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【特別企画】企業に根付き始めたアウトソーシング パワードコムのデータセンターを見る

2003年03月24日 18時57分更新

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掌型とIDカードを組み合わせた認証システム。部屋に入る前には、必ずこの認証をパスしなければならない
 同行していただいたパワードコムの澤田勉氏(営業本部 iDCプロジェクトチーム 課長)が所持する入館カードで金属製の扉を何回も開け、データセンターとなっている部屋にたどり着く。入り口にはバイオメトリクス(掌型)による認証を行なう装置がある。パスワードは、そのパスワードを他人に知られてしまえば認証されてしまうが、指紋や目の虹彩、掌型のように各人で固有の生体情報を認証のキーとして使えば、安全性は高まる。しかもここでは入館カードと掌型の組み合わせで、認証を行ない、ドアが開かれる仕組みになっているので、セキュリティは非常に高い。

 さて、部屋に入るとコンクリート製の部屋になっており、青いラックがずらりと並んでいる。さらに「ゲージ」と呼ばれる柵に囲まれたラックもある。ここに顧客のサーバが置かれている。



ラックのすぐ近くに設置されている監視カメラ。ラックが開くと自動的に録画を開始する
 各ラックは監視カメラで24時間365日監視されており、しかも、ラックなどの扉開閉にあわせ録画も実施している。「ラックは基本的に登録された顧客しか開けることができませんので、セキュリティは高いです。ただし、サーバやルータなどのリブートなどの作業は、手順書を渡してもらえば、パワードコムの職員が行なうことも可能です」(澤田氏)とのことだ。  今回は、実際に現場に行くことで、非常に高いセキュリティを持っていることが体感できた。



■アウトソーシングに
■企業の目が向く

 パワードコムでは、こうした堅牢なデータセンターをベースにさまざまなサービスを提供している。単に顧客のサーバを預かるラックを提供するハウジングのサービスだけではなく、Webサーバやメールサーバのシステム提供、ファイアウォールの運用管理、あるいは大容量のストレージの提供まで多種多様だ。もちろん、24時間365日体制でのサーバや機器の運用・管理も行なっている。つまり、今まで企業のサーバルームにあったサーバや機器をすべてデータセンターに置いて、「Powered Ethernet」のような広帯域なWANサービスを経由して利用できるのだ。

 登場当初、データセンターは一般企業よりインターネットでビジネスを展開する業者のための設備であった。もちろん、こうした用途で利用する場合も多いが、最近では一般の企業がアウトソーシングの一環として利用するケースが増えている。澤田氏によると、「以前はデータセンターを使ってシステムを構築するシステムインテグレータさんがお客様になるケースが多かったのですが、最近ではエンドユーザーの情報システム部門からの直接の依頼が増えています」というのが昨今の顧客の傾向だ。

 ドットコムバブルの崩壊とともに撤退した事業者もあるが、データセンターの数自体は今でもかなり多い。こうした中、データセンターの建設にかかった莫大な建設費用を早期に回収するため、ラックの安売りに走る業者も少なくない。しかし、パワードコムはこのデータセンターを顧客の数に応じて拡張し、この事業をゆっくり育てていくようだ。「うちのデータセンターは、本格的に立ち上がってまだ1年です。派手な宣伝よりも、やはり実績をどんどん積み重ねていくことしかありません」(澤田氏)とのことである。

 管理・運用コストがかかり、セキュリティ面でも安心はできないというサーバの自社運用は、あまり正しい選択とはいえない。こうしたデータセンターを積極的に導入し、外部の専門業者を有効に活用することこそが、企業のブロードバンド導入を成功に導く方策といえるだろう。

パワードコムでは、このデータセンターをベースにハウジングやファイアウォール管理など幅広いサービスを展開している

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