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【ゲーム会社営業マン・細腕奮闘記:最終回】ゲームメーカー営業の神髄とは?!

2002年07月04日 22時53分更新

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出張攻略法、教えます

 さて、冒頭で「出張を制すものはゲームソフト営業を制す」と書いたけど、果たしてどのようにすれば出張を制することができるのか。そこでここからは数々の出張を制してきた、この僕の出張攻略法を伝授したいと思う。

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どんな企業でも用意されている(と思われる)、出張精算用書類。※写真はイメージです。実在するメーカーとは関係ありません

 僕が在籍していた会社は、営業外回りや出張時に使用する交通費(電車賃・飛行機代など)に関して、精算時に領収書を提出する必要がなかった。使用した交通機関を精算書に記入して経理に提出すると、無条件にその通常基本料金がキャッシュバックされるアグレッシブなシステムだったのだ(ピンと来ない学生生徒の読者はお父さんお母さんに、経費精算について聞いてみよう)。こうなると当然のように僕たち営業部員は「早割」や「特割」、もしくは貧乏者の味方「金券ショップ」を利用し、安いチケットをゲットして交通費を浮かせていた。最近の新幹線や航空機の割引チケットは、上手く利用すれば半額程度で購入できるものもあり、営業部員の中には「今回の出張で、6万浮かせたぜ!」とかいう出張長者も存在していたのだ。

 割引チケット、特に航空券の割引チケットは、かなり事前に予約することが必要。そのため僕たちの出張スケジュールはいつでも、とんでもなく早い時期に決められていたものだ。出張日程を決めた後に現地の取引先にアポを入れる、といった手法が横行。特にチケット割引率が高めの九州や北海道への出張などは、僕たちの憧れでもあった。2ヶ月後のアポまで取ろうとする僕たちを見て、上司や取引先の方々は「営業熱心だね」と言っていたけど、真実はこんなものです。ごめんなさい。

 そしてさらに特筆すべきは、この会社では出張時に宿泊するホテルに関しても、領収書が一切必要なかった点だ。これは、出張する者には日当が与えられ、その中から自分の裁量で宿泊費を捻出する「好きな所に勝手に泊まれ」システムを会社が採用していたから。こう書くとなかなかおいしいシステムのような気もするけど、実際に与えられる日当は激安であり、間違っても回転ドアがあったり、ドアボーイのいるホテルに泊まれることはない。僕たちがいつも利用するのは、窓がなく(あったとしても、窓を空けると壁だったり……)、テレビも100円玉を入れないと動かない、そして通路をセクスィなオネーサンがウロウロしているような極安ホテルだけだった。あるホテルでは深夜、ドアの隙間からいかがわしいチラシが差し込まれるなんてこともあったし、別のところでは遠くから何者かの悲鳴が聞こえるなんてこともあったっけ…。今ではいい思い出だ。

 しかしこのシステムも、上手く利用すれば“出張長者”に繋がる。キーワードはそう「カプセルホテル」だ。一般的なビジネスホテルは安い所でも5000円程度はかかるのに対し、カプセルホテルなら概ね3000円台。その差は1泊につき約2000円。10泊11日の出張ツアーを組めば、それだけで約2万円の差益が生まれる計算だ。

 しかし上記のテクニックを駆使しても、それでもお金が足りない時があるもの。なんでそうなるのかは聞かない約束で、そんな時の最後の手段も特別に紹介してしまおう。

 ゲームメーカーの営業は大抵、ゲームソフトを常時たくさん持っている。もちろん自社のソフトもあるけど、出張に出ている場合には特に他メーカーの営業サンと会うことも多く、その方達からいただいた、ありがたいソフトもあったりする。そして気が付くと僕の目の前には中古ゲームショップが……(以下自粛)。



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※写真はイメージです。実在するショップやメーカーとは関係ありません

 このテクニックを身に付けていればもう怖いものはない(ただし、通用するのはごく一部の会社だけであることも間違いないだろうけど)。もし実行すれば、あなたも僕と一緒に人生の下り坂まっしぐらとなることだけは保証できる。

 さあ、あなたもゲーム営業にLet's Try!!
 それでは機会がありましたらどこかでまたお会いしましょう。もしかしたら、ゲームショップ店頭かも!? いやいやもうそれは……。



ここに書いたことは、あくまでも僕の体験がもとになっています。すべてのゲーム会社に当てはまるわけではありません。

【筆者プロフィール】高田哲弘氏。都内某大学を卒業後、とある中堅ゲーム会社に誤って入社し、営業部に配属されて過酷な日々を過ごす。その2年後には早くも会社の将来に絶望を感じ、就職活動を開始。別のゲーム会社にて採用され、また誤って入社してしまう。そしてそこでも会社の将来に絶望を感じたが、時すでに遅く、会社が倒産するという事態を迎えるハメに。そして現在、なんの因果かまたゲーム業界に近い会社に勤務している。しかしやはり過酷具合は変わらず、現在は長期就職活動中。

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