POINT
「ADVANCE 6000GT」 |
- 現在最速のHyper-Threading対応CPUマシン
- 質実剛健で拡張性も高い。2台目に最適
- BTOメニューでカスタマイズ可能
好みに応じてパーツをチョイス
玄人向けのPCメーカー
写真1 かなり大きめの筐体で、5インチオープンベイ×4基と内蔵HDD用のシャドウベイが5基分用意されている。また、AGPにはビデオカードが抜けたり傾いて接触不良を起こさないためのガイドが取り付けられている。 |
ショップブランドとは、構成するパーツの選定や組み立て作業を個々のショップで行い販売されるPCのこと。メーカー製PCのように一定期間ごとに新機種を投入するのではなく、新しいパーツが出たらすぐにそれを採用してマイナーチェンジを繰り返していくため、旬のパーツを搭載したマシンをいち早く入手したい人にもってこいのPCだ。あるショップによれば、1つのモデルは2週間程度の期間が旬のこともあるというくらい足の速い商品でもある。本体価格は大手メーカー製よりも比較的安いが、ソフトがほとんどプリインストールされていないため、トータルで見たコストパフォーマンスはメーカー製PCの方が高いと言える。また、筐体デザインがメーカー製のように手の込んだものではなく無骨なものが多くなっている。しかし、最近ではショップオリジナルの拡張性に富んだ筐体が増えており、自作のベースマシンとして購入するのもよいだろう。そのため、初めてPCを購入するような初心者にはやや敷居が高く、買い換えを目的とした中級者以上向けのPCといえる。
Hyper-Threadingが台風の目
直販系メーカーやショップブランドは最新デバイスを採用したモデルがいち早く登場するのが魅力だが、現在最もホットなIntelの「Hyper-Threading」テクノロジーCPUを搭載したマシンも早速登場している。Hyper-Threadingとは、CPUをより効率的に働かせることで処理スピードをアップさせる技術だ。CPUの処理スピードを上げる技術の1つに、マイクロスケーラという単一クロックサイクル内で複数の命令を実行するものがあるが、常に複数の命令が実行されているわけではなく、命令セットの関係上使われない実行ユニットも多い。Hyper-Threading対応CPUはOSからは2つのCPUに見えているが、実際は2つの論理的CPUで処理する内容をマージして1つのCPUで稼働させている。こうすることにより、実行ユニットの利用率が引き上げられ、IntelによるとHyper-Threading非対応の同一CPUより30%以上のパフォーマンス向上が見込めるとされている。ただしSMP構成(Symmetric MultiProcessor:対称型複数CPU構成)に見せかけて速度向上を図っているため、マルチスレッドに対応していないアプリケーションはそれほど高速化されず、逆にHyper-Threadingの内部的なオーバーヘッド分だけパフォーマンスが落ちる可能性もある。また、一部のサウンドカードなどマルチプロセッサに対応していないデバイスは動作しない危険性があるといったデメリットも存在する。不安要素はあるものの、Intelが今後力を入れていく以上Hyper-Threading対応アプリケーションが増えていくのは明らかだ。
ではHyper-Threadingにより、具体的にどのような作業が快適になのだろうか。これはマルチプロセッサシステムにすることで効果がある事例をそのまま当てはめればよいだろう。つまり、Photoshopを使った巨大な画像の加工処理やPremiereを使った動画のノンリニア編集といったマルチスレッド対応超高負荷アプリケーションの利用、また何かのアプリケーションをバックグラウンドジョブとして利用しながら別作業を行うといった場合だ。このような使い方がメインならばこのCPUを搭載したマシンをチョイスする価値は十分にある。デバイスの動作が気になるところだが、動作テスト済みの既製品ならばその心配もなく、1から自作するよりも確実だ。
堅牢なボディを採用する
ADVANCE 6000GT
今回紹介する直販系メーカーであるエムシージェイ「ADVANCE 6000GT」は、このHyper-Threading対応CPUをいち早く搭載したマシンの1つだ。エムシージェイの製品ラインナップは基本的にタワー型デスクトップ、省スペースデスクトップ、ノートPCの3つに分かれており、「ADVANCE 6000GT」はタワー型デスクトップのハイエンド仕様モデルに位置付けられる。直販系メーカーだけあってメモリやHDDの容量といった仕様はユーザーの好みに合わせてカスタマイズでき、各種ディスプレイやプリンタ、ルータも同時にオーダーできる。このあたりの自由度の高さは直販メーカーならではの特徴だ。
CPUは既に述べたようにHyper-Threading対応のPentium 4-3.06GHzを搭載するため、マルチスレッド対応アプリケーションなら約3.9GHz相当のパフォーマンスが期待できる。間違いなく現時点で最速のCPUだ。チップセットは845PE+ICH4で、マザーボードはMSIの845PE Max2-FIRを採用する。他のHyper-Threading対応のPentium 4マシンの多くはIntel純正マザーボードを採用しており、オーバークロック関連の設定ができないので、いろいろとクロックを変えて試したい人には本機がお勧めだ。もちろん、BIOS上でFSBとAGP/PCIのクロック、CPUのコア電圧、Hyper-Threadingのオン/オフが設定できる。マザーボードにはオンボードでIEEE1394コントローラ、6チャンネル出力のオーディオコーデックチップ、Intel製のGigabit Ethernetコントローラが搭載されており、必要なインターフェイスはあらかた揃っていると言ってもよいだろう。そのためデフォルトではPCIバスには何も装着されておらず、ケース内はシンプルそのもの。AGPスロットにはNVIDIAのGeForce4 Ti 4200、ビデオメモリにDDR SDRAMを128MB搭載するビデオカードが装着されている。GeForce4シリーズの中では最速ではないものの、パワフルなCPUパワーがあることを考慮すれば、3D描画に支障はないだろう。HDDはMaxtorの7200rpmドライブ「DiamondMax Plus D740X」(80GBモデル)を搭載する。光ディスクドライブは40倍速のCD-R/RWドライブと16倍速のDVD-ROMドライブの2台構成で、標準ではDVD書き込み系ドライブは装備していない。必要ならBTOメニューからDVD+RドライブやDVD-RAMドライブなどを選択できるのでご安心を。
ケースは重みのあるスチール製で安定性がある。フロントとリアにケースファンを装備しており、フロントファンの吸った空気は3.5インチシャドウベイを通ってケース内部に送られる構造だ。CPUはもちろんHDDの冷却も行えるため、発熱対策は万全の筐体だ。フロントパネル下部には2つのUSBポート、オーディオコネクタ、IEEE1394コネクタがあり外部機器との接続性は高い。ドライバーを使わずにケースカバーを開閉できるなど、メンテナンスしやすく、求められるすべての性能において満足できるケースだと言える。
インテルの公表どおり30%のアップ
実質4GHz近いパフォーマンス
気になるポイントは実際にマルチスレッドアプリを動かした際のHyper-Threadingの効果である。CPU自体はPentium 4の最速クロックでありBIOSでHyper-Threadingをオフにできるため、もちろんクロック相応のパフォーマンスは確保されているが、インテル公表の値まではいかなくともそれに近いパフォーマンスアップが見込めなければ、登場直後で高価CPUを搭載したPCを購入するのは賢い買い物とは言えなくなってしまう。そこでマルチスレッドに対応したアプリケーションであるMPEG-2エンコーダ「TMPGEnc」を用いてベンチマークテストを行ってみた。結果は計測したどのマシンでも2割から3割ほどエンコード時間が短くなっており、インテルの公式発表である30%のパフォーマンスアップは信じてよさそうだ。PhotoShopやTMPGEncといったマルチスレッド対応の高負荷アプリをメインに使っている人には、Hyper-ThreadingCPUを搭載したマシンは絶対に注目すべきだろう。
ADVANCE 6000GTの主なスペック | |
製品名 | ADVANCE 6000GT |
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CPU | Pentium 4-3.06GHz |
チップセット | Intel 830PE |
メモリ(最大) | SDRAM 256MB(512MB) |
ビデオ | GeForce4 Ti 4200 128MB |
HDD | 80GB |
FDD | 内蔵 |
光メディアドライブ | DVD-ROM、CD-RW |
スロット | PCI×5 |
I/O | USB 2.0×4、USB 1.1×2、IEEE1394×2、パラレル、DVIポート、PS/2×2、モデム、光デジタルオーディオ出力、ビデオ入力 |
通信 | 10/100BASE-TX |
ドライブベイ | 5インチ×4、3.5インチ×5 |
サイズ(W×D×H) | 195×475×435mm |
重量 | 約1.045kg |
OS | Windows XP Home Edition |