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アビーム、国内大手企業125社のIT投資意識調査を実施――投資成果が“期待通り”はわずか3割、“期待以上”は皆無

2004年03月09日 21時59分更新

文● 編集部

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アビーム コンサルティング(株)は9日、国内大手企業125社を対象に実施したIT投資意識調査の結果を発表した。対象となったのは、東証一部上場企業を中心とした国内大手企業約1500社の経営企画部門長とIT部門長で、125社から有効回答が得られたという。回答企業の内訳は、従業員数が1万人以上が22%、5000~1万人が10%、3000~5000人が15%、1000~3000人が31%、1000人未満が22%で、製造業が60%、金融業が12%、流通業が11%、運輸・通信・サービス・エネルギー業が9%、建設業が7%。調査期間は2003年10月から12月。

それによると、IT投資効果を「期待通り」とした企業はわずか3割で、「期待以上」は皆無という結果になった。目的別では、「企業収益の向上」、「開発から上市までの時間短縮」、「新規顧客の開拓」などの項目では2割を下回っており、以前から各社が取り組んでいる「業務の合理化」や「意思決定の迅速化」でも、「期待通り」とした企業は3割程度にとどまっているという。

期待通りの成果が出ていないが、他社と比べて自社のIT投資が「かなり積極的」「やや積極的である」と感じている企業が半数近くを占めており、3年前に比べ、売上高に対するIT予算の比率が「大幅に上昇した」「やや上昇した」「横ばい」と回答した企業は約8割に上るという。同社では、多くの企業がIT投資を継続的に行なっているにもかかわらず、期待通りの成果が得られていないことがうかがえるとしていいる。

その一方で、IT投資で成果を上げている企業は、おおむね企業業績も好調であることが確認されたとしており、特に、売上高が1000億円以上の大企業で顕著であるという。それに対して、売上高が1000億円未満の企業では、利益率に格差は見られなかったという。

今回の調査結果について、調査を担当したディレクターの木村公昭氏は、「IT投資で期待どおりの成果を上げている企業が3割というのは予想以上に低い数字である。ITの投資対効果を疑問視する声が出るのも無理ないが、IT投資で成果を上げている企業が確実に存在することも事実である。IT投資で成果を上げるために、ともすれば、CIOの選任やITROIなどの指標の導入に関心が向かいやすいが、それだけでは問題の解決にはならない。自社の位置付けによって成功のポイントは異なり、自社に合った投資プロセスを確立することが重要であることを企業は再認識すべきであろう」とコメントしている。

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