すっきりとした色あいで、新カラーモードも好印象
実際に利用して見ると、もちろんTシリーズなどに比べれば厚みはあるものの、22.9mm(最薄部20.4mm)という厚みは、携帯用としては十分なスリムサイズだ。従来のDSC-W5/W7の場合、Tシリーズへの差別化などもあって本格派なコンパクト機という味付けがなされており、コンバージョンレンズへの対応などがあったが、DSC-W30では拡張性を廃して使いやすいコンパクト入門機に徹している(※4)。従来のPシリーズやWシリーズなどで採用されていたマニュアル露出(絞りとシャッター速度をそれぞれ個別に設定するもので“絞り優先/シャッター速度優先モード”はもともとない)も省略し、露出補正を使いやすくしたのは入門者向けにも正解だろう。
※4 レンズアダプター「VAD-WB」を用意すれば、従来機向けの各種コンバージョンレンズやフィルターを装着可能作例1 | 作例2 | |
全体としては、すっきりとした色味と、かっちりとした解像感が特徴だ。プログラムオート、F7.1、1/200秒、ISO 80(マニュアル指定)。元画像は2112×2816ドットで、PhotoshopでVGAサイズにリサイズおよびトリミングした以外の処理は行なっていない。 |
撮影画像に関しては、サイバーショットらしいすっきりとした色あいで、ざらつきのない画像処理となっている。新機能の“あざやか”もそれほど嫌味はなく、従来のやや浅い発色が濃くなって好印象だ。ただし、高感度モードに関しては難しい。確かに三脚なしで手ぶれを抑えて撮れ、目立つノイズは少ないものの画像はかなりざらついてしまう。リサイズやレタッチなどでざらつきはあまり目立たなくできるとはいえ、ISO 400程度までが実用域という印象を持った。
作例3 暗所での高感度撮影を行なってみた。ISO 1000にマニュアル設定。F2.8、1/10秒。 |
作例4 | 作例5 | |
作例4は、ISO 80(マニュアル設定)、ISO 320(ISOモードに設定)、ISO 1000(ISO感度指定)にした画像を並べたもの。作例5は、作例4で使用したISO 320とISO 1000のトリミング画像。ISO 80のカットは、シャッター速度1秒と手ぶれしてしまっている。一方ISO 1000のカットは、手ぶれはないもののかなりざらつきが生じている。 |
残念なのは背面の液晶ディスプレーが2.0インチと小さめのこと。低価格機(実売3万円程度)としてはやむをえないとはいえ、液晶ディスプレーのサイズや鮮やかさがいまや撮像素子の画素数やレンズ倍率以上に価格を意識してしまう部分だけに惜しいところだ。
作例6 | 作例7 | |
新たに追加されたカラーモード、“あざやか”と“ナチュラル”を試してみた。作例6の花弁や、作例7の赤い橋、金色のモニュメントに注目すると、“あざやか”では色がやや濃い目に、“ナチュラル”ではかなりあっさりとした印象となる。 |
作例8 | 作例9 | |
レンズから2cmまでピントが合うという新マクロモードを装備。マクロモードでも遠距離にピントが合うのでマクロの切り忘れによる撮影ミスもないのはありがたい。プログラムオート、F7.1、1/250秒、ISO 80。 |
ともあれ、DSC-W30は“スタイリッシュスリム”を追求するTシリーズとは対照的に、しっかりと使える入門機として作られており、新機軸となるテキストによるガイダンス機能やワンタッチ露出補正なども使いやすく、久々のインターフェース変更としては好感の持てる改善と言えるだろう。
サイバーショット「DSC-W30」の主なスペック | |
製品名 | サイバーショット DSC-W30 |
---|---|
撮像素子 | 有効600万画素(総画素数620万)1/2.5インチCCD |
レンズ | 光学3倍ズーム対応、f=6.3~18.9mm(35mmフィルムカメラ換算時で38~114mm相当)、F2.8-5.2 |
静止画撮影 | 最大2816×2112ドット、JPEG形式 |
動画撮影 | 最大640×480ドット/30fps、MPEGムービーVX(MPEG-1形式) |
液晶ディスプレー | 2.0インチTFT液晶パネル画素数(8万5000ドット) |
記録メディア | メモリースティック Duo/メモリースティック PRO Duo、内蔵32MBメモリー |
電源 | 専用リチウムイオン充電池(NP-BG1)(付属) |
インターフェース (付属アダプター側) |
USB(USB2.0 Hi-Speed対応)、AV出力(モノラル音声) |
本体サイズ | 幅89.8×奥行き22.9(最薄部20.4mm)×高さ59.0mm |
重さ | 約123g(撮影時は153g) |