19時17分更新

文● 編集部 小西利明

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報道陣からの質問に答える、イー・アクセス代表取締役会長兼CEOの千本倖生氏(左)と、同社代表取締役社長兼COOの種野晴夫氏(右)
報道陣からの質問に答える、イー・アクセス代表取締役会長兼CEOの千本倖生氏(左)と、同社代表取締役社長兼COOの種野晴夫氏(右)

イー・アクセス(株)は13日、同社の子会社で移動体通信事業を手がけるイー・モバイル(株)の次世代携帯電話商用ネットワークの主要サプライヤーとして、スウェーデンのエリクソン社を決定したと発表した。イー・モバイルが2007年から予定している1.7GHz帯を使う次世代携帯電話サービスのコアネットワークに、エリクソンの通信設備を導入する。

イー・モバイルのネットワーク構成図。エリクソンの機材は特にコアネットワークに導入される
イー・モバイルのネットワーク構成図。エリクソンの機材は特にコアネットワークに導入される

イー・モバイルは2007年3月から、関東/中部/関西地域での無線データ通信サービスの開始に向けて、ネットワークの整備を行なっている。エリクソンの機器は、これらエリアの無線ネットワークと全国規模のコアネットワークを構成する機材として導入される。エリクソンを選定した理由について、イー・アクセスおよびイー・モバイル代表取締役会長兼CEOの千本倖生氏は、エリクソンが携帯電話の世界を動かすリーダーであり、同社が「コアネットワークとハンドセットで、世界各国で最も豊富な実績と経験を持っている」と述べ、実績重視の選択の結果であるとした。そして低価格で高速なサービスの提供されているADSLに比べて、「モバイル環境ではフラストレイティング、ほとんどブロードバンドとは言えない。日本がブロードバンド革命をやろうとすれば、モバイル環境下においてもADSLと同じような世界で最も早く、最も安い、消費者の観点に立ったサービスを提供していきたい」と、モバイルブロードバンド環境の実現に向けた意欲を語った。

イー・モバイルの移動体通信ロードマップ。PCカード型通信カードを使う高速データ通信サービスを、ほぼ1年後の2007年3月から開始する予定
イー・モバイルの移動体通信ロードマップ。PCカード型通信カードを使う高速データ通信サービスを、ほぼ1年後の2007年3月から開始する予定

またイー・アクセスおよびイー・モバイル代表取締役社長の種野晴夫氏は今後の事業展開ロードマップを示し、2007年3月に東名阪地区を皮切りに、PCカード型通信カードを利用した高速データサービスをスタートし、2008年2月には音声サービスも開始するといったプランを披露した。全国展開は2~3年後をめどとし、基地局数は最終的に1万5000程度を予定している。サービスエリア外地域からの通信については、他キャリアでのローミングを利用する。また資本面については、3000~4000億円の資金調達を計画しており、うち1000億円強を資本金で、残りを借入金で調達する。

報道関係者向けの発表会には、スウェーデンからエリクソン代表取締役社長兼CEOのカール・ヘンリック・スヴァンベリ(Carl-Henric Svanberg)氏も登場。同社のビジネス概況を述べたうえで、同社が現在力を入れている第3世代携帯電話向け高速無線通信技術“HSDPA(High Speed Downlink Packet Access)”について触れ、同社がすでに17ヵ国、21ネットワークに機材を納入するなど、実績を積み重ねていることを述べた。イー・モバイルも同方式を採用し、移動体で理論値約14Mbpsもの高速通信を可能とする。

スウェーデン エリクソン社代表取締役社長兼CEOのカール・ヘンリック・スヴァンベリ氏
スウェーデン エリクソン社代表取締役社長兼CEOのカール・ヘンリック・スヴァンベリ氏

発表後の質疑応答で、端末ベンダーについての質問を受けた千本氏は、ベンダー名や数については明かせないとしつつも、ソニー・エリクソン・モバイルコミュニケーションズ(株)の端末についてはエリクソンのコアネットワークと「1番親和性が高い」として、ソニーエリクソン製端末が登場する可能性が高いことを示した。またソフトバンクグループによるボーダフォン(株)買収の話題については、リスクの高い高額買収にチャレンジしようとする孫正義・ソフトバンク会長にエールを送りつつも、電波帯域の配分面では1.7GHz帯は新規参入企業向け割当であるとの原則を強調して、総務省が新規参入企業を奨励する方向の判断をすることに期待を表明した。一方でスヴァンベリ氏は3G携帯電話などと競合すると見られているWiMAXについて、エリクソンも規格策定に参加しているとしながら、「どちらかと言えば補完的なもの」として、固定系ブロードバンドに利用するのは良いが、移動体通信としては補完的役割に止まるのではないかという見方を示した。

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