片面2層記録を実現した“DVD+R DL”のロゴ。記録速度は現在2.4倍速 |
16倍速記録での大きな変更点を説明する図。高出力でメディアを反応させるため、特に大きいマークの記録時には、次の記録マークに与える熱“ポストヒート”の影響が大きくなる。そのため、広めの冷却ギャップを設けることでこれを抑えている。また、記録マークを書き込む波長パターン“記録ストラテジ”も16倍速用に新しいものが作られている |
なお、16倍速記録に対応したDVD+Rメディアは、現行の8倍速対応メディアが等倍~8倍速までをサポートするのと同様に、等倍~16倍速までのすべての速度に対応するが、8倍速対応のDVD+RWメディアに関しては、3.3~8倍速対応となる見込みだという。
著作権保護技術“Vidi”による放送録画の基本モデル。Vidi対応のレコーダー、メディアが使用される。開発コード名の由来はローマ皇帝ユリウス・カエサルの言葉“私は来た、私は見た、私は勝った”(ラテン語で“Veni,vidi,vici”)から取ったとのこと | “コピーワンス”番組を録画したVidi対応メディアを再生するときの制限の図。表示装置以外にデータを送ることは一切できない |
高速化以外の技術面での今後の展開としては、現時点でDVD+RW/+R規格が持たない、著作権保護技術への対応が紹介された。今後のビデオレコーダーでは、地上デジタル放送などで用いられる“コピーワンス”(日本、米国のケーブル/衛星テレビ網)や、インターネットでの録画データの配信を規制する“Broadcast Flag(※1)”(米国の電波放送)などといった放送コンテンツ保護のため制限への対応が求められてくる。DVD-R/RW/RAMは“CPRM(Content Protection for Recordable Media)”でこれらに対応しているが、これに対してDVD+RW/+Rでは、同団体の幹事企業のうち米ヒューレット・パッカード(Hewlett-Packard)社とロイヤル・フィリップス・エレクトロニクスの2社が共同で、DVD+RW/+R向けの著作権保護技術“Vidi”(ヴィディ、開発コードネーム)の開発と、各国の関係団体への認可申請を行なっているという(現段階では同団体全体として正式規格化には至っておらず、現在策定作業中とのこと)。
※1 インターネットでの放送コンテンツ配信は規制するが、コピーメディア作成に関しては制限を設けていない。そのため、録画したデータを対応録画機器に送ることにより、コピーの作成が可能。“コピーワンス”ではこれはできない。
“Vidi”対応のビデオレコーダーの基本構造。メディアのキーブロックとレコーダー側の暗号鍵からユニークなIDを生成し、メディアに記録、録画コンテンツの暗号化記録を行なうことでコンテンツを保護する | “Vidi”対応のパソコン用ドライブを用いたパソコンでの録画/再生環境の構造。基本的にはビデオレコーダーと大差はないが、ID生成はVidiに対応したパソコン上のソフトウェアが担当する |
基本的な仕組みは、Vidi対応のビデオレコーダー/プレーヤーとVidi対応メディアがそれぞれ暗号鍵を持ち、これらから生成したユニークなIDをメディアに記録しつつ録画データを暗号化することで、コピーの作成や配布を制限するというもの。これは、パソコン用のドライブにも用いられ、その場合、ユニークなIDの生成/照会はパソコン上のソフトウェアが行なう。製造面では、メディアの生産工程に変更が必要なく、Vidi用ICも安価で提供され、かつライセンス料も一定額のみとする、などといったコスト面での優位点が挙げられている。
現在、米国では“Broadcast Flag”を管理するFCC(Federal Communications Commission、連邦通信委員会)に対して認可を申請済みで、日本ではこの夏を目標に(社)電波産業会(ARIB)に“コピーワンス”対応著作権保護技術として申請を行なうという。
また、今回のセミナーでは、DVD+R DLに対応し、2層にまたがるデータ(パソコンのファイルデータおよびDVD-Video規格準拠のMPEG-2データのいずれも)をシームレスに書き込める、独アヘッドソフトウェア(Ahead Software)社の“Nero 6”シリーズや、DVD+RW/+R規格のライセンスの概要も紹介された。