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インテル、技術セミナー“Intel R&D Day”を開催――研究開発方針やベンチャー企業への投資などを説明

2004年10月20日 20時47分更新

文● 編集部 小西利明

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4本目の講演では、同社のベンチャー企業向け投資部門であるインテルキャピタルについて、インテルキャピタル コーポレート技術統轄本部及びプラットフォームテクノロジ部門担当マネジング・ディレクタのスティーブ・エイシェンラウブ(Steve Eichenlaub)氏による講演があった。

インテルキャピタル コーポレート技術統轄本部及びプラットフォームテクノロジ部門担当マネジング・ディレクタのスティーブ・エイシェンラウブ氏
インテルキャピタル コーポレート技術統轄本部及びプラットフォームテクノロジ部門担当マネジング・ディレクタのスティーブ・エイシェンラウブ氏

インテルキャピタルとは、同社の事業戦略を支援すると思われる有望なベンチャー企業に向けて投資を行なう、インテルの投資部門として設立された。講演ではインテルキャピタルが出資している企業がいくつか紹介された。エイシェンラウブ氏によれば、インテルキャピタルはデジタルホーム分野に関わる複数の企業に、計2億ドル(約217億円、2004年1月まで)もの出資を行なっているという。またそれ以外の分野でも、MEMS技術を使った反射型ディスプレーを開発している米Iridigm社や、光を使った血糖値の計測技術を元に生体認証技術を開発している米Lumidigm社といったベンチャー企業にも出資を行なっているという。

日本ではインテルキャピタルジャパンが活動しており、テラバイト級の光ディスクを開発している(株)オプトウエアや、電力密度の高いリチウム・ポリマー充電池を開発しているパイオニクス(株)などが、出資先として紹介された。

出資先の1つ、光を皮膚に当てるだけという新しい生体認証技術を開発するLumidigm社 出資先の1つ、リチウム・ポリマー充電池を開発するパイオニクス社。ノートパソコンのバッテリ駆動時間を大きく伸ばすと期待されている
出資先の1つ、光を皮膚に当てるだけという新しい生体認証技術を開発するLumidigm社出資先の1つ、リチウム・ポリマー充電池を開発するパイオニクス社。ノートパソコンのバッテリ駆動時間を大きく伸ばすと期待されている

ワイヤレスUSBやWiMAXなど、高速無線技術を推進

5本目の講演では研究開発の実例として、インテル コミュニケーション・テクノロジ・ラボ ワイヤレスUSBエンジニアリング・マネジャのブラッド・ホスラー(Brad Hosler)氏により“ワイヤレスUSBの研究開発について”が行なわれた。

インテル コミュニケーション・テクノロジ・ラボ ワイヤレスUSBエンジニアリング・マネジャのブラッド・ホスラー氏。UWBの専門家である
インテル コミュニケーション・テクノロジ・ラボ ワイヤレスUSBエンジニアリング・マネジャのブラッド・ホスラー氏。UWBの専門家である

ワイヤレスUSBとは、同社がここ数年力を入れていた、UWB(Ultra Wide Band)技術を使った高速ワイヤレス通信規格である。距離3mでUSB 2.0に匹敵する480Mbpsという高速な通信が可能になる。接続デバイス数も現行USBと同じ127台が可能だ。ただし距離による減衰が大きいため、現行のIEEE 802.11a/b/gの置き換えは考慮していない。あくまでもUSBケーブルを無線技術で置き換えるものである。ホスラー氏はワイヤレスUSBがサポートする機器の範囲を、「クラスター」という言葉で示し、距離的に狭い範囲に限定されることを強調した。その一方で、既存のUSB機器を接続できるワイヤレスUSB Hub“Wire Adapter”という構想もあるという。Hubとパソコンの間はワイヤレス化できるわけだ。

デジタルホームにおけるワイヤレスUSBと既存技術の住み分け。あくまでもホスト機器と周辺機器を結ぶUSBをワイヤレス化したものという位置づけ
デジタルホームにおけるワイヤレスUSBと既存技術の住み分け。あくまでもホスト機器と周辺機器を結ぶUSBをワイヤレス化したものという位置づけ

ワイヤレス通信にはつきものの、セキュリティーの確保についても規格化されていて、ホストとの接続処理やデータ送受信は暗号化(128bit AES)される。ホスラー氏によれば、仕様が確定するのは2004年の第4四半期、対応機器は2005年末までに登場するとのこと。またパソコンにワイヤレスUSB機能が内蔵(オンボードチップセットでのサポートと思われる)されるのは、2006~2007年と述べられた。

最後にゲルシンガー氏が再び演壇に立ち、標準化技術に対する同社の取り組みについて語った。すでに同社はさまざまな業界標準や規格団体による標準化規格に積極的に取り組んでいるが、今後もUWBに加えて、ホームネットワークのためのコンテンツ保護規格“DTCP(Digital Transmission Content Protection)”や、広域無線LAN規格“WiMAX(IEEE 802.16/16e)”などを積極的に推進していくという。

75Mbpsで半径4.8~8kmの範囲をカバーするという“WiMAX”。ワイヤレスUWBと並んでインテルが普及に力を入れている技術だ。
75Mbpsで半径4.8~8kmの範囲をカバーするという“WiMAX”。ワイヤレスUWBと並んでインテルが普及に力を入れている技術だ。

さらに同社は、Linuxの標準化を推進するため、Linux開発ガイドライン“Linux Standard Base”を支持し、ISOでの標準化に向けた支援を行なっているという。これによってデジタル家電での採用も多いLinuxの標準化を促進していく。

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