不満点も多いがオモシロく使える
電源を入れると最初は必ず動画/静止画を選択するメニューが表示され、まずメニューから静止画/動画/録音のいずれかを選択しなくてはならない。スナップ用途で使うことを考えれば、取り出して電源を入れてから撮影までに1動作入るのは少々もどかしい。最後に選択した動作モードで起動してくれたほうが使いやすかっただろう。
また、液晶パネルを回転させても、メニューから上下反転を選ばないと液晶表示の上下が切り替わらない。低価格化のため液晶の回転を検出するスイッチを省略したためだが、DVカムコーダなどでは当たり前のように装備している機能なだけに、これがないことに最初は戸惑ってしまう。このほか、液晶表示面を表にして閉じることで液晶TVのように使えるが、その状態でのロック機構がなく、液晶モニタが本体に密着しないのが気になったほか、三脚孔や外部マイク端子がないのも少々不満だ。三脚にセットできればちょっとしたスナップでも安定して撮影できるし、より感度の高い外部マイクを利用できればボイスメモとしての使い勝手も向上しただろう。
静止画像を見てみると、100万画素クラスの入門用デジタルカメラには及ばず、メモ用途にはそれなりに使えるといったところで、解像感も乏しく階調表現もあまりよくない。 実際に使ってみると、携帯しやすいことから普段持ち歩いてもほとんど邪魔にならず、普段はメモリオーディオプレーヤとして利用し、ちょっとしたメモ程度に使うのがよいだろう。
撮影サンプル1。元画像(640×480ドット)のまま掲載。レンズがパンフォーカスであるため解像感のないのはともかく、周辺部のぼけと減光が目立つ。 | 撮影サンプル2。元画像をそのまま掲載。ハイライトは白とびしやすいほか、エッジ部にはブルーミングが生じる。 |
同種のメモリオーディオプレーヤ兼用デジタルカメラとしては、コダックの「Kodak mc3」、富士写真フイルムの「FinePix 30i」などがあるが、D-snapはほかの製品よりも一回りコンパクトであるほかMPEG4動画を撮影でき(30iの動画はAVI)、液晶モニタもmc3の反射型TFTや、6万画素の30iに比べて見やすいのも好印象だ。
問題は価格だが、D-snapはオープンプライスながら実売で4万円台半ばと想定されている。量販店などを見てみると、30iは4万円を切り、mc3は1万円前後まで値下がりしている現状ではD-snapは少々割高に感じてしまう。とはいえスチルとムービーの撮影機能と音楽再生がこれほどコンパクトにまとまった製品はほかにはなく、新世代の携帯情報デバイスを予感させてくれる製品だ。
SV-AV10の主なスペック | |
撮像素子 | 1/4インチ有効33万(総35万画素)CMOS |
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レンズ | 単焦点パンフォーカス、f=4.16mm、F3.6、 |
最短撮影距離 | 50cm |
記録媒体 | SDメモリカード(8MB付属)、マルチメディアカード |
記録画素数 | 640×480ドット |
動画記録 | 320×240/176×144ドット、MPEG4 |
液晶モニタ | 2インチTFT(11万画素) |
インターフェイス | USB、AV入力、ヘッドフォン出力 |
電源 | 専用リチウムイオン充電池 |
サイズ | 28(W)×87(D)×50(H)mm |
重量 | 約98g(本体のみ)/約125g(装備重量) |