(株)ジャストシステムは3日、東京・港区の東京コンファレンスセンター・品川で記者説明会を開催し、ワープロソフト“一太郎”、グラフィックスソフト“花子”、日本語IME“ATOK”の次期バージョン『一太郎 2004 for Windows』『花子 2004 for Windows』を2004年2月6日、『ATOK17 for Windows』を2004年2月27日に発売すると発表した。各製品の価格は以下のとおり。
一太郎
- 通常パッケージ
- 2万円
- Microsoft Officeユーザー向けの“キャンペーン版”(15万本限定)
- 9800円
- “バージョンアップ版”
学教関係者向けの“キャンパスキット” - 8000円
花子
- 通常パッケージ
- 9800円
- “バージョンアップ版”(同社直販のみ)
“キャンパスキット” - 8000円
- 作図の参考書が付属する“書籍付き版”
- 1万800円
一太郎と花子を1パッケージに収録した“スペシャルパック”
- 通常パッケージ
- 2万5000円
- 一太郎/花子ユーザー向け“特別バージョンアップ版”
“キャンパスキット” - 1万5000円
ATOK
- 通常パッケージ
- 8000円
- 連動して意味や翻訳結果を表示する“電子辞書セット”(明鏡国語辞典、ジーニアス英和/和英辞典)
- 1万1000円
「次の100年の発展の軸を見つけた」
――代表取締役社長の浮川氏
一太郎2004と花子2004のパッケージを掲げる、代表取締役社長の浮川和宣氏 | 満面の笑みとともにATOK17のパッケージを掲げる浮川氏 |
会場には、代表取締役社長の浮川和宣氏と“一太郎2004ディレクタ”の佐尾山英二(さおやまえいじ)氏らが出席し、新しい一太郎と花子の開発コンセプトを説明した。浮川氏は「今までのバージョンアップとは違う、大きなテーマを持った製品になった。そのテーマとは“人間が考える”ということ。人がコンピューターを使って文書を考え、練り上げ、作成する行為はこれからも続いていく。それを支援するためのソフトを作る、考えるための道具になる、というのが新しい一太郎や花子の開発コンセプトになった。10年前にインターネットが今のように広く普及しているとは思わなかったように、このコンセプトがいずれは広く認知されるだろう。ただ、10年たてば完成するというものではない。人が考えることを続ける限り、支援するソフトウェアの進化も続けていく必要がある。このコンセプトは、次の100年のジャストシステム発展のための軸になるものと考える。今日はその第一歩になる」と熱弁を振るった。
また、「新しい一太郎や花子は、マイクロソフト(株)のWordやPowerPointと直接かち合うものではない。自分の考えをまとめ、具現化するときに一太郎や花子を使ってもらえば、WordやPowerPointとは違った便利さ、効率性の高さに気づくはず。その上で、WordやPowerPointとのファイル互換性(読み込み/書き出し)の高さを維持しているので、受け渡しの際には都合のいい形式で行なってほしい」と、直接Microsoft Officeシリーズとのシェア争いを行なうのではなく、アイデアプロセッサーとしての役割、機能性の高さを強調した。
“考える”時間を最大限引き出すための
機能強化――『一太郎 2004』
一太郎ビジネスオーナーの小野央軌氏 |
一太郎 2004の具体的な説明は、一太郎ビジネスオーナーの小野央軌(おの おうき)氏がデモンストレーションを交えながら行なった。考えるための道具として、一太郎 2004では、
- 考えをまとめる
- 考えを生かす
- 考えを(文書にまとめるために)ナビゲートする
- (過去や他者の)考えを呼び出す
といった新機能が盛り込まれている。“考えをまとめる”“考えを生かす”ための機能としては、画面左端に“アウトラインスタイル”“基本編集”“マルチビュー”という3つのタブ“シンキングバー”が設けられ、アウトラインスタイルでは見出しレベル(1~3および本文)別の編集が行なえるほか、見出しやタイトル部分の文字サイズ/文字色/飾り罫線などのスタイルを一括割り当てが可能。マルチビューは、作成した文書にメモ書きや注釈などを追加して、部内ではこれらを表示した状態で印刷/ファイル保存を行ない、顧客に提出する場合は非表示の状態で印刷/ファイル保存が行なえるというもの。一度作成した文書を変更する際に、その経緯や関連情報などを管理する際に便利な可能だ。
一太郎2004に搭載された“アウトラインスタイル”の画面 | こちらも新搭載の“マルチビュースタイル”の画面で、赤い文字のメモ部分を表示した状態 |
“考えをナビゲートする”ための機能は、別売オプションとなるが(株)日本能率協会総合研究所が監修したビジネス向け文書テンプレートと例文を用意(300種類、5800円)。本文部分に注釈(記入すべき内容や要点)を記しており、ビジネス文書の書き方を知らない人でも書式に頭を悩ませることなく、内容構成により多くの時間が費やせる。
“考えをナビゲートする”コンセプトを示した図 | ビジネス向け文書テンプレートの画面。本文部分に薄いグレーで内容の指示などが記載されている |
“考えを呼び出す”機能は、文章を仕切る罫線にタグをつけて、それぞれの意味合い(要約、序論、結論など)によって文章を切り出すことができるというもの。これを使うと、特定のフォルダーにある複数の文書ファイルから要約部分だけを切り出して1つの文書にまとめ、作成したい内容に近いものや適切な表現などを参照できる。また、切り出した要約から元の文書を呼び出すリンク機能も用意している。
このほか、日本語校正機能“修太”の機能強化や辞書の充実、作図関連機能の改良、電子署名への対応など、多岐に渡る改良・強化を行なっているという。
花子プロダクトオーナーの仁科伸一氏 |
花子 2004でも、思考を妨げず、思考の可視化を後押しするための作図機能が用意された。花子プロダクトオーナーの仁科伸一氏は、ビジネス文書で頻繁に登場するチャート図の簡易作成機能をデモンストレーションしながら、
- 文字列パレットに用語/文章を入力するだけで、丸囲みと個々の関係性を示すチャート図を自動作成
- よく使われる関係性(直列/並列/分離/ツリー)を用意
- 文字列パレットの入れ替えを自動的に図に反映(全体構成を確認しながら作図が可能)
といった簡便な操作性を紹介した。さらにMicrosoft Officeのプレゼンテーションデータ作成ソフトPowerPointとの互換性について、クリップボード経由で部品群をコピー&ペーストすると、自動的に花子/PowerPoint用データに変換して貼り付けられ、互いのアプリケーションで操作の継続が可能なことが示された。
花子の新コンセプト“オートチャート”を示した図 | 花子のオートチャートで作図した画面 | |
PowerPointとの互換性の高さを示す例。画面はPowerPointのパーツを使って作図したもの | クリップボード経由のコピー&ペースト操作を行なうと、花子で編集可能な形式に自動コンバートして転送された |
ATOKビジネスオーナーの稲野豊隆氏 |
ATOK17は、言い換えの候補を提示する“連想変換”、オプションの外部辞書として(株)大修館書店の『明鏡国語辞典』『ジーニアス英和辞典 第3版』『同和英辞典』で言葉の意味や翻訳結果を掲示できるようになった。特に英和辞典ではネイティブスピーカーによる発音を確認したり、挿絵の参照も行なえる。また、話し言葉モードに中部・北陸が追加されたほか、校正支援機能も強化され、ら抜き/さ抜き言葉に加えて“くだけた表現”の指摘も行なうようになった。
ATOK17の連想変換機能の例 | ATOK17の辞書連動機能の例 |
キャンペーン情報
本日から発売日前日の2004年2月5日まで、一太郎2004&花子2004の発売を記念して“チャンスをつかめスタートダッシュ”キャンペーンが実施されている。内容は、同社のキャンペーンサイトでアンケートに回答すると、20種類のオリジナル特典がダウンロードできるほか、本日以降に一太郎13/花子13/スペシャルパックを購入すると、それぞれ2004への無償アップグレードが可能。