このページの本文へ

台湾の地下鉄に乗ろう ~台湾編3~

2003年05月06日 21時21分更新

文● くろさかはじめ@テンアートニ

  • この記事をはてなブックマークに追加
  • 本文印刷

プロフィール

Northern Lights

黒坂 肇(くろさかはじめ) 1971年生まれ、神奈川県横浜市出身。(株)テンアートニにてノーザンライツブランド製品の企画からユーザサポートまでを幅広く担当。趣味はサッカー、車、映画、台湾、仕事……。

SARSに関してはいろいろな意味でバタバタとしているアジア諸国ですが……。騒がれた当初は台湾のなかでも、この病気の感染に関して不明点が多く、地下鉄、バスなどの中では皆マスクを付け、空調も全開で動作、町中からマスクが売り切れたなどいろいろとあったようです。SARSの詳細については私が情報を発するものではないので、正確な情報を届けているニュース様をご覧ください。

ちなみに気づいた方は少なかったのではないかと思いますが、MSN台湾のページにて、MSNメッセンジャーのマスコットキャラクターがマスクをしているというレアな画像が見れました。当然のことながら今はもう見れません。

今回は適当なキーワードは中国語で書いています。多分、その漢字の雰囲気で意味は分かるのではないかと思います。まずは頭の体操として、本文とは関係ないコンビニエンスストアの名称です。



  • SevenEleven……セブン・イレブンです。これはかわりません。そのままです。
  • 福客多商店……たくさんのお客様に福があるのでニコ・マートということですね。
  • OK便利店……これは想像がしづらいのですが、マークを見ればすぐ分かるサークルK(丸K)だと分かります。
  • 全家便利商店……ファミリーマートです。全家=ファミリーあたりで想像つきますよね。

ここからがこの先の本文で使われる中国語です(もし、間違っていても黙っているのが大人というものです)。

  • 捷運……これはMRT(Metro Taipei)という台北市街を走る地下鉄のことです。
  • 捷運車票……捷運のチケット。つまり切符です。
  • 儲値票……儲かる値のチケットですから、そう、プリペイドカードです。
  • 零銭……小銭のことです。
  • 行動手機……言わずと知れた携帯電話です。子供からお年寄りまでみんな持っています。
  • 電梯……電気の梯子(はしご)、つまりエスカレータです。
  • 月台……プラットホーム。字のままの意味ですね。なんだか神秘的な感じがします。
  • 不抽煙……不は否定を表わしますので、タバコを吸うなということです。
  • 不吃東西、不喝東西 or 不吃不喝……これは、ちょっと難しいですが、飲み食い禁止です。(東西=すべて)

さて、本題に入りましょう。今回は台北市を走る【捷運】についていろいろと考察してみたいと思います。

海外の地下鉄を思い浮かべますとニューヨークやらロンドンやら、少し怪しげな怖いイメージがありますが、台北市街を走る地下鉄は非常にクリーンです。とはいえ、時間帯によって乗車客の増減が非常に著しいため、深夜に女性だけでホームというには少々不安なところもあります。そんな場合には「この枠内は24時間監視されています」というエリアに立ってさえいれば、まず安全ではあるとのこと。私のイメージ的には台湾版大江戸線? 日本の治安状況とほぼ同等と見ても構わないでしょう。

まず、地下鉄に乗る際には【捷運車票】を買う必要があります。また、地下鉄を頻繁に使う場合には【儲値票】を購入するといいでしょう。ところで、【捷運車票】を買う際にですが、日本人ですと、少しだけ違和感を感じる個所があります。

台湾の券売機台湾の地下鉄【捷運】の券売機。行き先ボタンを先に押してから料金を投入するしくみになっている

この自動券売機に【零銭】を入れても、目的地の金額のランプが点灯しません。日本のシステム(硬貨を入れてから行先のボタンを押す)とは逆であり、行先の金額ボタンを押してから硬貨を投入することになります。ですから、料金の表示窓は、必要な残り投入金額が表示されることになります(つまり、零銭を入れるたびに表示される数字が減り、最終的にゼロになります)。日本とは逆ですよね? 日本は投入した金額が表示されます。

なぜ、このシステムは日本とは逆なのでしょうか? という疑問はさておき、次に行きましょう。いや、本当になぜだか想像がつかないのです(^-^;)

切符はすべて非接触型のICカードとなっており、これで自動改札を通るわけです。気にしなければしないで済むのですが、私のような神経のきめ細かな人間は、ここでも「あれ? 」と違和感を感じます。

台湾地下鉄の改札
【捷運】の改札。日本のものと異なり、センサ部分が自動改札機の上面ではなく横に取り付けられている

まず、非接触型ICカードという新しいシステムを使ってはいますが、日本のように自動的に扉が開くわけではなく、ディズニーランドの入り口にあるような回転金属バーを押して入るアナログなシステムを採用しています。

しかし、よくよく考えると、日本の一般的な切符を挿入するタイプのシステムと比べ、非接触型ICカードを使用することにより、「紙資源」の節約、「切符を取り忘れること」がない、「切符を入れて歩き始めるときの、アラームとともに扉が閉まるんじゃないかという、ものすごい不安と恐怖」がないという部分で勝った、素晴らしいシステムだと気づいてしまいました。皆さん、少なからずとも、装置の誤動作で足をはさまれたことありますよね? あれってそのあとのトラウマになったりするのですよね。ラッシュアワーでは周りの人すべてからの冷たい視線も浴びますし……。

また、ICカードのセンサですが、その位置がまた日本のシステムとは多少異なります。もちろん、非接触タイプは私自身、JRのSuicaくらいしか知らないのですが、そのSuicaの非接触型ICカードのセンサは自動改札機の上面に存在します。ですから、定期券入れなどに入ったカードをそのセンサにポンッっと乗せるような形で通過していく方々が大半です。でも、よく考えると、これで非接触型のメリットはすべて出せていますでしょうか?

台湾のシステムでは、センサ部分が改札の上面ではなく側面に存在します。多少は斜めになっていますが、これは視覚での分かりやすさを考慮したものなのでしょう。これでなにが便利かといいますと、つまり、ハンドバックに入った非接触型ICカードを取り出す必要がないのです。おかげで若い女性などはハンドバックごと「バンバン」と叩きつけていきますし、ポケットに入ったカードをセンサに近づける為に体当たりに近いようなことをする方もいらっしゃったりします。確かに便利です。しかも、誤動作でアラーム&はさまれるということがないシステム、それだけでも、日本で採用してもらいたいですよね?

私自身、Linuxが搭載された腕時計が発売! などという記事を見ると、なにに使うんだろう? 誰が使うんだろう? とけっこう冷ややかに感じてたりもするのですが、確かに人間の生活に自然とコンピュータが入り込むというところでは、合理性を追い求めていった先の市場というところにヒントがあるのかなと最近では考えたりしています。腕時計で地下鉄の改札を通れるのなら、それこそ改札を意識する必要がなくなるわけですから、そこに搭載されたコンピュータもコンピュータとしてまったく意識されなくなる。それが第1回のコラムでも書いていた生活の中のコンピュータとなるのでしょう。

たとえば、似て非なる例として、【行動手機】でジュースが買えるというものがありますが、それだけはちょっと違うかな? と考えます。なぜかというと、携帯電話でジュースを買うのが一般的になった際に、「なんと小型の専用丸型金属(【零銭】)でジュースが買える! 」という新しい広告が出てきてもおかしくないですよね? そんな理由からです。私のいいたいこと、分かりますかね? (^-^

ほかにも、高速道路の自動集金システムETCですが、あれでどれだけの渋滞緩和になったのでしょう? いくらETCという技術が優れているとしても、一番時間のかかるオートバイにETCを搭載できないという問題もあります。一般の方々には「ETCというコンピュータが付くというのはなんだか難しそうだ」という意識もあるでしょう。

意識されない生活の中のコンピュータ。これに搭載できるOSとして、Linuxは有望株のうちの1つであるところは皆さんも認められることでしょう。もちろん、Linuxに関することならなんでもノーザンライツへお任せです(宣伝)

さて、気を取り直し、

ホームへ続くエスカレーター 台湾地下鉄のプラットホーム
ホームへ続くエスカレーター。都内とは逆で、左側を急ぐ人のために空けておくのがマナーだ地下鉄のプラットホーム。喫煙、飲食は禁止だ

【電梯】を降り、プラットホーム【月台】に到着、あとは電車が来るのを待つわけですが、電梯は左側が歩く人用、右側はとまって乗る人用となり、東京と比べると逆で、大阪とは同じということになるのは注意が必要です。ちなみに地下鉄構内は【不抽煙】【不吃東西】【不喝東西】で、違反者は罰金を取られてしまいますので気をつけてください。

こうしてみると、たかだか地下鉄1つとっても日本のものとはそのシステムに微妙なずれが存在します。はたしてこれはなんなのでしょう?

確かに私が今まで何の疑問もなく「普通」だと思っていたことが、実はそうではなかったということはカルチャーショックではありますが、逆に気づいたことにより、ここに「なにかができる」チャンスが転がっているのではないかと考えられるようになったことは大きな収穫です。そして、私は今、台湾人が無意識の下に追い求める合理性というところに、コンピュータが生活へと入り込み、爆発的な普及を起こす可能性を感じたりもして……でも、儲値票にて残り端数が出た際、その端数でどこまででも乗って行けてしまうというところに、台湾の伝統的(?)ないい加減さが出ていたり……

やっぱり台湾って面白い(^-^;


台北駅前のTUX氏
2003年旧正月 台湾の台北駅前にて

皆様からの感想や励ましのメールをお待ちしております。



カテゴリートップへ