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検証 新モバイルプラットフォームの実力

検証 新モバイルプラットフォームの実力

2005年05月26日 03時34分更新

文● 鈴木 雅暢

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Intel 915GMを筆頭に4種類のチップセット
メモリもデュアルチャンネルに

 新チップセットは、前述したIntel 915PM、Intel 915GMに加えて、ミニノート向けのIntel 915GMS、バリューノート向けのIntel 910GMLと4種類がリリースされた。主力となるIntel 915PMとIntel 915GMの違いはグラフィックスコア内蔵の有無のみで、FSBが533MHzに対応しただけでなく、メモリもデュアルチャンネルのDDR2-533に対応し、データ転送速度は最大8.53GB/秒となった。ただ、DDR2-533はデュアルチャンネルのみのサポートで、シングル/デュアル両対応はDDR2-400のみ。また、従来のDDRもサポートしているが、こちらはDDR333のシングルチャンネルのみとメモリ対応は少々複雑になっている。外部グラフィックスインターフェイスとしては、PCI Express x16をサポートする。Intel 915GMは、グラフィックスコアの“GMA900(Graphic Accelerator 900)”を内蔵する。DirectX 9に対応し、ピクセルパイプライン4本というスペックがあり、内蔵グラフィックスながら3Dゲームもそこそこには楽しめるパフォーマンスが出る。

 ミニノート向けのIntel 915GMSは、パッケージサイズが27×27mmと小型になっているのが特徴で、FSBは400MHzまで、メモリはDDR2-400のシングルチャンネルのみに対応と省電力に重きを置いた仕様となっている。内蔵グラフィックスコアのクロックは低く、外部グラフィックスインターフェイスもサポートしない。ローエンド向けのIntel 910GMLもFSBは400MHzまで、メモリ対応はデュアル/シングルのDDR2-400、シングルのDDR333となる。こちらも外部グラフィックスには対応しない。

 サウスブリッジは4モデル共通。ICH6のモバイル版であるICH6-Mで、モバイル向けチップセットとしてはシリアルATAインターフェイス(2ポート)を初めてサポートしたのが大きな特徴。シリアルATA IIの一部機能に対応しており、シリアルATAネイティブのAHCIをサポート。高度なパワーマネジメント機能やネイティブコマンドキューイングにも対応する。逆にUltra ATA/100のサポートは1チャンネルに減らされており、Ultra ATA/100のHDDを利用する場合は、HDDと光学ドライブを同じチャンネルで利用しなければならない。また、デスクトップ向けのICH6/R同様にPCI Express x1も4基をサポート。ギガビットLANコントローラの接続や、将来的にはPCカードの後継となる新型カード規格“ExpressCard”の接続などに使われる予定だ。

 主力となるIntel 915PM/GMの仕様は、基本的にデスクトップ向けのIntel 915P/Gに準じるものだが、モバイルのこれまでの主力は、メモリがシングルチャネルのDDR333(帯域2.7GB/秒)、グラフィックスはAGP 4X(1.06GB/秒)にすぎないIntel 855GMEチップセット。2世代ほど遅れをとっていた感があっただけに、非常に大きな前進といえる(表2)。

 なお、Centrinoのハードウェア要件に含まれるMiniPCIカードで提供されるIntel製の無線LANモジュールは、これまでの「PRO/Wireless 2200BG(IEEE802.11 b/g対応)」に加えて、IEEE 802.11a/b/gのトリプルバンドに対応した「PRO/Wireless 2915ABG」が新たにリリースされ、選択肢が広がっている。

表2 新チップセットの仕様比較
チップセット名Intel 915PMIntel 915GMIntel 915GMSIntel 910GML
対応CPUPentium M、Celeron MPentium M、Celeron MPentium M、Celeron MCeleron M
FSB533/400MHz(省電力対応)533/400MHz(省電力対応)533/400MHz(省電力対応)400MHz
メモリDDR2-533/400(デュアル/シングルch)、DDR333(シングルch)DDR2-533/400(デュアル/シングルch)、DDR333(シングルch)DDR2-400(シングルch)DDR2-400(デュアル/シングルch)、DDR333(シングルch)
最大メモリ2GB2GB2GB2GB
外部グラフィックスPCI Express x16PCI Express x16
内蔵グラフィックス
(3D最大クロック)
GMA900(333MHz)GMA900(160MHz)GMA900(160MHz)
チップセット間バスDMI(2GB/秒)DMI(2GB/秒)DMI(2GB/秒)DMI(2GB/秒)
サウスブリッジICH6-MICH6-MICH6-MICH6-M
HDDインターフェイスシリアルATA/150×2、Ultra ATA/100×1シリアルATA/150×2、Ultra ATA/100×1シリアルATA/150×2、Ultra ATA/100×1シリアルATA/150×2、Ultra ATA/100×1
PCI Express x1サポート4本4本4本4本
USB 2.08ポート8ポート8ポート8ポート
内蔵サウンドHD AudioHD AudioHD AudioHD Audio
内蔵LAN10/100BASE-TX10/100BASE-TX10/100BASE-TX10/100BASE-TX
パッケージサイズ37.5×40mm MicroFCBGA37.5×40mm MicroFCBGA27×27mm MicroFCBGA37.5×40mm MicroFCBGA
概要915GMからグラフィッスを省略新世代Pentium M標準ミニノート向け小型パッケージ版ローエンドのCeleron M向け

 Sonomaこと新Centrinoの登場で、モバイルPCもデスクトップPCに見劣らないプラットフォームポテンシャルを手に入れた。しかし、この新Centrinoを採用したノートPCが華々しくデビューし、市場を飾っているかといえば、実はそうでもなく、実際に新Centrinoを採用したPCは現段階ではあまり多くない。これはIntel製の無線LANモジュールを使わねばならないという制限だけでなく、DDR2やPCI Express x16、シリアルATAなど、周辺パーツの規格が大きく変わったことによる事情が大きい。

 ここまでアーキテクチャが変われば、これまでのように単に新しいパーツに乗せ換えればいいというものではなく、基板レベルで再設計が要求されるし、新規格部品の評価などにも手間がかかる。現状ではまだその設計/評価段階にあるメーカーが多いのだろう。FSB533MHzに対応したPentium Mを搭載してはいても、チップセットはATI RADEON 9100 IGPなどを利用し、メモリはDDR、グラフィックスもAGPベース、HDDもパラレルATAだといった製品は少なくない。また、プラットフォームとしては新Centrinoに準拠しているが、DDRやパラレルATA HDDなどを選択することもできるわけで、「Centrino対応ノート」だからといってすべて先進のアーキテクチャとなっているわけではない点には注意しておきたい。

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