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【WPC EXPO 2005 Vol.9】各社がパソコンによるデジタルAVライフへの取り組みをアピール――基調講演レポートその1

2005年10月27日 03時10分更新

文● 編集部 小西利明

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マイクロソフト プロダクト ディベロップメント リミテッド プレジデントの藤井照穂氏
マイクロソフト プロダクト ディベロップメント リミテッド プレジデントの藤井照穂氏

マイクロソフト(株)プロダクト ディベロップメント リミテッド プレジデントの藤井照穂氏は、現在のパソコンはコンピューティングパワーを使い切っていないと切り出し、同社の目指す方向性として、コンシューマー向けの“デジタルライフスタイル”とビジネスユーザー向けの“デジタルワークスタイル”の2分野について話を始めた。まずデジタルライフ~の分野では、Windows XP Media Center Editionによって、Media Center専用のオンラインコンテンツ配信サービス“メディアオンライン”が始まり、またMedia Centerパソコンをホームサーバーとして、12月に発売される新ゲーム機『Xbox 360』をクライアントとするなど、ネットワークを活用したデジタルライフが実現されているとした。とはいえ、Media Center Editionが普及する兆しもない日本で期待されるのは、次世代Windowsである『Windows Vista』の方であろう。Vistaについて藤井氏は、セキュアーなネットワークアクセスや各種デバイスとの接続性、さらにユーザーインターフェースの改良による使いやすさの向上がもたらされるとした。



Windows Vistaで期待される改良項目。特にUIの改良と安全性の向上は重要だ
Windows Vistaで期待される改良項目。特にUIの改良と安全性の向上は重要だ

一方のデジタルワークスタイルについては、次世代Officeスイートである“Office 12”の特長についてが、デモを交えて説明された。ユーザーインターフェースの改良や、グループ作業(コミュニケーション、コラボレーション)の強化による生産性の向上を目指すOffice 12では、従来のツールバーから新しく、“リボン”と呼ばれるコマンドへのショートカットが用意される。リボンはユーザーが現在行なっている作業によってコマンド項目が変化し、現在作業では何が行なえるのかを把握しやすくしている。デモではOffice 12版のPowerPointやWordを中心に、作業内容に合わせてリボンの内容が変化する様子を示し、作業効率の改善が期待できることをうかがわせた。Office 12はWindows Vistaと同様に、来年の今頃の登場を予定していると、藤井氏は述べた。

Office 12版PowerPointのデモ。メニューの下に並んでいる大きなツールバー状のものが“リボン”。表示されるコマンドは作業状態に合わせて変化するだけでなく、視覚的にもコマンドの内容がイメージしやすくなっている こちらはWordで、リボン上にフォント選択のコマンドが、フォントデザインのサンプルと共に表示されている様子。このほかにもExcelやAccessの画面も若干披露された
Office 12版PowerPointのデモ。メニューの下に並んでいる大きなツールバー状のものが“リボン”。表示されるコマンドは作業状態に合わせて変化するだけでなく、視覚的にもコマンドの内容がイメージしやすくなっているこちらはWordで、リボン上にフォント選択のコマンドが、フォントデザインのサンプルと共に表示されている様子。このほかにもExcelやAccessの画面も若干披露された
ソニー VAIO事業部門 部門長の石田佳久氏
ソニー VAIO事業部門 部門長の石田佳久氏

最後に発表したソニー(株)VAIO事業部門 部門長の石田佳久氏は、“リビングコンピューター”と銘打った“type X Living”と関連機器“Xビデオステーション”などによる、デジタルAVライフについて紹介を行なった。まずtype X Livingについては、映像出力をHDMI端子やD4端子といった、家庭用TV向けの映像出力端子のみを備え、リビングの大型TVと組み合わせることを前提とした製品であるとした。操作もリモコン主体で可能なようにデザインされ、リモコン用のランチャーを使うことで、統合AVソフト『Do VAIO』やデジタルTV視聴ソフト、ウェブブラウザーなどをすばやく起動できるように工夫しているとした。



大画面TVにつないで使うための“リビングコンピューター”を指向したtype X Living。DVIやアナログRGB端子すら備えないという割り切ったパソコン
大画面TVにつないで使うための“リビングコンピューター”を指向したtype X Living。DVIやアナログRGB端子すら備えないという割り切ったパソコン

またXビデオステーションについては、8チャンネル同時に最大3週間分のビデオを録り貯め、それをネットワーク経由でほかのパソコンに配信できるという基本機能を紹介したうえで、操作用のアプリケーションをインストールさえすれば、VAIO以外の他社製パソコンでも利用可能であると述べ、VAIO専用機器ではなく、汎用のTVサーバーであることを強調した。さらに米国でtype X Living用周辺機器として用意される、200枚のDVDを収納できるDVDチェンジャーを披露した。実際にtype X Livingを使ったデモでは、Media Center Edition(米国ではVAIOもMedia Center Edition搭載で販売されている)のユーザーインターフェースからDVDチェンジャーにアクセスし、収納されたDVDビデオをジャケット写真のサムネイル画像付きメニューから選択し、映画を再生してみせた。

米国版type X Livingから、DVDチェンジャーの収納DVDを見た様子。サムネイル画像で収納DVDが一覧されている Xビデオステーションを中核としたデジタルAVネットワークのイメージ図。TVサーバーであるXビデオステーションは、ネットワーク内のパソコンやネットワークビデオプレーヤー“Room Link”などに映像をストリーミング配信できる
米国版type X Livingから、DVDチェンジャーの収納DVDを見た様子。サムネイル画像で収納DVDが一覧されているXビデオステーションを中核としたデジタルAVネットワークのイメージ図。TVサーバーであるXビデオステーションは、ネットワーク内のパソコンやネットワークビデオプレーヤー“Room Link”などに映像をストリーミング配信できる

パソコンがデジタルAVライフの主役でいるためには?

短時間のディスカッションでは、司会者より各社代表に質問が投げられ、指名された代表が答えるという形式でいくつかの質疑応答が行なわれた。「パソコンがデジタルライフの主役でいるためのポイントは?」という質問に対しては、NEC高須氏は“新しい技術に裏付けられた商品や用途提案”が重要で、他とは1ランク違う何かを提供することが必要とした。またソニー石田氏は、“コンピューティング能力をいかに使いやすく引き出すか”をポイントにあげ、鼻歌でその曲が何かを検索するといった例をあげて、パソコンのパワーを生かして、“見たいものをすぐに、どこにあるか”を知らせるといった機能が必要という考えを示した。

また富士通の伊藤氏は32インチワイド液晶ディスプレーを一体型にしたFMV-DESKPOWER TXの反響について問われ、大画面とパソコンでデジタル放送が見られる点に反響が大きかったこと、先進的なユーザーが多く、さらなる大画面を求めたりする声もあったことなどを披露した。一方で「デュアルコアCPUはメリットが(ユーザーに)分かりにくい。どうアピールするか」と問われたインテル阿部氏は、「コア数はエンドユーザーにはどうでもいいこと」と前置きして、“ブランドとコンテンツ”によるアピールが必要とした。このブランドを担うものとして、デジタルエンターテイメントパソコン用プラットフォームとして8月に発表された“Viiv”を挙げ、Viivが認知されることで、ユーザーにブランドに対する安心感をもたらすことができるとした。またViivなどに適したHDコンテンツを拡充するために、全世界レベルで投資も行なっていくと述べた。

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