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ValueOne G タイプMT

ValueOne G タイプMT

2005年06月09日 07時43分更新

文● 宇野 貴教

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マシン内部。マイクロタワー筐体を採用しているため、ドライブベイもしっかり用意され、増設作業を行なうスペース的な余裕もある。内蔵周辺機器を追加したいときに便利だ

 マザーボードは一般的なMicroATXタイプのシンプルなもので、CPUは、Celeron D 335(2.80GHz)またはPentium4 2.80AGHzが選択できる。メモリスロットは2つ用意され、PC-2700対応メモリを256/512/1024/2048MB搭載可能だ。コストとパフォーマンスのバランスを考えると、注文時に512MBをチョイスしておくのが最も賢い選択だ。HDD容量は、40/80/160/200GBから選べる。

 チップセットは、ビデオ描画機能を内蔵したIntel 845GVチップセットを搭載する。一部の3Dゲームなどでしか利用されないであろう高性能な3D描画能力をすっぱりと省略し、あくまでも“パソコンとして必要十分”なレベルに描画機能に抑えており、この点からも“シンプルさ”を徹底して追求していることが伺える。

 マシンのトータルパフォーマンスは、Celeron D/Pentium 4のいずれを選択してもCPUクロックは2.80GHzということもあり、Windowsやアプリケーションの起動や動作も素早く、快適で申し分ないところだ。内部スペースにゆとりがある分、放熱効果も高いようで、CPUファンはかなりの負荷をかけ続けても低速回転のままで動作音は静かで、静音性にも優れていることが確認できた。搭載可能なメモリ容量も十分で、HDDや光学ドライブの追加の余地もあることから、3Dグラフィックス描画性能を問わない用途であればさまざまなことに利用できるマシンと評価できる。



“VALUESTAR G”シリーズとは一線を画する“ValueOne”

 こうしてみると“基本性能と拡張性が高く、シンプルな作り”というNECの謳い文句も納得のいくところだ。拡張性はAGPスロットがない点を除けば合格点であり、基本性能もインターネットやビジネスアプリを中心としたパソコンの使い方ならば不満はまずありえない。大多数のメーカー製パソコンによく見られる付加機能はなく、大量のソフトウェアも付属せず、OSをインストールした直後に近いまっさらの状態であり、まさに“シンプル”以外の何者でもない。必要な機能やソフトは、ユーザーが自ら追加すればよく、こういった“必要なものはあとから追加していく”というスタイルでパソコンを使うのであれば、本機のようなシンプルで拡張性も確保されているパソコンは理想的と言えるだろう。低価格な製品=初心者向け、という見方もあるとは思うが、本機の場合は、むしろ中~上級者にこそオススメの製品といえるかもしれない。

省スペースの「VALUESTAR G タイプC」(写真をクリックすると製品レビュー記事にジャンプします)
 NEC Directのラインナップには、他にもシンプルで拡張性に優れる「VALUESTAR G タイプC」やコストパフォーマンスに優れる「VALUESTAR G タイプL」といった製品もあるが、こちらはHDD増設ベイが0または1つであるなど、スリム筐体のため筐体内部の増設用スペースには限りがある。そして価格もベーシックモデル同士での比較で1万7000円~3万4000円(価格は3月11日現在)ほど高値になる。CPUスピードやTV機能、設置スペースの小ささといった優位性はあるが、これらは必要としないユーザーの場合、「ValueOne G タイプMT」のほうが圧倒的にコストパフォーマンスの面に置いて優れているだろう。パソコンでTVをデジタル録画したい、コンパクトで邪魔にならないパソコンがほしいなら「VALUESTAR G タイプC」や「VALUESTAR G タイプL」、とにかく価格最重視でかつ性能と拡張性が十分確保されているパソコンが欲しいなら「ValueOne G タイプMT」というように、ユーザーの選択肢が増えたと言える。

 また、本機はセカンドマシンとしての導入にも向いている。メインマシンでTV録画や動画エンコードを行ない、その間にウェブを見たりほかのアプリケーションを使ったりするためのマシン、メインマシンとは別にファイル/プリントサーバーやウェブ/FTPサーバーとして稼働させるためのマシンといった用途にも、拡張ベイが豊富で導入費用が安い本機は魅力的な選択肢となるだろう。

 TV録画機能を筆頭に、パソコンとしての基本性能以外の付加機能をセールスポイントに掲げる個人向け国内メーカー製パソコン市場において、その対極にあるシンプルさとコストダウンによる低価格を前面に押し出した本機は、国内トップシェアを誇るNECとしては勇気を出して投入した画期的なモデルと言えるだろう。本機のセールス次第では、こういったシンプルなベーシックパソコンが国内メーカー製パソコンの主力ラインナップになりうる可能性も十分に考えられ、ビジネスの面から見ても実に興味深い製品が登場したと考えられる。“ValueOne”ブランドの最初の製品ではあるが、トータルコストパフォーマンスは高く、スペックとのバランスから考えても完成度は高い。シンプルな構成のパソコンを求めるユーザーに本機をお勧めすると同時に、今後の“ValueOne”シリーズがどういった進化を遂げていくか注目してみたいところだ。




ValueOne G タイプMTの主なスペック
製品名 ValueOne G タイプMT
CPU Celeron D 335(2.80GHz)/Pentium4 2.80AGHz (セレクションメニュー)
チップセット Intel 845GV
メモリ 256/512/1024/2048MB (セレクションメニュー)
グラフィックスチップ チップセット内蔵
HDD 40/80/160/200GB (セレクションメニュー)
光ドライブ CD-ROMドライブ/DVD-ROM&CD-R/RWコンボドライブ/DVD+R DL対応DVDマルチプラスドライブ(セレクションメニュー)
通信 Ethernet(10BASE-T/100BASE-TX)、V.90準拠56kbpsモデム(オプション)
インターフェイス PCI×3、USB 2.0×5、IEEE 1394(オプション)、7メディア対応カードスロット(オプション)
ディスプレイ なし/17インチ高解像度アナログTFT液晶/15インチアナログTFT液晶(セレクションメニュー)
サイズ 幅180×奥行き398×高さ386mm(スタビライザ設置時)
重量 約14kg
OS Windows XP Home Edition SP2/Windows XP Professional SP2 (セレクションメニュー)

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