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100機種の起動時間を調べる。

日本のパソコン検証プロジェクト

2002年06月20日 00時59分更新

文● パソコン検証プロジェクトチーム:ベリサーブ+アスキー編集部

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分析 | Analysis
起動時間における4つの疑問を分析する。



その1
OSが違うと起動時間に
どれほど差が出るのか?

 パソコンの起動時間に大きな影響を及ぼすのがOSである。今回測定したパソコンには,マイクロソフトのWindows 98/98SE/Me/2000/XP Home/XP Proの6種類がインストールされている。このうち測定した台数が少ないWindows 98とXP Proを除いた4種類について,各OSを搭載したパソコンの起動時間にどのような傾向があるのかを分析してみたい。

 ここではOS別の全体的な傾向を把握するために,単純に起動時間の平均値をとってみた。下のがOS別の起動時間の平均値だが,同じようにCPUのクロック周波数とメモリサイズについても平均値をとった。パソコンに搭載されているCPUは,同じ700MHzでもPentiumIIIやCeleron,Athlon,Duron,Crusoeなどいろいろある。CPUごとの性能の違いを無視してクロック周波数を平均するのは少々乱暴な感じもするが,全体的な傾向を把握するには便利な方法だ。

 の平均のメモリサイズを見てみると,Windows 2000搭載パソコンでは64MBから128MBの間,Windows XP搭載パソコンでは128MBから256MBの間に収まっている。では起動時間の平均値はどうだろうか。グラフ1を見るとWindows 2000を搭載したパソコンの起動時間は,他のOSよりも長めであることがよく分かる。そして起動時間が一番短いのはWindows XP Homeである。そのためWindows 98SEやMeを搭載したパソコンからWindows 2000搭載パソコンに買い換えたとき,スペックがより高くなっているにも関わらず起動時間が短くなっていないと感じる可能性もあるわけだ。

表 プリインストールOSごとの平均CPUクロック、平均メモリ搭載量
OS 平均クロック 平均メモリ
Windows 98SE 659MHz 98MB
Windows Me 758MHz 107MB
Windows 2000 817MHz 117MB
Windows XP Home 1138MHz 235MB
グラフ1 OSと起動時間の関係


その2
デスクトップとノートで
違いはあるか?

 今回測定したパソコンの起動時間をOS別に平均すると,Windows XP Home搭載パソコンの起動時間は短く,Windows 2000搭載パソコンでは長めであることがわかった。ではデスクトップPCとノートPCとに分けた場合,起動時間にはどのような違いがでてくるのだろうか。ここではパソコンの起動時間をOS別に分類し,さらにデスクトップPCとノートPCとに分けてから平均をとってみた。やはりクロック周波数とメモリサイズについても平均をとっている。

 まずはWindows 98SEを搭載したデスクトップPCとノートPCから見ていこう。まずクロック周波数に関してはノートPCよりもデスクトップPCの方が80MHzほど高く,メモリ量はほとんど変わらない。したがってWindows 98SE搭載パソコンでは,デスクトップPCのほうがノートPCよりも起動時間が短いと予想される。しかしグラフ2を見て分かるように,Windows 98SE搭載パソコンの起動時間はノートPCのほうが短いのだ。グラフ2をよく見ると分かるが,Windowsのロゴが表示されてからマイドキュメントのフォルダが開くまでの時間はノートPCの方が若干長い。すなわちノートPCのほうの起動時間が短かった理由は,電源オンからロゴが表示されるまでの時間,すなわちBIOSの起動時間がデスクトップPCに比べて半分程度と短かったからだ。

 逆にWindows Me搭載パソコンでは,電源オンからロゴが表示されるまでの時間はデスクトップPCとノートPCで大きな差はない。しかしWindowsのロゴが出てからマイドキュメントのフォルダが開くまでの時間は明らかにノートPCの方が長く,その分だけノートPCの起動時間が長くなっている。これはWindows 2000やXP Homeでも同じだ。

 デスクトップPCとノートPCに分けたとき,起動時間についての傾向は,電源オンからWindowsのロゴが表示されるまでの時間がどのOSでもノートPCの方が短くなるというものだ。しかしWindows 98SEを搭載していた頃のノートPCを除けば,全体的な起動時間はデスクトップPCのほうが短い傾向になる。

表 デスクトップPCとノートPCに分類したときの平均的なスペック
OS タイプ 平均クロック 平均メモリ
Windows 98SE デスクトップ 703MHz 96MB
ノート 621MHz 101MB
Windows Me デスクトップ 833MHz 108MB
ノート 702MHz 107MB
Windows 2000 デスクトップ 908MHz 137MB
ノート 670MHz 90MB
Windows XP Home デスクトップ 1490MHz 230MB
ノート 931MHz 237MB
グラフ2 デスクトップとノートPCでの起動時間の違い


その3
メモリと起動時間に
関係はあるのか?

 ここではパソコンに搭載されているメモリサイズに注目し,これが起動時間にどのように影響するのか調べてみた。基準となるメモリサイズは64MB,128MB,256MBの3つで,今回測定したパソコンのほとんどが3つのどれかに含まれている。ここではメモリサイズを固定したので,平均化しているのはクロック周波数と起動時間の2つについてだ。

 その2の「デスクトップとノートで違いはあるか?」でも触れたが,電源オンからWindowsのロゴが表示されるまでの時間はノートPCのほうが短く,逆に全体の起動時間は逆にデスクトップPCのほうが短くなる。メモリサイズで分類しているグラフ3でも,やはりデスクトップPCとノートPCでの間で同じような傾向が見受けられる。

 グラフ3の各メモリ量での起動時間を比較すると,128MBのメモリを搭載したノートPCの起動時間だけが長めである。これはWindows 2000で推奨されているメモリ量は128MBなので,この128MBのグラフ部分に他のOSより起動時間が長めなWindows 2000搭載のノートPCが集中してしまったためかもしれない。

 ただし128MBを搭載したノートPCの項目を除外すれば,メモリサイズが増えればデスクトップPCやノートPCの起動時間が短くなる傾向にある。

 しかし見方を変えると,256MBのメモリを搭載するパソコンにはWindows XPを搭載する最新ノートPCやデスクトップPCが多く含まれ,起動時間が短くなるともいえそうだ。同じように64MBのメモリを搭載するWindows 98SEやMe搭載パソコンには,スペックの劣るパソコンが多く含まれていて起動時間が長くなっているとも考えられる。

 ここではメモリサイズで区別してみたが,デスクトップPCやノートPCのスペックが向上するにつれて,起動時間は確実に短くなっているはずだ。Windows 98,Meを搭載していた頃のパソコンでは起動時間が平均で70秒を超えていたが,最新デスクトップPCやノートPCではOSが重くなっているが,全体として60秒を切るまで進化しているともいえる。

メモリサイズ別のCPUクロックの平均値
メモリ タイプ 平均クロック
64MB デスクトップ 659MHz
ノート 650MHz
128MB デスクトップ 930MHz
ノート 748MHz
256MB デスクトップ 1464MHz
ノート 959MHz
グラフ3 メモリサイズと起動時間の関係


その4
Office XP搭載のマシンは
起動時間が長い?

 メーカー製パソコンにはマイクロソフトのOfficeがプリインストールされているケースがよくある。こうした大きなアプリケーションがプリインストールされていると,起動時間はどうなのだろうか。

 今回測定した112機種には,マイクロソフトのOffice 2000やOffice XPをプリインストールしたモデルが多く含まれている。この中からWindows MeとXP Homeを搭載したパソコンを選び出し,Office XPがプリインストールされているかどうかにより起動時間に差が出るかを検証してみた。

 まずはクロック周波数とメモリサイズの平均をとったところ,Windows Me搭載パソコンでは,Office XPが付属しないとクロック周波数の平均が747MHzでメモリサイズの平均は96MBだった。いっぽうプリインストールされたモデルでは,クロックが800MHzでメモリサイズは128MBとなり,Office XPをプリインストールしたモデルのほうが1ランク高いスペックを持つことが分かった。

 Windows Me搭載パソコンはローエンドからミドルレンジが中心なので,価格重視のモデルではOffice XPが付属せず,コストパフォーマンスを重視するミドルレンジだとOffice XPが付属しているため,このようにスペックに違いが出ていると考えられる。しかしWindows XP Home搭載パソコンでは,Office XPがプリインストールされているモデルとそうでないモデルとで,平均したスペックに大きな違いはなかった。

 それでは起動時間はどうなっているのだろうか。まずWindows XP Home搭載パソコンでは,グラフを見ると分かるようにOffice XPをプリインストールしているほうが起動時間が長くなっている。しかしWindows MeではOffice XPがプリインストールされたほうが起動時間が短くなっている。これはWindows Me搭載パソコンではOffice XPが付属するモデルはスペックが1ランク高いので,Office XPによる起動時間の伸びを吸収していると考えられる。Windows Me搭載パソコンではOffice XPがプリインストールされているから起動時間が長いとは言い切れないようだ。

表 Office XPの有無によるスペックの違い
OS Office XP 平均クロック 平均メモリ
Windows Me 747MHz 96MB
付属 800MHz 128MB
Windows XP Home 1149MHz 231MB
付属 1127MHz 238MB
グラフ4 Office XPの有無と起動時間の関係


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