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LinuxWorld 2003レポート(その3)

2003年01月25日 20時21分更新

文● 塩田紳二

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LinuxWorldに限らず、米国のイベントは初日が最高に盛り上がり、2日目までは盛況なのだが、3日目ともなるとがくっと寂しくなる。特にプレスルームなどは、3日目にはガラガラの状態となる。

LinuxWorldの展示会場も、3日目にはかなりのんびりムードが漂う。この日は4時に会場が閉まるのだが、すでに昼ぐらいから、片づけを始めているブースもある。時間がきたらさっと帰りたいのである。

あるいは、すでに来場者も少ないので、ブースで説明員同士が座り込んで世間話に花をさかせているとか、逆に説明員がフラフラと他のブースを見学するなんて光景が見られる。

ほかにも、ゲーム機を持ち込んでゲーム大会をしたり、余ったGive away(会場で配る景品。ロゴの入ったボールペンやTシャツなど)を、持ち帰るのがいやだと、大量に客に押し付けたりする。最初のうちは、名刺を出すか、アンケートに答えないとくれない景品でも、最終日には「もってけ泥棒」状態である。特に、かさばるTシャツなどはこうした傾向が強い。ただ、こういうイベントで配るTシャツは基本的にはXLサイズなので、もらっても日本人にはあんまり使い道がないのである。

今回の展示会場で気になったのは、米CodeWeaversの『CrossOver Office』。これはWineを使ったWindowsアプリケーションの実行環境。Officeなどに対応している。これだけならあまり驚かないが、なんと、このシステムでは『Internet Explorer』をインストールして実行できるのである。『CrossOver Office』のアプリケーションインストールは専用のメニューから行なうが、そこでIEを選択すると、Microsoftのサイトから必要なモジュールをダウンロードして、インストールを行なうのだ。世の中がIE一色になって久しく、すでにNetscapeでは正しく閲覧できないサイトなどが増えてしまった。Linuxを使っていて困るのが、通販サイトなどでIEでないと注文システムが正しく動かないとき。しかし、IEが使えればこうした問題もなくなる。マイクロソフトは文句言わないのか? という気がするが、ユーザーにとってはメリットがあるだろう。ただ、残念なことに日本語には対応してない。SuSE Linux製品版には、この『CrossOver Office』がバンドルされているという。

米CodeWeaversのCrossOver Office
米CodeWeaversのCrossOver Office。Wineベースで、Officeがそのまま動く。

また、米AMDブースには、64bit版のソフトウェアがいくつか出ていた。たとえば、米Computer Associatesの『Ingress Database』などである。同じマシンで、32bitと64bitのコードを実行して、64bit版のほうが性能が高いことを見せるなどのデモが行われていた。

『Ingress Database』の32bit版、64bit版の性能比較
AMDのOpteronマシン上での『Ingress Database』の32bit版、64bit版の性能比較。青いほうが64bit版。

それから、今回は米Microsoftがブースをかまえ、そこで『Windows Service for UNIX 3.0』(これはUNIX APIを持ち、UNIX用アプリケーションが実行可能なWindows上のアプリケーション)や『ASP.NET』の展示を行なっていた。なかなか挑戦的な展示(『Windows Service for UNIX』は、UNIXからWindowsへの移行ツールとして使われている)ではあるが、議論好きのユーザーを除いては、みんなあんまり関心がないようだった。

Microsoftのブース
米Microsoftは、会場内に小規模ながらブースを構え、『Windows Service for UNIX』などを展示。

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