【加賀美】そうですね。大容量で勝負しようと
――今回の製品のハードウェア的にキーとなる部分、難しかった点を教えてください
【加賀美】実は、信号処理など開発は比較的結構すんなりと進みました。というのは下地になるのがあったからなんですけれども…。敢えて挙げればどろくさいところですね、熱と静音化というところ。
HDDはブルーのプラスチック容器に包まれている |
回転数自動可変のファンを背面に搭載する |
――静音化はどのように実現されたんですか?
【加賀美】中を見ていただくと分かるんですけど、HDDを格納するお弁当箱みたいなものが入っているんですよ。普通は板金みたいなものにHDDを載せるんですけど、箱のなかに入れてしまって音を抑えると同時にHDDから発生する熱をとるという形にしてます。
――弁当箱の素材は?
【加賀美】プラスチックですね
――プラスチックで大丈夫なんでしょうか?
【加賀美】プラスチックを使ったのは値段をおさえるという意味ですね。あとはハンドリングの容易さ。音は剥き出しにしているよりも静かです。
――振動を抑えるためのクッションなどは使っているんでしょうか?
【加賀美】特に使ってません。丁度ファンのところに薄いクッションを入れてますけど、いろいろ試した結果、HDDにクッションを使ってもそれほど効果がなかったですね
――HDDのほかに静音化を図った部分は?
【加賀美】熱が発生するので後部にファンを搭載してます。そこの流量というんでしょうか、常にフル回転させているのではなくて、使用状況に応じて回転数を上げたり下げたりしています。温度センサが仕込んでありまして、そのセンサで温度上昇をはかっています。それをマイコンがPWM変調で制御する。当然風きり音が小さくなります
――しかし温度は一度上昇するとなかなか下がりにくい、常にフル回転状態じゃないかなと思うんですけど
【加賀美】そんなこともないですよ。お客さんの使用上状況によって変わります。ラックに入れて場合とオープンなところに置いた時など状況によいって違いますね
――HDDは流体軸受けですか?
【加賀美】ではなかったと思います。回転数は5400rpmで、現在はMaxtorの製品を使ってます。
――ソフト的に苦労された点は?
【市岡】今回の製品がLinuxを搭載した最初のモデルになります。ですからプラットホームから作りつつ商品化をしていった。開発条件が十分でないとか、結構、プログラマーが地道な努力をして苦労しましたね。僕はアプリの担当だったんですけど、GUIのチャンネル切り替えのところでアニメーションを加えたり、それも映像が途切れないようにするなどタイミングやデバックに苦労しました。
――特徴を教えていただけますか?
【市岡】普通にテレビのチャンネルを変えているのと同じ感覚で観ることができる操作性ですね。我々は今回の製品を録画機とは考えていないんです。限りなくテレビに近い録画機。だから、普通にテレビのチャンネルを変更しているのと同じ感覚で観れることが条件でした。
マイキャストボタンというのがあって、それを押すとこういうオススメ番組がありますけどどうですか?という案内がでてくるんです。録画時についても、おまかせ設定というのがあってプリセットキーワード(あらかじめ登録されているキーワード)が44種類用意されています。このなかから選択して登録し番組表検索をかけるということもできますし、ソフトウェアキーボードで個別に入力することも可能です。また、ネットワークサービスから毎月更新されたキーワードをダウンロードすることも可能です。例えばクリスマスだとか、ワインだとか…。
――実際に購入したユーザーの反応というのはどうですか?
【市岡】愛用者カードというのを見てますと、面白いことに「テレビの視聴時間が長くなった」という声が多いですね。自分が面白いというものを録画しているわけですから、面白いものが詰まっている。で、もったいないので観ちゃおうという
――それは意外ですね
【広報】テレビの見方や時間が変わっているんですね。今回の製品は有能な秘書と考えることもできます。有能な秘書ってポイントだけ教えてくれたりするじゃないですか。
――今後はコンボタイプの製品は登場するんでしょうか?
【加賀美】マーケットが大きくなっているのはコンボですので、そういうものをある程度は意識しなければならないと思ってます。あとはホームネットワークなどもありますので、それらをすべて意識しなければいけない。ただコンボついては、使っている人を意見をきくと上書きを繰り返すだけで、保存しておく必要はないという方が結構いらっしゃるんですね。わかっていただければ、アーカイブして記録するというものがなくても十分使い込んでいたたけでるものだとは感じてます。棲み分けていけばいいと考えています。
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