マイクロソフト、“the Microsoft Conference+expo 2004”を開催――最高技術責任者・古川享氏がビジネスコンピューティングの未来像を語る
2004年06月03日 12時49分更新
(社)日本情報システム・ユーザー協会(JUAS)の専務理事、細川泰秀氏 |
2003年度調査に回答した企業の業種分類。金融系は企業数こそ多くないがIT予算額は他業種に比べてかなり大きい |
マイクロソフトもたびたび取り上げているIT投資における新規投資と保守運用費の比率。予算規模の大きい金融系で特に新規投資の額が増えている | 新規投資、保守運用費別のIT投資に対する意欲の統計 |
IT予算構造の転換。新規:保守運用が50%ずつになるのを目指したいとしている |
また、企業内でのITの導入と活用に欠かせないプロセスにおいて浮かび上がったデータとして“経営トップとIT部門のコミュニケーションの密度”があるという。JUASの分析によると、経営トップとIT部門のコミュニケーションは
- ボーナス型
- 半期に1回程度、予算審議を中心としたコミュニケーションを取る
- 月給型
- 経営企画部門とも協調し、月に1~2回程度、業務改革とIT活用を議論する場を設ける
- 日給型
- 経営層とIT部門の間で、業務改革やIT活用の話題を日常的に交わす。“日々新たなり”という改革の風土が強い
の3段階の傾向に分類できるとしている。業績停滞が見られる大企業では“ボーナス型”が多いが、“月給型”への変革を進める大企業もあり、「ITの活用は企業にとっての生命線」(細川氏)となってきていることから、コミュニケーション密度は“月給型”以上を目指すのが望ましいとしている。また、このような変革の中でのIT部門の役割は、従来の“企画から安定稼動まで”ではなく、“企画から活用/効果発揮支援まで”をミッションとすべきだとし、細川氏は「自社の業務を知り、業務改革を推進することが求められている」と述べた。
現在のIT投資における問題点のひとつとして細川氏が挙げたのはIT当市の評価体制だ。調査結果によると、全体で53%の企業が事前評価を、59%の企業が事後評価を実施しておらず、貴重な経営資源をITへ投資するにもかかわらず、その投資評価は不十分だと指摘している。JUASによると、IT投資は3つのタイプ別に分類できるという。
- (1)インフラ型投資
- ネットワーク、メールやグループウェアの導入など、業務基盤として必須のシステムに対する投資
- (2)業務効率型投資
- 省力化、在庫削減、経費削減、歩留まり向上など、定量化しやすい業務システムに対する投資
- (3)戦略型投資
- 商品力、営業努力、IT効果などの複合的効果を狙うシステム、顧客サービスなど定量評価の難しいシステムに対する投資
評価手法として望ましいものとしては、(1)については他社とのベンチマーク比較、(2)はROI(Return On Investment、投資回収率)に基づいて2~3年回収を基準に検討、(3)KPI(Key Performance Indecator、重要業績評価指標)とユーザー満足度で評価し、最終的には事業の収益性で判断、を挙げている。
経営目標とITに対するニーズ |
これらの調査/分析を踏まえてJUASでは、IT投資の成功に向けて求められるものを
- IT部門と利用部門での目的の共有
- IT部門/IT企画推進担当者の強いリーダーシップ
- 経営トップとIT部門のコミュニケーションの強化
だとし、さらに、目標設定と投資評価の実行、ビジネスの強化/推進に向けたITの活用が必要としている。
展示会場“the Microsoft Expo” | 5つのテーマに分類された展示のうち、ソフトウェア開発ブースにはMSDNのブースも設けられている | MSDNブースで配布されている『MSDN Magazine』の特別版小冊子。古川氏インタビューなどを収録 |
なお、展示会場は、システム基盤/運用、システム統合/連携、情報共有/活用、ソフトウェア開発、セキュリティー対策の5ジャンルに分類された、同社およびパートナー/協賛企業による製品の展示と紹介、同社のソリューション提案コーナーが展開される。ソフトウェア開発ゾーンでは、弊社・MSDN Magazine編集部が制作した特別版の小冊子の無料配布も行なわれている。