掌型とIDカードを組み合わせた認証システム。部屋に入る前には、必ずこの認証をパスしなければならない |
さて、部屋に入るとコンクリート製の部屋になっており、青いラックがずらりと並んでいる。さらに「ゲージ」と呼ばれる柵に囲まれたラックもある。ここに顧客のサーバが置かれている。
ラックのすぐ近くに設置されている監視カメラ。ラックが開くと自動的に録画を開始する |
■アウトソーシングに
■企業の目が向く
パワードコムでは、こうした堅牢なデータセンターをベースにさまざまなサービスを提供している。単に顧客のサーバを預かるラックを提供するハウジングのサービスだけではなく、Webサーバやメールサーバのシステム提供、ファイアウォールの運用管理、あるいは大容量のストレージの提供まで多種多様だ。もちろん、24時間365日体制でのサーバや機器の運用・管理も行なっている。つまり、今まで企業のサーバルームにあったサーバや機器をすべてデータセンターに置いて、「Powered Ethernet」のような広帯域なWANサービスを経由して利用できるのだ。
登場当初、データセンターは一般企業よりインターネットでビジネスを展開する業者のための設備であった。もちろん、こうした用途で利用する場合も多いが、最近では一般の企業がアウトソーシングの一環として利用するケースが増えている。澤田氏によると、「以前はデータセンターを使ってシステムを構築するシステムインテグレータさんがお客様になるケースが多かったのですが、最近ではエンドユーザーの情報システム部門からの直接の依頼が増えています」というのが昨今の顧客の傾向だ。
ドットコムバブルの崩壊とともに撤退した事業者もあるが、データセンターの数自体は今でもかなり多い。こうした中、データセンターの建設にかかった莫大な建設費用を早期に回収するため、ラックの安売りに走る業者も少なくない。しかし、パワードコムはこのデータセンターを顧客の数に応じて拡張し、この事業をゆっくり育てていくようだ。「うちのデータセンターは、本格的に立ち上がってまだ1年です。派手な宣伝よりも、やはり実績をどんどん積み重ねていくことしかありません」(澤田氏)とのことである。
管理・運用コストがかかり、セキュリティ面でも安心はできないというサーバの自社運用は、あまり正しい選択とはいえない。こうしたデータセンターを積極的に導入し、外部の専門業者を有効に活用することこそが、企業のブロードバンド導入を成功に導く方策といえるだろう。
パワードコムでは、このデータセンターをベースにハウジングやファイアウォール管理など幅広いサービスを展開している |