■コア電圧を上げたときのBIOS画面には13倍でも2000+
CPU倍率を13倍速にセットしたが12.5倍速で起動してきた |
さて、かつてのKT266のパフォーマンスを上回るとされるKT266Aの実力も気になるところだが、EP-8KHA+にL1ブリッジを改造したAthlon XP 1500+を実装した場合のオーバークロック結果を先に述べておこう。
前編ではCPU倍率を10.5倍速にセットして無難に起動したところまでをお伝えしているが、このときのコア電圧はデフォルトの1.75VでFSB設定クロックもデフォルトの133MHzをセットした条件で動作させている。テストはその条件を維持しながら順次倍率を高く設定し、12倍速のAthlon XP 1900+となる実クロック1.6GHzでWindows Meを起動させた。さらにベンチマークテストの代用としてSuperπの104万桁を計算させCPUの動作具合をチェックしたところ無事計算を終え、パワーオンから安定した動きを見せた。ちなみに各倍率で計算させた結果は表に示した通り。苦労の甲斐あって現在市販されているAthlon XP 1900+のパフォーマンスをAthlon XP 1500+のコストで得られた計算になる。さらに倍率を高くセットして動作するなら、まだ市販されていないAthlon XPプロセッサの性能を先取りする性能となるのだが、前編で予告した画像の詳細をここで報告しよう。
【表1】Athlon XP 1500+の各倍率におけるSuperπ計算結果
モデルナンバー換算 | 倍率 | Superπ104万桁(秒) |
---|---|---|
Athlon XP 1500+ | 10 | 85 |
Athlon XP 1600+ | 10.5 | 83 |
Athlon XP 1700+ | 11 | 80 |
Athlon XP 1800+ | 11.5 | 78 |
Athlon XP 1900+ | 12 | 76 |
12倍速で安定動作を見せたシステムを再起動させ、BIOSセットアップからCPU倍率を更に高い12.5倍速にセットした。前編でも指摘している通り、最新のBIOSにおいても12倍速の次は13倍速となっており、Athlon XP 2000+(仮名)として起動させる12.5倍速の設定はスキップされてしまう。加えて13倍速からは14倍速、15倍速というステップ内容になっている。
とにかく、理屈は抜きにして13倍速をセットすると、どういった動きを見せるのかようすをうかがうことにした。まさに13倍速で起動するならAthlon XP 2000+を超えて衝撃的なクロックで動作することになる。リセット後、いとも簡単にPOSTが進行した。ところがモニターに映し出されたBIOS画面ではAthlon XP 2000+と表示され、実クロックにおいては1666MHz(133×12.5)の数値が並んでいる。原因追求は宿題として、そのままWindows Meの起動を試みた。しかし世の中はそんなに甘くはない。結局、ログイン画面に行き着くことなくシステムが無反応となり「Athlon XP 2000+としての起動には失敗」という結果を残した。そこで最後の手段とばかりに、BIOSセットアップからコア電圧に対し0.05Vアップとなる1.80Vを設定。念のためにメモリ電圧を0.4Vアップさせ、再度Windows Meの起動を確かめたところ、今度はかろうじてデスクトップ画面にたどり着いた。ただ、その直後に実施したSuperπの計算では、計算開始と同時にエラーが告げられて一度目のループすら計算を完了できないありさまである。
せいぜいWCPUIDの計測結果が画像に納められた程度で、とても安定しているとは言い難い状況であった。CPU倍率を14倍にセットした場合にどういった反応を示すか調べてみたところ、13倍速どころかデフォルトの10倍速で起動する結果となり、その上の15倍速であっても同じであったことを報告しておこう。