印刷はもちろん、高解像度スキャンも強力なハイエンド複合機
PIXUS MP950
給排紙トレイや操作パネルをたたんだ状態ではボディには余計な凹凸がなく、コンパクト感のあるデザインとなっている。 |
「PIXUS MP950」は同社のインクジェット複合機の最上位モデルであると同時に、2005年冬モデルのフラッグシップモデルにあたる。最高9600×2400dpiの解像度と7色インク(CMY、フォトシアン、フォトマゼンタ、染料Bk、顔料Bk)の採用で高品位印刷が可能だ。スキャナーも高機能で、光学解像度3200×6400dpiのCCDセンサーを採用。天板(トップカバー)の内側に光源を内蔵しており、透過原稿(ネガ/ポジフィルム)も35mmフィルムなら12コマを一度にスキャン可能だ。
背面からの給紙トレイと前面下には給紙カセット(用紙を装着してもボディからとびだすことはない)を装備。写真は前面の排紙トレイを展開した状態。 |
面白い点としては、解像度3200dpiと800dpiの2種類のCCDセンサーを搭載しており、透過原稿(フィルム)に関しては3200dpiセンサで高解像度に、反射原稿(印刷物、写真の焼き増しなど)は800dpiで高速なスキャンという具合に使い分けが可能となっている。さらに、パソコン側から操作する付属のスキャンドライバーでは、原稿台に置いた紙焼き写真などの反射原稿を、1回のスキャンで最大10枚までを自動的に判別して読み込み、別々の画像データとして保存する“ワンパスマルチスキャン”が行なえる。
インク交換のためプリンタ部を開けたところ。インクカートリッジはLEDによって赤く点灯する。 |
複合機として単体で使ってみると、操作性を高めるためのさまざまな機能が盛り込まれていることに気付く。一般的に複合機はA4サイズのスキャナーの内蔵に加えて、パソコンなしでもコピーやスキャン、ダイレクトプリントなどの操作パネルを持つことから設置面積が大きくなりがちだが、MP950では天板の中に操作パネルを組み込むことで、容積を抑えるとともに未使用時もすっきりとした外観を実現している。3.6インチの大型液晶ディスプレーはメニューの文字やアイコン、デジタルカメラ画像の視認性もいい。パネルにはトリミング(印刷する範囲の指定)や給紙の切り替えなどのボタンも用意され、メニュー構造をシンプル化するのに役立っている。コピーや写真の焼き増しなどで細かい設定をする場合にも、作業の手順に従って自動的にメニューが切り替わるなど、操作性に関しては良好だ。
トップカバーとインク交換用のプリンタカバーを同時に開けた状態。トップカバーの白い部分(圧板)を開くとフィルムスキャン用の光源が現れる。 |
新聞などの地色の濃い原稿や、雑誌の誌面などで文字と画像が混在している原稿をコピーする場合は、地色を白くしたり、文字部分と画像部分を自動判別して、それぞれ最適な画像処理とインク選択が行われる。さらに、写真の焼き増しではスキャナー原稿台の上に置かれた写真を最大4枚までワンパスで読み取り、個々の写真の傾き修整も行ってくれるなど、パソコンでなければ難しい操作はおおむね自動化されている。また、排紙トレイが普段は本体前面にきれいに収納されていて横にあるボタンで展開されるのだが、収納したまま印刷を実行すると自動的に排紙トレイが展開して用紙が詰まらないのも親切な設計だ。
フタの部分に内蔵された液晶モニタと操作パネルのボタン類は、各種操作が煩雑にならない程度のレイアウトとなっている。 |
印刷面では、パソコンからの文書印刷が1枚あたり約5秒(Word文書、普通紙、はやいモード)、L判フチなし印刷では約51秒(800万画素デジタルカメラで撮影した画像をPhotoshopで印刷、フォト専用紙、きれいモード)、A4カラーコピー(普通紙、標準画質)では42秒と、いずれも快適な速さだ。印刷結果を見ても、粒状感がほとんどないことに加えて、写真の焼き増し(コピー)を行なった結果は元原稿と色あいがほとんど変わりなく、手にとって見ても肉眼ではほとんど区別が付かないほどだ。
大きな開口部を持つ前面。排紙トレイの上にあるのはCD/DVDトレイ。開口部左には開けるときのロックスイッチ、右はデジタルカメラなどのメディアを装着する。カードスロットは2スロットだが、SFやSD、スマートメディア、メモリースティックにアダプタなしで対応(xDは要アダプタ)。 | 本体の左側面。複合機だけに小さいとは言いがたいものの、液晶パネルや排紙スロットを閉じればそれほどかさばらない。 |
プリンタ専用機の最上位モデル「PIXUS iP7500」と同等の高画質印刷に加え、給排紙機構の便利さや簡単操作、大きさを抑えたボディなど細かなところでさまざまな工夫が盛り込まれており、フラッグシップモデルの名にふさわしい魅力のある複合機だ。
PIXUS MP950の印刷サンプル
紙焼き写真(右)をL判に写真コピーをしたもの。ハイライト部にわずかにざらついた印象が残るが、手に取って見る程度ではまったく区別付かない。印刷結果と元原稿をMP950にて300dpiでスキャンし、リサイズして並べてある。 |
上の印刷サンプルのうち、一部を拡大して並べたもの。 |
デジタルカメラ(800万画素)の画像をパソコンから印刷して400dpiでスキャンした。拡大すればドットはある程度視認できるものの、ダーク部からハイライトまでざらつきは目立たない。 | 左の印刷サンプルのうち、一部を拡大して並べたもの。 |
PIXUS MP950の主なスペック | |
製品名 | PIXUS MP950 |
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印刷解像度 | 最高9600×2400dpi |
印刷速度 (コピー時) |
カラー約22枚/分、モノクロ約29枚/分 |
使用インク | C/M/Y/PC(フォトシアン)/PM(フォトマゼンタ)/Bk(染料)/Bk(顔料) |
用紙サイズ | L判/はがき/カードサイズ~A4 |
給紙容量 (ASF/カセット) |
普通紙150枚×2、はがき40枚×2 |
スキャン解像度 | 3200×6400dpi |
スキャン階調 | 48bit入力/24bit出力、48bit入出力(フィルム時) |
液晶モニタ | 3.6インチTFT |
インターフェース | USB 2.0、Bluetooth(オプション)、赤外線(IrDA v1.2、プリントビーム) |
本体サイズ | 468(W)×415(D)×263(H)mm |
重量 | 約12.8kg |