このページの本文へ

前へ 1 2 3 4 5 次へ

ソニー(株)副社長 高篠静雄氏/月刊アスキー編集主幹 遠藤諭 特別対談

ソニー(株)副社長 高篠静雄氏/月刊アスキー編集主幹 遠藤諭 特別対談

2003年11月27日 01時38分更新

文● 月刊アスキー編集部・遠藤

  • この記事をはてなブックマークに追加
  • 本文印刷

QUALIA 016

Q016-WE1/小型デジタルスチルカメラ
Q016-WE1/小型デジタルスチルカメラ/38万円

チューインガムのケースより一回り大きい程度の超小型デジタルスチルカメラ。画素数は200万画素。小さくても使い勝手を重視しており、手にしたときの質感もよい。フラッシュやテレコンバージョンレンズ、ビデオ出力ユニットなどのパーツ類が同梱され、それらをカメラと組み合わせる合体メカ的な楽しみもある。カメラとパーツ類は専用のキャリングケースに収納される。

Q016-WE1 Q016-WE1

匠の世界とテクノロジーと作り込み

[高篠氏] アナログの時代って、ものすごく深く掘り起こしながら商品を作ったじゃないですか。今のデジタルの時代は、例えばCDのピックアップはどこでも売っています。それに半導体と電池を組み合わせれば音が出る。しかも性能はデジタルだから、そんなに差はない。こうなると余計商品に差別化ができなくなって、その中でのビジネスですから、中国に持っていって本来必要なものを削る、といった方にいってしまう。
[遠藤] モジュールを買ってきて組み合わせるのと違う手法を取らないと差が出てこない。既製品を組み合わせれば作れるデジタルな物とつき合っていくのは、しんどいと思うんです。それとは違う意識的なアプローチがないとできないですよね。
[高篠氏] そう思いますね。特にもっとこれから難しくなってくるのは、ネットワーク端末機でQUALIAをどうするかとかね。
[遠藤] おお。
[高篠氏] そういう物になってくると、これはけっこう……。例えば作り込みだけだと思うのだけれど、ヨーロッパのVERTU(携帯電話会社ノキアの子会社)だったかな。携帯電話で70万円くらいする奴があるんです。
[遠藤] 70万の携帯電話! 欲しいな。買うお金はないけど(笑)。
[高篠氏] 中はただの携帯電話です。ただデザインと仕上げと、1つ1つのスイッチの感覚とかがものすごくて、付属品も良くてね。エグゼクティブがあれをオフィスで使っていたら、ものすごく格好いいですね。ただこれは作り込みの世界であってね。中身がネットワークの端末だと変化してしまうので、なかなかQUALIAにはなりにくい。
[遠藤] ファンクションとしての、機能としてのQUALIAというのは難しいですよね。
[高篠氏] 何か技術で飛び抜けたものを盛り込めないと。だからQUALIAというのは匠の世界とテクノロジーと、それにまつわる作り込み。心のこもった作り込み、そういう物がQUALIAなんです。理想はウォークマンみたいな新しい感動を与える商品を広く。
[遠藤] かといってQUALIAの名は安売りもできないですよね。微妙なさじ加減が必要。
[高篠氏] まずは今の考えでしばらく、ソニーの中の妥協しない物作りをやりながら、おそらくそういうのをやると、現在のカンパニーやカンパニー間でなかなかできないもの、あるいはまったく新しいものが生まれる可能性もあると思いますね。
高篠氏

前へ 1 2 3 4 5 次へ

カテゴリートップへ

注目ニュース

ASCII倶楽部

プレミアムPC試用レポート

ピックアップ

ASCII.jp RSS2.0 配信中

ASCII.jpメール デジタルMac/iPodマガジン